らいおん大家です。リフォーム屋さんで大家さんです。
ここ最近、三重県鳥羽市で取得した0円空き家を旅館にするための内装工事が完了したので連続でリフォーム内容を紹介しております。
前回の記事で完結しようと思ったのですが、愛が溢れてしまい「 ここで終わらせたくない!もっとみて!!ほら!!」という承認欲求の塊になってしまったので今回も付き合ってやってください。
参照:築100年の古き良さを安く活かす内装術。ポイントは“既設利用”と“照明”、そして愛ある地元産の素材たち!
■ ボットン便所をお洒落に魅せるのは無理?
ノンノンノン。
ボットン便所だろうとなんだろうと専用のトイレを使い、お洒落な空間さえ創ってしまえば、使う側はなんの支障もなく、むしろ快適に過ごせるのである。
こちらが今回リフォームした旅館のボットン便所である。
世間一般がイメージしているボットン便所とはまるで違うであろう・・・。
だが、これは紛れもなくボットン便所なのである。
ちなみにこれが施工前の写真。
昔ながらのタイル貼りの空間にひっそりと待ち構えている穴。
これが皆さん想像するボットン便所ですよね。
昨今ブームにもなっている築古戸建投資、ボロ戸建ファイターの方ならボットン便所でも今時な感じにできる事は知っているかもしれません。
“簡易水洗トイレ” というボットン専用のセットを使用する事で、見た目も使用感も全く支障ない状態にできるということを。
ただ、
「 簡易水洗トイレにしたけど、なんかダサいんだよな・・・ 」
「 何かはわからんが、何かが違う 」
という声をよく聞く気がします。
その “違和感” をこのコラムで言語化して紐解いていくことでスッキリさせてみせます。
■ そもそもボットン便所ってどういう仕組みなの?
トイレの排水の種類としてなんとなく3種類あるのはご存知かと思います。
- ✔ 下水
- ✔ 浄化槽
- ✔ 汲み取り(ボットン)
しかし、何がどういう仕組みなのかまでは実はあまり理解していない人も多いはず。
ざっくり解説します。
●下水
町のインフラである “下水道” が各家庭の敷地内に繋がっており、家庭で用を足すと下水管をグルグルと通って町を彷徨い、最終的に町の処理施設で浄化されるという仕組み。
引用:国土交通省
●浄化槽
下水では終末にある処理施設が敷地内に設置されているような形。
敷地内で処理し、綺麗な水にしてから放水する。浄化槽については過去コラムで書いているのでこちらを参考にしてみてください。
参考:浄化槽はココに注意すべし!事前ポイントと運用後の注意点
●汲み取り
便器と直結しているタンクにダイレクトで用を足していく形。
一定量溜まったら、そのタンクにホースを突っ込んで収集していくのがバキュームカーである。
引用:ダイワ化成株式会社
ざっくりこんな感じにそれぞれ処理方法が違うのです。
処理方法の違いはあれど、用を足したその先の違いであって、皆がトイレ空間で見る分には実は違いってないんですよ。
下水と浄化槽に至っては全く同じ便器セット使いますし。
ただ、使用する側として大きな違いが一つあります。
水を使って流すか否か
下水と浄化槽は水を使って排泄物を流します。
レバーをクイッと回してジャーですね。
が、ボットン便所はタンクにダイレクトアタックなので水を使わないんですよ。
だからボットン便所の便器の上には蓋がしてあるんです。
でも隙間から臭いが漏れてくるので臭いんですよ。
だからボットン便所=臭い、汚いというイメージがついてしまっているんです。
では今時の家ではなぜ臭いがないのかというと、水が蓋となって臭気をシャットアウトしているからなんですよ。
その役割をしているのが排水トラップです。
トラップがくねっとなっているのはここに水を溜めて、臭気や害虫を通さないようにしているからなんですよ!
すごい!!
考えた人は天才ですよ。
こんなシンプルな方法なのに。
通常のトイレも水が常に溜まっているのはこのためなんですな。
そしてボットン便所はこの水の蓋がないから臭いんです。
そこで、水を使って蓋をして臭くなくしようぜ!!というのが今回の簡易水洗トイレです。
引用:ダイワ化成株式会社
下水と浄化槽のトイレと違うのは、流れる水の量が最小限に設計された専用のトイレというところです。
汲み取りのタンクは放水されずに溜め込む仕様なので、水ですぐにいっぱいにならないように設計を変える必要があるんですな。
■ 洗練されたフォルムの簡易水洗トイレを選ぶには
さて、ここまででボットン便所のことがかなり好きになってきたかと思います。
早くボットン便所で用を足してみたいでしょう。
しかし、待ってください。本題はここからなんです。
簡易水洗トイレがいかに素晴らしいか、というお話をしてきましたがここで問題が。
簡易水洗トイレのフォルムが、ダサい。
なぜ下水や浄化槽で使われる通常のトイレと同じフォルムで造らないのか謎なのですが、ちょっとダサいんですよ!
内部構造だけ変えて、外観は同じく洗練されたフォルムで良いのに!
「 簡易水洗トイレ 」でググるとわかるはず・・・。
※参考画像は出しません。メーカーにボコボコにされますので。
ですが、2つのポイントを押さえると、かなり洗練された形を保つことができ、周りの空間の創り方次第でめちゃお洒落にもできます!
●ポイント①
ノズルタイプを選ばない
「 簡易水洗トイレ 」でググると洗浄ノズルというホースみたいなものがセットでくっついている商品がありますが、あれがなんかこう・・・洗練されたフォルムとは逆になる要因な気がするんですよ・・・。
いや、あまりはっきり言えないな・・・どうか伝わってほしい。
●ポイント②
タンク上の手洗いを無しにする
そもそもタンクの上の手洗いって要ります?
なぜか多くの家庭では付いていますがあれ要らないと思うんですよ。
あそこで手洗うと水が飛び散るし、濡れた手をタオルで拭こうとする時に壁汚れるし、なんならち○ち○触った手を石鹸使わず簡易的に済まそうとすな!!
あとなぜか簡易水洗トイレのタンク上の手洗い蛇口がすごいダサいんですよ。
※参考画像は出しません。メーカーにボコボコにされますので。
ふぅ・・・なんとかギリギリのラインを攻めてこの2点をお伝えしましたが伝わったでしょうか?
あとは、僕がよくいう照明の使い方を工夫すれば、はい!お洒落!!
ちなみにこのトイレ空間も壁に塗装をしたり、壁紙を貼ったりはしておらず既設のままです。
そして、あまり照明で明るくさせすぎないように雰囲気を創り、トイレが際立たないようにしております。
天井には照明を設置しておらず、カウンター下とトイレ背面に間接照明のみ。
個人的な感覚ですが、ボットン便所が備わっているような家は古民家風が多いので、明るくナチュラルなイメージにさせてしまうよりも、落ち着いたモダンな雰囲気にする方が全体合わせやすいです。
古さも味になりやすいですし。
そんな感じで今回はボットン便所のリフォームでした。
また次回もお楽しみに!!