いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
築古の木造物件は、固定資産税が格安で、リフォームすればそれなりの賃料で貸せて、火災保険はかなり入れるといいことばかりなので私は大好きです。
実際、築30年以上の木造を3棟所有しています。ただし、最初はいつもしんどい思いをさせられます。
下の写真は、最近私が買った築古物件のお風呂で、タイル張りです。
バランス釜ではないので、きれいにしてそのまま貸すという選択肢もあるかもしれません。バスタブだけ大きいものに交換することも考えました。
結局、ユニットバスが安く手に入ったので、このタイルとモルタルをはつってみることにしました。木造なので、軸組に不安があったのも壊した動機のひとつです。
ちなみに、このタイプの風呂場は、タイルの下がモルタル( セメント+砂 )と金網、その下がアスファルトを染み込ませた黒い防水紙、その下が普通の木造軸組になっているのが一般的です。
下は、はつった後に壁のコーナー部分を見た写真です。白いコンクリートの基礎の上部で、木の土台が宙ぶらりんの状態になっているのがわかります。
浮かんでいるのは、柱の下の部分が腐ってなくなっているからです。もともとは2階までの通し柱だったのですが、写真では基礎、土台から浮いている状況で、全く効いていません。
良心的な工事では、腰の高さまでコンクリートブロック積みとしますが、私が関係したリフォーム物件、また私の築古物件では、すべてブロックはありませんでした。
そして、すべてのケースで、なんと100%の割合で、土台と柱が腐っていました。
補足ですが、ブロックを積んである場合でも、出入り口の所では土台は下にくるので、そこは腐ってしまうと思います。
ここはセルフリフォームは無理なので、大工さんにお願いして、柱、土台の交換、金物による接合をお願いしました。
間柱( まばしら:壁だけ支える細い柱 )の下には台形状のくさびを入れて、支えてもらうようにしました。追加で発生した大工工事の費用は、材工で4万円でした。
防腐剤はホームセンターから買ってきて、自分で塗布しました。防腐剤塗布なら簡単なので、30分もかかりません。
下の写真は角から左にパンして撮ったものです。3方向の土台を交換しているのがわかります。ユニットバスを入れるために、床にはコンクリートを打ってあります。
木造では、一般的に基礎のコンクリートの上に木の土台をのせます。
コンクリートの基礎の高さを高くする、建物の下の土にコンクリートをのせる( 土間コンクリート )、底面全体を鉄筋コンクリート造の版で作るべた基礎とするなどすると、土台は腐りにくくなります。
私自身の築古体験から思うのは、「 基礎の上に土台を敷いて、その上に柱を立てる木造の作り方そのものがおかしい! 」ということです。
土台が土に近く、風呂の水や湿気にも触れやすいのに、なぜこの工法に? という疑念を持っています。
湿気の多い日本で、このような木造の作り方でいいのだろうか? コストが合えば、1階だけRC造で2階から上が木造がいいのではないかと・・・。
ただ、木材業者さんにお話を聞くと、最近はコンクリートに孔を開けて出てくるシロアリが発生していて、すでに神奈川でも発見されているとのこと。
また、目の詰まったヒノキの方が、薬剤を注入した集成材よりも腐りにくく、シロアリにも食われにくいとのことです。
しかし、ヒノキも木である以上、限界があるように思われます。風呂は湿気が出るところなので、築古の物件は、まず腐っていると考えておいた方がいいかと思います。
以前、ユニットバスのすでに入った築古アパートを都内に買ったことがあります。買った時はリフォーム済みでよかった! と思ったのですが、長い目で見るとどうなのか微妙です。
もしも、土台の腐りを放置したか、見過ごしたかして工事している場合、建物のもちは確実に悪くなります。
ユニットバスは天井には出られますが、床下には無理です。外側の壁を開けないと、中の軸組は見ることができません。
今日のまとめとして
築古木造タイル風呂の裏側は恐ろしいことになっている!
となります。