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土地から新築アパートの融資を申請したら、メインバンクに会社分割を勧められました【その2】

koziさん_画像 koziさん 第16話 著者のプロフィールを見る

2021/11/30 掲載

メインバンクから会社分割を勧められた前回の話の続きです。会社分割とは、株式会社または合同会社で運営している特定の事業について、その権利義務の全部または一部を包括的に別の会社へ承継することをいいます。

会社分割には新規設立した会社へ承継する「 新設分割 」と、既存の会社へ事業を承継する「 吸収分割 」の2つがあり、私はA法人の不動産事業をB法人もしくは他の法人に「 吸収分割 」することをすすめられました。

参照:土地から新築アパートの融資を申請したら、メインバンクに会社分割を勧められました【その1】

今回のコラムの前に改めて整理すると、私は3つの法人を所有しています。

@A法人:メインバンクから会社分割を勧められた対象会社

元々は資産管理法人として設立した会社であるが、数年前から保育事業も開始。2年前からは不動産事業よりも保育事業のほうが、売上割合が多くなっていた。

AB法人:A法人でダメだった新築アパートの融資をこちらでどうかといわれた

A法人と同様に資産管理法人として設立、現在も売上の全てが不動産事業。

BC法人:株式の所有割合が私1%、息子99%の会社

昨年、相続税対策のために設立した資産管理法人。私が所有する株は議決権株式で、息子が所有する株式は無議決権株式になり、属人的株式という手法を取っている。
※属人的株式の手法については、別の機会にコラムで紹介させて頂ければと考えています。

■ 売却譲渡ではなく会社分割を選択した理由

その後、支店長と私との間では、次のような会話が交わされました。

支店長
「 当行としては、A法人の不動産事業をB法人に吸収分割して頂きたいと考えています 」


「 B法人ではなく、昨年設立したC法人に吸収分割をしたいのですが、どうでしょうか 」

支店長
「 C法人でも問題ないと思いますが、C法人は当行との取引がないので本部に確認させて下さい 」


「 お願いします 」

支店長
「 ちなみにB法人ではなく、C法人にされたい理由はなんでしょうか? 」


「 C法人は相続対策のために株式の所有割合が私1%、息子99%で設立した法人です。これを機会に相続対策も一緒に行いたいのです 」

支店長
「 なるほど、そういうことですね。その方がより本部も説得しやすいと思いますので、承知しました 」

ここで、皆さんの中には疑問に感じられた方がいると思います。それは会社分割ではなく、単純にA法人が所有している不動産物件をC法人に売却譲渡すればいいのではないかということです。

確かに、物件が一つや二つ程度であれば、会社分割ではなく売却譲渡のほうが手続きも簡単で手間も掛からないと思います。ただ、ある程度の物件を保有していてそれを売却譲渡すると、不動産取得税や移転登記費用が掛かってしまいます。

そのため、今回私はメインバンクから提案された会社分割を選択することにしました。下の表は、会社分割をした場合と単に不動産譲渡をした場合のメリット・デメリットです。



私が会社分割を選択したのは、単に不動産譲渡をするよりも税務面での優遇を受けられるからというのが大きな理由です。ただし、税務面の優遇を受けるためには、「 適格分割 」という要件を充たさなければいけません。

■ 税制面での優遇に必要な「 適格分割 」とは何か?

その適格分割について説明をさせていただきます。

1)適格分割と非適格分割

「 適格分割 」とは、税制上において一定の要件を満たした税務のことで、下記のとおり全部で8つの要件があります。その逆に、「 非適格分割 」とは適格分割の要件を満たさない税務のことをいいます。

@金銭不交付要件
→組織再編の際に、株主に金銭などの対価が交付されない要件のこと

A按分型要件
→分割型分割の際に、株主に応じた株式交付がされる要件のこと

B主要資産・負債引継要件
→会社分割において、主要な資産や負債が分割承継会社に移転する要件のこと

C事業者引継要件
→分割会社の80%以上の従業員が引継ぎ先でも従事する要件のこと

D事業継続要件
→分割会社の分割事業が、会社分割後に分割承継会社に引き継ぐことが見込まれる要件のこと

E事業関連性要件
→分割会社の分割事業と、分割承継会社の分割承継行が関連することを示す要件のこと

F事業規模要件または経営参画要件
→事業規模要件とは、分割会社の分割事業と分割承継会社の分割承継事業相互の売上金額、従業員数あるいはこれらに準ずる規模の割合が5倍を超えないことを示す要件のこと
→経営参画要件とは、分割前の分割会社の役員のいずれかと分割承継会社の特定役員のいずれかが、会社分割後に分割承継会社の特定役員となることが見込まれる要件のこと

G株式継続保有要件
→分割型分割と分社型分割それぞれによって異なる
・分割型分割の場合は、分割会社に支配株主がいる場合、分割型分割により交付される分割承継会社の株式のうち、支配株主に交付されるものの全部が、支配株主により継続して保有されることが見込まれている必要がある
・分社型分割の場合は、会社分割によって交付される分割承継会社の株式全てが、分割法人によって継続して保有されることが見込まれている必要がある

そして、「 適格分割 」は、持ち株比率によって満たす必要がある要件が異なります。

2)適格分割の具体的なメリット

「 適格分割 」の主なメリットは3つあります。

@不動産譲渡の不動産取得税が掛からないこと
A登録免許税の軽減措置が受けられること
B消費税および簡易課税は発生しないこと( ただし、分割承継会社には原則として消費税の納税義務がある )

なお、適格分割で分割型分割の場合における税務、消費税などの簡易課税、移転資産・負債、譲渡損益、みなし配当、帳簿価額修正は以下のとおりです。



■ 会社分割をした場合と不動産譲渡をした場合にかかる費用

次に、会社分割をした場合と不動産譲渡をした場合の実際の費用をそれぞれ概算で算出してもらいました。

<会社分割をした場合>

登録免許税:約1,000万円
諸費用:約250万円

<不動産譲渡をした場合>

登録免許税:約1,500万円
不動産取得税:約700万〜800万円
諸費用:約200万円

※なお、抵当権設定費用は株式分割、不動産譲渡のどちらの場合でもほぼ同額になります。

結果として、A社を会社分割して不動産事業をC法人へ吸収分割した場合と、単に不動産譲渡をした場合とを比較すると、1,150万円〜1,250万円の差が出ることになりました。

つまり、ほぼ半分の費用で済み、相続税対策も出来ることから、このままA法人の不動産事業をC法人に吸収分割する会社分割を年内に進める予定でいます。

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プロフィール

■ Koziさん

koziさん

不動産賃貸業
IT系企業のサラリーマン
都内に妻と子供と3人暮らし


■ 主な経歴

□1980年
神奈川県川崎市の武蔵小杉の地主の家に生まれる

□1999年(19歳)
不動産賃貸業に関わり始める

□2002年(22歳)
和光大学卒業

□2004年(24歳)
公認会計士、不動産鑑定士の試験に合格
(他に宅地建物取引士、行政書士、賃貸経営管理士等の資格も持つ)
IT系企業に入社

□2008年(28歳)
叔父の不動産を引き継ぎ2015年に法人化
会社員を続けながら、不動産事業にも取り組む

□2018年(38歳)
企業主導型保育事業を開始

□2021年
所有物件数15棟(レジデンス、店舗、グループホーム、保育園)
年商7億円(保育事業の収入含む)

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