• 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集
  • 収益物件 売却査定

12,493アクセス

結局、「不動産投資は儲かる」とピケティは言っているのか?

原田ミカオさん_画像 第57話

ピケティによる「 21世紀の資本 」の有名な不等式 r>g の資本収益率 r ( return )は、不動産においては実質利回りで、

 r =( 賃料−年間の減価償却費−修繕費−返済利子 )/
( 取得時の土地建物価格−建物の減価償却費の累計−残債 )


であると、前回書きました。

現在、不動産( 住宅 )は総国富の半分を占めていて、収益計算の大きな部分を担っています。

「 21世紀の資本 」のすごいところは、r ( return )や g ( growth ) の数値が、大雑把には過去2000年間、詳しくは過去300年間のデータから歴史的な事実として導かれていることです。理論ではなくて事実として提示されているところです。

p58「 話を具体的にするため、地方社会における土地の平均収益率は4〜5%くらいだということも述べておこう。ジェイン・オースティンやオノレ・ド・バルザックの小説では、土地が( 政府債のように )投資資本額のおよそ5%を稼ぐという事実( あるいは、資本の額が年間地代のおよそ20年分にあたるという事実 )はあまりに当然のこととされているので、いちいち明記されないことも多い。当時の読者は、年間の地代5万フランを生み出すには、資本100万フランくらいが必要というのを熟知していた。」

p58「 21世紀の初頭の現在、不動産の収益率はおおむね似たようなもので4〜5%だ。 」

興味深いことに、19世紀以前の農業時代の農地の地代と、20世紀以降の不動産の家賃は、収益率が4〜5%程度と同じような値となっています。

P373「 資本収益率が自然に持続的に2〜3%以下にまで落ち込んだ社会はこれまで存在しないようで、私たちが普段目にする( あらゆる種類の投資を平均した )収益率は通常( 税引き前で )4〜5%に近い。伝統的社会の農地収益率は今日の社会の不動産の収益率同様―これらはそれぞれの時代で最も一般的でありリスクの少ない投資形態だ―だいたい4〜5%程度で、超長期的に見ると( 4〜5%から3〜4%へ )若干減少傾向があるくらいだ。」

要はどんな時代のどの国においても、資本収益率 r は平均すると4〜5%程度で安定しているということです。これは税引き前の利回りですが、税率については以下のように書かれています。

p216「 すべての税を考慮すると、資本所得に対する平均税率は、現在ほとんどの富裕国で約30%だ。」

r の4〜5%は、30%の税引き後では2.8%〜3.5%になります。超長期の世界平均と考えれば、この利回りにはそんなものかなと納得がいきます。

次に、不等式 r>g のg ( growth )について、本からピックアップしてみます。

P77「 たとえば2013〜2014年で、世界経済成長率はたぶん3%超で、これは新興国の急成長に負うところが大きい。でも世界人口はまだ、年率1%近い速度で増えており、したがって世界的な1人当たり産出の成長率は、実は2%をわずかに上回るだけでしかない。」

成長率2%はずいぶんと低いように感じます。しかし複利で効いてくるので、2%が100年続くと約7倍、1000年続くと約4億倍と、巨大な数字となってしまいます。産業革命以前の成長率はほとんど0%が実態のようです。さらに最近の中国の高度成長については

p478「 中国などの石油輸出のない新興国が急速に成長しつつあるのはたしかだが、この急成長は、生産性と生活水準が先進国に追いつくと終わることが実証されている。知識と生産技術の普及は、根本的に均等化のプロセスで、比較的遅れている国々がもっと先進的な国々に追いつくと、急速に止まってしまう。」

p341「 ここ数十年の発展途上国( 特に中国とインド )の非常に高い公式成長率は、ほぼすべて生産統計に基づいたものだ。所得の伸びを家計調査データから測定しようとすると、報告されているようなマクロ経済の成長が見られないことも多い。( 中略 )生産成長の過大推計( 官僚にはそうしてしまう多くのインセンティブがある )か、おそらくは所得の伸びの過小評価( 家計調査にもそれなりに不備がある )、あるいはこれが最も可能性が高いが、その両方のせいだろう。」

