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法人化による節税のメリットー個人で不動産を所有する地主は意外と多いー

koziさん_画像 koziさん 第2話

2021/2/23 掲載

第2回目は法人化( 前編 )についてです。地主さんによっては、未だに個人のままで物件を所有し、大家業をされている方が多くいます。私の伯父も法人化せず、個人のままで大家業をしていましたが、私の代になってから法人化をしました。

法人化についても株式会社にするか、合同会社にするかで意見が分かれますが、私は株式会社にしています。合同会社よりも株式会社のほうが良い点については、後編で説明させていただきます。

まず、法人化にするメリットです。法人化するメリットについては、下記のようなものがよく挙げられます。

1)所得税率が法人税率より高くなると節税効果が高まる
2)法人を複数化することにより、より大きな節税ができる
3)交際費以外の経費計上範囲が広い
4)個人と法人で決算の時期をずらすことが可能
5)赤字を9年繰越できる
6)事業承継がしやすい

それぞれについて、説明していきます。

1)所得税率が法人税率より高くなると節税効果が高まる

個人は個人で事業を行っていることから、個人に対して所得税が課税されます。所得税は累進課税であり、所得が多くなるほど税率も高くなり、5%〜45%の7段階の税率で所得に応じて変化します。

一方、法人税は法的な人格である法人に対する所得税的な税金で、法人の課税所得に対して計算されます。税率は以下のようになっており、所得税と最高税率で比較すると約半分程度と低く設定されています。

【 所得税率 】 195万円未満 :5%  控除額0円
330万円未満 :10% 控除額97,500円
695万円未満 :20% 控除額427,500円
900万円未満 :23% 控除額636,000円
1,800万円未満:33% 控除額1,536,000円
4,000万円未満:40% 控除額2,796,000円
4,000万円以上:45% 控除額4,796,000円

【 法人税率( 資本金1億円以下の普通法人 )】
800万円以下:15%
800万円以下:15%(適用除外事業者)
800万円超:23.2%
※所得税率、法人税率ともに2020年12月現在のもの

この違いがあることから、同じ前提条件でも個人と法人では以下のような差が生じます。

前提条件:個人、法人ともに東京23区内に在住、本店をかまえ課税所得が同じ800万の場合の所得税

<個人の場合の所得税>
⇒(800万−控除額63.6万)×税率23%=169.3万

<法人の場合の法人税>
 800万×法人税率15%=120万
 120万×地方税率10.3%=12.3万
⇒120万+12.3万=132.3万
※法人税を計算する時には地方法人税も加味したうえで比較することに注意

【 結論 】上記の例では個人の所得税と比較して法人税のほうが、約37万円安くなるので、法人化することにより、支払う税金が減る。

次に、住民税について、比較してみます。

前提条件:個人、法人ともに東京23区内に在住、本店をかまえ課税所得が同じ800万の住民税

<個人の場合の住民税>
⇒課税所得800万×住民税率10%( 区民税6%、都民税4% )=80万

<法人の場合の住民税と法人事業税>
⇒法人都民税15.4万+法人事業税等48.2万=63.6万
※法人の場合の都民税、法人事業税の税率等は計算式を割愛

【 結論 】住民税についても法人のほうが事業税を加味しても約16.4万円安くなり、法人税と合わせると法人のほうが約53.4万円支払う税金が減る。

2)法人を複数化することにより、より大きな節税ができる

課税所得額によっては、単に法人化するだけでなく複数にすることによって節税額が大きくなる場合があります。例えば、以下のようになります。

前提条件:個人、法人ともに2,400万の場合の所得税

< 個人の場合の所得税 >
⇒( 2,400万−控除額279.6万 )×税率40%=848.1万

< 法人の場合の法人税 >
{( 800万×法人税率15%=120万 )+( 1,600万×法人税率23.2%=371.2万 )}
=491.2万
 491.2万×地方税率10.3%=50.5万
 491.2万+50.5万=541.7万

【 結論 】法人のほうが個人に比べて約306.4万円支払う税金が減る。

法人の数を増やすとどうなるでしょうか?

< 法人を3つにして課税所得が800万ずつになるようにした場合の一法人当たりの法人税 >
 800万×法人税率15%=120万
 120万×地方税率10.3%=12.3万
 120万+12.3万=132.3万
⇒3法人の合計法人税:132.3万×3法人=396.9万

まとめ:1法人よりも3法人にしたほうが、更に約144.8万円支払う税金が減る。

住民税についても上記の例に基づいて計算してみます。

前提条件:個人、法人ともに2,400万の場合の住民税

< 個人の場合の住民税 >
⇒課税所得2,400万×住民税率10%( 区民税6%、都民税4% )=240万

< 法人の場合の住民税と法人事業税 >
⇒法人都民税41.3万+法人事業税等201.6万=242.9万
※法人の場合の都民税、法人事業税の税率等は計算式を割愛

結論:住民税については、個人のほうが法人に比べて約2.9万円支払う税金が減る。

次に、法人の数を増やすとどうなるでしょうか?

