今年も引き続き、アパマン建築のお話をしていこうと思いますので、よろしくお願いします。今回もやはり基礎、土台のお話を地味に続けます。
前々回では基礎がなくて、土台がそのまま地面( 土間コン )に接している例のお話をしました。地面の水が直接当たって、木の土台はひとたまりもなく腐ってしまっていました。
今回のお話は、基礎の上、鉄骨梁の上にある土台、柱に空いたシロアリの穴です。
下の写真はプレハブ小屋と建物本体との境( 双方の壁に穴を空けてつなげようと考えています )で、鉄骨の上の土台に大穴が空いていました。
水が入って腐り、さらにシロアリにも食われていました。奥に見える柱の下にも穴が空き、柱の重みが伝わっていない状態です。不規則な形の穴なので、木で埋めようにも大変です。そこでモルタルを詰めて固めようと考えました。
土台を取り替えるのは、手間とコストが掛かりますが、モルタル詰めならば簡単です。この写真の状態は、土台の木でボロボロになった部分をすべてかき取って、水性の防腐、防蟻剤を塗った後です。
下の写真は、上からモルタルを詰めているところです。水を少なめにした固めのモルタルを穴の奥に押し込んでいます。
モルタルを詰める前に、モルタルをせき止めるための横棒をあらかじめ付けておき、周囲には水を湿らしておきました。モルタルの水が吸われると、セメントと水が反応しなくなって、固まらなくなるからです。
下の写真は、棒の高さまでモルタルを詰め終わったところです。穴が大きいので、モルタルの高さの上にはまだ穴が空いています。
また、鉄骨にはエポキシ樹脂のさび止めを塗った上に、濃紺色の油性塗料を塗っています。最初はなす紺色だったのですが、イメージと違った色だったので、油性の赤茶色の塗料を現場で混ぜて濃紺色にしたものです。
下の写真は、1段目のモルタルの上にさらにモルタルを詰めて、土台の穴を完全にふさいでから2段目の棒を横から押しつけて留めたところです。棒を使って横からモルタルを押し込んで、その棒をネジで留めるという荒っぽい作業でした。
下の写真は、1週間後に押さえていた2本の横棒を取ったところです。土台の大きな穴に詰めたモルタルは、完全に固まっていました。柱の重みは土台へ、鉄骨の梁へと伝わるようになりました。
下の写真は、1階トイレの土台と柱の部分です。こちらも水が入っていて、土台と柱が腐った上にシロアリに食われていて、大きな穴が空いていました。
上記と同様にモルタルを詰め込んで固めて処理しました。土台の横にある白い板は、土台のモルタルが漏れないようにしたものです。柱の穴には横からモルタルを押し込んで、板を横から押して、板をネジで仮り留めして、1週間後に外しました。
今まで私が見た土台や柱の穴、シロアリに食われているところは、だいたい水が入っているところでした。腐った上にシロアリに食われるというのが多かったです。乾燥した木でもシロアリは食うそうですが、私はまだ見たことがありません。
腐ったりシロアリの食われやすい部分は、外壁が割れていたり、基礎がきちんとしていなかったりしているところ、ユニットバスではない浴室の周囲の壁、特に出入り口下の土台などです。
防水が甘いところ、湿気が多いところがシロアリに狙われます。築古を見る時は、そのようなところを注意深く見て、あやしそうなところは壁を少し壊して中を見てみる、指を入れてみるといいでしょう。
大穴が空いていたり、腐ってグズグズになっているところでも、上記のようにモルタルを詰めたり、大工さんを呼んで部材を部分的に交換してもらえば直ります。
通し柱の場合は、交換した後に金物で補強すると、より安全になります。
25年ほど前に私が設計した木造住宅で、5年程前にシロアリが見つかりました。通し柱が一部やられていましたが、大工さんに柱を部分的に交換してもらって、今では何事もなかったように建っています。
そこもガスメーター用のドアから水が入って濡れていたところでした。柱を修理するついでに、ドアをアルミサッシュにして、防水仕様にしておきました。
シロアリに食われたり腐った部分のある古い木造は、最初からダメと決めつける業者さんもいます。しかし、建て替えたい業者さん、面倒でお金に大してならない工事をしたくない業者さんもいます。
業者さんは、新築が一番儲かります。業者さんのお話を聞く場合も、注意が必要です。
まとめると、
土台、柱の大穴も、詰め物や交換で修復可能!
となります。