らいおん大家です!リフォーム屋さんで大家です。
さて今回は、このコラムでも何回かにわたって綴ってきた「 0円空き家を旅館にしてみます 」シリーズの内装が出来上がったので、お披露目&解説したいと思います!
築100年という古民家の古き良さをフル活用しているので、賃貸物件では中々使わないような材料やデザインですが、ちょっとした工夫や着眼点はどのジャンルの物件でも使えるはず。
まるっとは参考にならなくとも、何かテクニック的なものが一つでも参考になれば嬉しいですな。ちょっと写真多めですが、見てやってください。
■ 思い切って玄関の天井には照明なし!
レトロなタイルが印象的なこちらの玄関。このタイルは活かしたいところ。
かつ、全体的に古き良さを壊さないために明るくしすぎないようにしたい。
そこで、照明は玄関の框( かまち )部分に細い間接照明を忍ばせるのみにして、思いきって天井の照明はなしにしてみました。
壁は黒の珪藻土を塗装してグッと暗めに。
日常使いでは暗すぎるが、非日常を味わってもらいたいのでこれで良いである。
■ おしゃれなリビング、極めつけの武器は自然塗料
元はリフォームされていて綺麗なのだが、良くも悪くも古さが消えてしまっていたのだ・・・。
なので上貼りされていた化粧ベニヤや天井は一度めくり・・・。
床には無垢フローリング張り、壁は珪藻土を塗り・・・。
床を塗装、照明を取り付けたら完成・・・!
床が暗くなるとかなり印象が変わりますな。
今回使った床は吉野杉という杉の無垢材。
杉の特徴は軽くて扱いやすく、とても安い。
ただ、傷がつきやすいのが難点。そして、この無垢材をそのまま使うのでは芸がないので、無塗装の無垢材に“塗装”を施していくのがテクニックなのである・・・!
こちら「 オスモカラー 」という自然塗料。僕のオススメです。
通常の塗料と違って化学的なものが入っておらず、無臭でとても環境に良いという。あとなんかオシャレ。
植物の油とかで作られているので、ものすごくエコというのも、今後の物件ではアピールポイントになるかもしれませんね!そしてこれを塗ってみると・・・。
印象がガラッと変わるのでござる!
左が無塗装。右が塗装済み( ※上下で違う色を実験中 )。
塗った後にサッと布で拭き取ると、綺麗に着色されて木目がしっかりと残るというのが浸透系の塗料の良さである。木材には浸透系の塗料( ステイン塗料 )一択ですな!
ただし!自然塗料は自然発火する危険があるので、拭き取った布は絶対に放置せずに水に濡らしてから処分する!これ絶対!本当に気をつけよう。
■ 古き良さを活かしたポイント、土壁と古ぼけた野地板が味を出す!
築年数が古い物件だと、ついつい古い壁や汚れた壁は隠しがち。ですが、全体のテイストを、古さを活かすことに統一することで、それは汚れではなく“味”という武器になるのです・・・!
今回僕が “味” にしたのは土壁と古ぼけた野地板です。
ご飯中に上からポロポロ落ちてきそうな土壁。
1階の和室の畳をめくると絶対に捨ててしまうであろう、古びた野地板( 畳下の下地 )が登場。これらをうまく活用してみる。
まずは土壁の土を取り除く。すると100年前に作られたであろう綺麗な竹小舞が姿を現した!なんかもうこれだけでちょっと良い感じですよね。 そしてこの天井に・・・。
古びた野地板を張る!
渋い・・・渋いよ・・・エモいよ!!
そしてこれらを玄関に使用した細い間接照明で照らす。
まるで月明かりに照らされた聖域っっ・・・!!
これを眺めながら日本酒を飲みたいところ。
最初の印象( 上の写真 )とはまるで違いますな。
まぁこれはこれで、個人的には好きなんですけどね。
■ 間仕切り壁を造作して脱衣所スペースを作る
リフォームをする前は脱衣所という空間がありませんでした。キッチンのある部屋に洗面台があり、ここで脱衣もするという、現代ではなかなか見ない間取りでした。
時代とともにライフスタイルって変わっていくものですね。
洗濯置き場も当然、屋内にはなく、屋外です。
今回は旅館なので洗濯置き場は要らないようにも思いますが、連泊を狙うなら衣類を着回しできるように洗濯機と乾燥機があると嬉しいですよね。
なので、間仕切り壁を造作して脱衣所スペースを十分に確保したところで洗濯置き場と乾燥機置き場も確保。
あとは壁を塗装して、カウンターに洗面ボウルを置いてあげると・・・。
壁の照明が「 和 」を演出しております。
この照明も国内メーカーだがとてもリーズナブル。
築古投資家たちの味方です。
ここで一つ注意ポイントが! 海外製の照明器具をネットで買うのはオススメしません。電気工事不要のシーリングタイプならまだしも、直結タイプのものだと、配線が日本の規格と合わずに事故の原因となるかもしれません。
配線を直接繋いで取り付ける直結タイプの照明は、国内メーカーをオススメするでござる。
そしてこの雰囲気を司る大事な要因が大きなカウンター材である。
こちら、床と同じ “杉” の一枚板である。
一枚板ってものすごく高いイメージがあるかもしれませんが、それは一部の超レアなもの。一般的な杉だと数千円で手に入ることがあるので、ガッ!と雰囲気をかっさらいたいなら一枚板は非常にオススメ。
洗面台ではなくとも、本棚やテーブルとしても、その存在感を醸し出してくれるでしょう。
と、長くなりすぎてしまうので今回はここまでにして、次回、後編を綴っていこうと思いましす!お楽しみに!