< 法人を3つにして課税所得が800万ずつになるようにした場合の一法人当たりの住民税と法人事業税 >
 法人都民税15.4万+法人事業税等48.2万=63.6万
⇒63.6万×3法人=190.8万

結論:法人を3つにしたほうが、個人に比べて約49.2万円支払う税金が減る。

このように、法人を増やした方が、支払う税金が減りました。法人の複数化のメリットについては、他にもあるので後編で説明させていただきます。

3)交際費以外の経費計上範囲が広いについて

法人は一部の経費( 交際費など )を除くと役員報酬や保険料などの経費計上項目が個人の場合よりも多いです。例えば、個人事業主には認められず法人化すると経費として認められるものに「 出張規定 」や「 慶弔規定 」などの社内規定があります。

出張などで交通費や宿泊費がかかれば、個人も法人も経費にすることができます。しかし、法人の場合には、このうえ「 出張手当 」を支給できるようになります。

この出張手当は法人の経費になりますから、交通費や宿泊費を経費にしたうえで出張手当まで支給することができ、経費とすることができます。またこの手当は、もらった側も所得税が課税されない非課税の収入となります。

次に、生命保険を活用した節税です。個人が生命保険料を支払っても経費とすることはできず、最大12万円の所得控除しか受けられません。

しかし法人の場合、従業員を被保険者、受取人を法人として、生命保険を法人契約すると、その保険料を法人の経費とすることができます( 生命保険の契約内容によります )。

ただ近年、生命保険を利用した過度な節税が問題となり、現在は最大でも1/2までしか損金算入できないようになっています。

さらに、経営セーフティ共済、中退共といった共済掛金、企業型DC(企業型確定拠出年金)の掛金などについても保険料や福利厚生費などとして経費計上することができます。

また、自宅を法人名義で所有しているもしくは法人名義で賃借している場合、役員社宅で節税することができます。個人の場合は、原則自宅の家賃を経費とすることができません。

自宅兼事務所として利用している時にも、事務所としての業務にかかる部分のみを計算して経費として申告できますが、それ以外部分の家賃については、経費として認められません。

また、個人で自宅がマンションの場合、修繕積立金を経費に計上することができません。しかし、法人の場合、社宅として社長に家を貸付ければ、家賃の50%程度を会社の経費にすることができ、火災保険も会社名義でかけることができ、マンションの修繕積立金の支払いも管理費として経費に計上することができます。

ただし、世間相場と比較して条件が非常にいい物件だと、社長が法人から経済的利益を受けたと判断され、税務調査で追及されることがあるので、注意が必要です。

4)個人と法人で決算の時期をずらすことが可能について

個人の場合は、会計期間が1月〜12月で変更することができません。一方、法人の場合は、会計期間を4月〜3月など自由にすることができ、会計期間の変更もできます。

ただし、頻繁に会計期間を変更すると脱税など税務署から疑われる可能性があるので、注意が必要です。個人と法人で会計期間をずらすことによって申告書の作成や納税時期などもずらすことができます。

5)赤字を9年繰越できる

その年度の収支が赤字の場合、その赤字額を翌年度以降に繰越すことができます。法人の場合は、9年間繰り越すことができますが、個人の場合は3年間になります。さらに、この繰越は国税と地方税の両方に適用されます。

例えばですが、その年度が1,000万の赤字だったとします。そして、翌期から毎年100万円の利益が9年間続くとします。そうすると、個人の場合3年間は、当初3年間の合計利益300万から赤字年度の累積損失1,000万を差し引くことによって、税金が掛かりませんが、4年目からは毎年100万の利益について税金が発生します。

一方、法人の場合9年間は、9年間の合計利益900万から赤字年度の累積損失1,000万を差し引くことによって、9年間税金が掛かりません。

さらに、個人の場合、その赤字(損失)が土地等・建物等の譲渡に際して生じたいわゆる不動産譲渡損失の場合、他の総合課税の対象となる資産( 例えばゴルフ会員権 )の譲渡益との相殺や、事業所得、不動産所得、給与所得等の他の所得との損益通算もできません。

6)事業承継がしやすいことについて

個人で許認可業などを行っていて誰かに承継する場合には、認可などは取り直す必要があり、屋号が登記されている場合には法務局での手続きが必要となります。

一方、法人で株式会社の場合だと、株式譲渡による事業承継であれば事業をそのまま承継でき、認可や屋号はそのまま使うことができます。

また、土地や建物を所有している場合も個人の場合だと移転登記をする必要がありますが、法人の場合で会社ごとの譲渡であれば、移転登記必要や不動産取得税・消費税等の支払いも発生しません。

それ以外にも私が相続した時に法人化して良かったメリットが複数あります。そちらは来月、後編にて説明させていただきます。

プロフィール

■ Koziさん

koziさん

不動産賃貸業
IT系企業のサラリーマン
都内に妻と子供と3人暮らし


■ 主な経歴

□1980年
神奈川県川崎市の武蔵小杉の地主の家に生まれる

□1999年(19歳)
不動産賃貸業に関わり始める

□2002年(22歳)
和光大学卒業

□2004年(24歳)
公認会計士、不動産鑑定士の試験に合格
(他に宅地建物取引士、行政書士、賃貸経営管理士等の資格も持つ)
IT系企業に入社

□2008年(28歳)
叔父の不動産を引き継ぎ2015年に法人化
会社員を続けながら、不動産事業にも取り組む

□2018年(38歳)
企業主導型保育事業を開始

□2021年
所有物件数15棟(レジデンス、店舗、グループホーム、保育園)
年商7億円(保育事業の収入含む)

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