早いもので、10月ですね。10月と言えば、台風です。過去の健美家コラムに江古田島塾長が川沿いの物件を購入して4日後に、「 無保険 」の状態で台風に襲われて、物件が浸水してしまった話がありました。
痛恨のミス…。購入4日目に「無保険」で被災した川沿いのバーベキューハウス
凄まじい被害だったと思います。実は、ワタシも過去に台風の被害を受けたことがあります。その時はショックでしたが、時間が過ぎてワタシの傷も癒えたので、今回はその時の台風被害について書こうと思います。
■ 火災保険
ワタシは所有するすべて物件について、「 引き渡し日 」に火災保険に入ります。
①最初に入った保険
被災したアパートを買ってすぐに加入した火災保険は、以下のような感じでした。保険の加入期間は30年で、価格は約68万円でした。
保険会社に勧められるがまま、最低限の保険に加入した感じでした。念のため、事故時諸費用特約、賃貸建物所有者賠償、家賃収入特約、家賃収入保険金額120万円等の特約をつけました。
■ 火災保険追加
当時、ワタシは関東のベテラン大家さんが集まる会に参加させていただいていました( 残念ながら現在は休会中 )。たまたまその時に火災保険の話を聞く機会があり、「 水災 」「 破損汚損 」も入っておいた方が良いなと思い、追加加入しました。
②9月に追加で加入した火災保険
保険会社の方と相談して、一つ目の火災保険はそのままにして、別に水災と破損・汚損を補償した火災保険に加入しました。保険の加入期間は10年で31万円位でした。
■ 台風の被害
保険に追加加入してちょうど1カ月後の夜のこと。風が強いな~と思いつつ家で過ごしていると、入居者からLINEでピコンと写真が送られてきました。写真をよく見ると、川が氾濫して堤防を越え、川とアパートが一体化していました。漫画のようでした。
ドキドキしながら入居者の方に状況を聞くと、雨量が多く台風のピーク前に川が氾濫しそうになったため、自治体から避難所への移動を呼びかけられて、アパートの入居者を含む近隣一帯の人たちで移動したという事でした。
こうなったらアパートの被害は避けられません。ただ、人的被害がなかったのは不幸中の幸いでした。翌日、朝一で見に行くことにしました。
車で向かうと被災した地域には消防隊やマスコミ等が殺到し、人や車であふれかえっていました。大渋滞が起きて駐車する場所が全くなかったので、周辺の民家の方に頼んで駐車場をお借りして、ようやく物件に行くことが出来ました。
物件では、入居者の方が既にアパートに来て清掃を行っていました。居室内を見せていただくと、ひどい状態でした。
床は泥だらけで異臭がしました。
建具は外れてガラスは割れていました。
家具がひっくり返っていました。
よく見ると窓の高さくらいまでクロスの色が変わっていました。1.5mくらいのところまで、浸水した跡でした。
入居者と一緒に泥出しを行うと、入居者家族の思い出の品物等がドロドロになっているのが目に入ったりして、悲しい気持ちになりました。
※後日、入居者の家財については、入居者が加入している保険を申請し補償をしてもらう事が出来ました。
アパートは修繕が終わるまで住める状況ではありませんでした。入居者の方たちは一時的に、家族や兄弟・知人の家に身を寄せた後で、自治体から案内された被災者向け住宅に住み替えていきました。
■ 保険金が下りる
浸水の跡が残るアパート内には入居者の家財道具が残ったままになっていました。これらについて「 処分しても構わない 」という事を確認後、リフォーム会社の方と修繕計画を立てていきました。
修繕見積を保険会社に提出すると、調査の方がやってきました。一緒に現地で立ち合い確認を行うと、その2週間後に「 水災被害 」として370万円が振り込まれました。ちなみにこちらの火災保険は「 全損終了 」という事で解約となりました。
加入期間は1カ月程度だったので、残りの期間の保険料金28万5千円は返金されました。こちらが解約になった後、すぐに水災保険用として新たに1,000万円の火災保険に加入しました。
ちなみに台風で屋根も飛んでいったので風災ということで保険金も下りました。加えて、家賃保証の特約にも入っていたので、工事期間中の6カ月分の家賃も振り込まれました。
結果的には、火災保険と家賃保証が振り込まれたおかげで、この災害による金銭的被害はありませんでした。しかし、精神的な疲労感は大きかったです。気持ち的には踏んだり蹴ったりという感じでした。
■ 入居者のその後
泥出しをしている時、入居者の方から「 この物件はどうするのですか?直せるのですか? 」と訊かれました。ワタシは、「 以前よりも良い状態に戻します。希望があれば修繕後に戻ってください! 他が良ければ引っ越しても大丈夫ですよ 」と伝えていました。
入居者の方はその物件自体はとても気に入ってくれていたようで返答に迷われていましたが、最終的には、別の物件に引っ越していかれました。
リフォーム後、浸水被害を受ける前と同様の条件で募集を始め、3カ月程で満室となりました。災害について告知しての募集だったので心配もありましたが、需要のあるエリアで地域最低の価格だったので満室にすることが出来ました。
■ まとめ
「 火災保険が重要なことはわかっているよ! 」とワタシも思っていました。しかし、ただ入っていればいいわけではありません。「 水災 」の火災保険に直前に入る事が出来たのは、たまたま先輩大家のお話を聞けるご縁があったからです。
他の所有物件からの家賃もありましたし、修繕金額の予想もできたので、落ち着いて対処することが出来ました。しかし、もしもワタシが無保険で、1棟目の物件でこのような被害が起きていたなら、再起不能だったかもしれません。
災害がないことを祈りたいですが、もしもの時が訪れない保証はありません。ワタシが先輩大家さんの話を聞いて最悪の事態を免れたように、今回のコラムが皆様のお役に立てばうれしいです。