と手厳しい。中国は公式発表の成長率よりもかなり低い可能性があり、また、その成長も先進諸国に追いつくと急速に終わってしまうということ。また戦後日本やドイツの高度成長について、民族の勤勉さよりも以下のような、実も蓋もない理由を挙げています。

p346「 ヨーロッパと日本における戦後の高度成長期は、実は1914年から1945年のダメージからほぼ機械的に生まれた結果にすぎないのだ。」

日本の高度成長は、破壊からの復興によって機械的に生まれたものに過ぎないということ。そして長期にわたる成長率 g については、以下のような数字を挙げています。

p99「 重要な点は、世界の技術的な最前線にいる国で、1人当たり産出成長率が長期にわたり年率1.5%を上回った国の歴史的事例はひとつもない、ということだ。」

経済成長率 g は、先進国で1.5%程度、途上国を入れた世界全体でも2%程度ということです。よって、4〜5%の資本成長率rは、常に経済成長率 g より大きくなる。すなわち r>g という有名な不等式が歴史的事実として出てきます。この傾向は21世紀に入り顕著になりつつあります。

ピケティの書いたp369、371の「 世界における収益率 r と成長率 g の折れ線グラフ 」は、データ量や重要度によって時間軸がまちまちとなっていました。時間軸がバラバラなのはどうも気になって仕方なかったので、時間軸をフラットにして下のように書き直してみました。横軸が西暦、縦軸がパーセントです。



20世紀に税引き後 r と g が一瞬交差しました( 破壊からの復興と強烈な累進課税による )が、21世紀以降( 予想値 )は19世紀以前の状態に戻るようです。キリスト生誕から現在と将来に渡る大スパンで見て、r>g が成立していることになります。

p393「 r>g という不等式はある意味で、過去が未来を蝕む傾向を持つということだ。過去に創出された富は労働を加えなくても、労働に起因する貯蓄可能な富より自動的に急速に増大する。これはどうしても、過去に生み出された格差、ひいては相続に、持続的で過大な重要性を与えがちになる。21世紀が低成長で高資本収益の時代になれば、あるいは少なくともこうした条件が当てはまる国では、おそらく相続は再び19世紀と同じくらい重要になるだろう。」

つまり、21世紀のこれからは、不動産を相続することが20世紀以上にお得になる、いやそれどころか19世紀的な圧倒的な格差の基盤となると、ピケティは警鐘を鳴らしているのです。

p247「 世襲型資本主義―これは21世紀初頭の現在、台頭しつつある―が何か目新しいものだという印象があるのだが、実は相当部分が過去の繰り返しで、19世紀的な低成長環境の特徴なのだ。」

r>g は不動産投資的かつ個人的に言えば、「 不動産の実質利回りは労働賃金の上昇率を必ず超える 」となります。r>g で return は growth に必ず勝つというわけです。

サラリーマンの息子に生まれたボクがピケティの r>g の話を読むと、「 なんでオヤジは資産をつくっていてくれなかったんだー! 」などと逆うらみをしたくもなります。

しかし考えてみれば、今ミカオが資産を持とうとせずに労働だけやっていたならば、ミカコノコ( 娘 )が同じようなことを将来思うことになるわけです。当たり前ですが、やはり今の時点で自らできるような「 r 」を獲得する行動を、コツコツと続けていくしかありません。

今日のまとめとして
不動産の実質利回り( 約3〜5% ) > 賃金の上昇率( 約0〜1.5% )
となります。
みなさまの建築と不動産の勉強の一助になれば幸いです。

健美家サイト会員登録で最新コラムやニュースをチェック!

健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 原田ミカオさん

原田ミカオ
原田ミカオさんのブログ

■ 経歴

1959年 東京都生まれ。
1982年 東京大学建築学科卒業。
1986年 同大学修士課程修了。
現在、東京家政学院大学生活デザイン学科教授。

2004年から、不動産投資を開始。
現在、アパート5棟、戸建9棟、計51戸を所有。

■ 主な著書

・20世紀の住宅−空間構成の比較分析( 鹿島出版会 )

・ルイス・カーンの空間構成 アクソメで読む20世紀の建築家たち
・1級建築士受験スーパー記憶術
・2級建築士受験スーパー記憶術
・インテリアコーディネーター受験スーパー記憶術
・福祉住環境コーディネーター2級受験スーパー記憶術
・構造力学スーパー解法術
・建築士受験 建築法規スーパー解読術
・マンガでわかる構造力学
・マンガでわかる環境工学
・ゼロからはじめる木造建築入門
・ゼロからはじめるRC造建築入門
・ゼロからはじめるS造建築入門
・ゼロからはじめる建築の設備教室
・ゼロからはじめる建築の法規入門
・ゼロからはじめる建築の施工入門
・ゼロからはじめる建築の構造入門
・ゼロからはじめる建築の計画入門
などゼロからはじめるシリーズ全14冊
( 以上、彰国社 )
など。


ページの
トップへ