• 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集
  • 収益物件 売却査定

8,021アクセス

相場が暴風雨の時、不動産のありがたみが身にしみる

原田ミカオさん_画像 第61話

「 相場はネコの金玉、通り過ぎるとよく見える 」と書いたのが去年の6月。株が絶好調で、株ブログでは、ウハウハの記述が満載の時期でした。

参照:相場はネコの「 きんたま 」。不動産のキャピタルゲインは「 たまたま 」。

その半年後、新年早々の暴落。株ブログを見ると、「 長期、長期 」「 ここでふんばってナンピン買い 」「 そろそろ底を打つか 」などといった言葉が並んでいます。

しかし、「 一度底をついて上昇した、それ買いだ! 」と思ったら、ヘッドアンドショルダー( 小大小の3段の山を形成してから大きく落ちる )のチャート形だった! なんてこともありますから、注意が必要です。

株の動きは企業業績と連動する場合もありますが、どうしても需給で大きく動かされます。実体経済の何倍も蓄えられた巨大資本を動かして、大きく稼ぎまくる巨大ファンド群が、自分に有利な情報を流しながら仕組んできます。

新興国の経済がどうだ、中東が不安定で原油がどうだ、バイオ燃料で穀物がどうだなどと言われて急騰したり、今度はまた新興国経済がどうだ、中東がどうだとか言われて急落したり・・・。

2008年にも原油の急騰急落がありました。その時の原油価格は5年間で約5倍、その後たった1年で約1/3になりました。はたして世界の原油需要が5倍になったり、急に1/3になったりするものでしょうか。

超長期で持ち続ける気で暴落を我慢する場合、同じ株数分、空売りを入れて、ポジションゼロと同じ状態にするツナギのわざがあります。暴風雨が通り過ぎるまで、ツナギを入れておき、そろそろいいかという時期に空売りを買い戻して外せばいいのです。

下がった分の損失はゼロになります。格好良く言うと、ヘッジをかけるわけです。ただ持っていて下がるのを見ているよりも、随分とましです。

以前、外資系トレーダーをやっていた友達にその話をしたら、「 一旦仕切るのと一緒だ。そんなのまったく意味がない 」と言われたことがあります。確かに、すべて売ってしまって、下がってから買い戻すことと結果は一緒です。

本当はそちらの方がいいのですが、気持ちの問題です。格好良く言うと、心理的な問題です。どうしても売りたくないと、持ち続けることにこだわってしまいます。

「 自分は間違ってない、間違っているのは相場だ! 」と、自分の間違いを認めたくないので、最初に建てたポジションを維持しようとします。そういった心理への対策として、ツナギの手法は有効です。

でも、相場が暴風雨の時に感じるのは
やはり持ち続けるなら、株よりも不動産!
なんだなと。

株を資産として、ピケティの r(return)>g(growth) の不等式の資本収益率 r とするには、価格変動が大きすぎます。

参照:ピケティ「 21世紀の資本 」の r は不動産の利回り?

常にマークしていても、暴落は急にやって来ます。配当だって当てになりません。東電の株を大量に保有して、その配当だけで暮らしていた方々も多くいたと聞きますが、原発事故で配当はいきなりゼロとなってしまいました。

こんなことを書いてきたのは、ミカオが随分と相場でやられた経験を持つからです。コツコツと稼いできた利益を、一度の暴落で吹き飛ばしたことがあります。

損切りルールを設定していない最初の頃は、特によくやられました。損小利大を繰り返すのがトレードの基本ですが、損大利小のパターンにはまっていました。

「 10%や20%も一気にやられた。どうやって取り返そう。そろそろナンピンを入れるべきか、いや売りを入れてヘッジすべきか・・・ 」

一旦仕切って離れて遠目で見ていればいいものを、よせばいいのにつまらないことを考えてちょっかいを出し続けたことが何度もありました。自分は「 波の上の魔術師 」にはなれないと自覚することも、いい経験となりました。

相場の暴落時は、不動産はありがたいと感じる時でもあります。不動産は個別の要因が大きいので、株ほど相場の動向に大きな影響を受けません。少なくとも直接、収益に影響を受けません。

外がどんなに暴風雨が吹いていようが、入居者様に生活していただいている限り、ゆっくり構えていられます( 本物の暴風雨の時に雨が漏ることがありますが )。

競争の激しい一等立地の大きな物件ならいざ知らず、いなかの最低価格の極小物件では、ほとんど関係ありません。・・・とはいえ、リーマンショックの数年後に、我が群馬アパートにもその影響がやってきました。

景気が悪くなり、企業が派遣をリストラ。我がアパートも空室率が上がりました。その空室にTVや家具を持ち込んだり、イケアのランプを付けたりと、さんざんやりました。

やはり不動産も株の暴落と関係がまったくないとは言えません。しかし、株を持っている投資家さんほどの、直接的な打撃を受けません。あくまでも間接的な影響です。

こんな相場の暴風雨の中、10年前に購入した群馬のアパートのローンが、ついに終了しました。そしてローン完済の記念月を、満室で迎えることができました。

政府系金融機関で組んだ1,000万の期間10年、金利1.7%、元金均等払い、毎月10万弱のローン。たった月10万のローンですが、それがなくなることは、本当にありがたいものです。

この物件は8畳の1Kで、3点ユニットが12室、駅からの距離は徒歩4分です。任売物件を業者が2棟買ってから分けた築古アパーート( 20年弱 )で、表面利回りは22%ありました。

とはいえ、群馬の地方都市で常に満室というわけにはいかなそうですし、資産評価は価格よりも低くなってしまいます。実際に、先輩の投資家さん達には、だいぶ反対もされました。

正直、今買うかと言われたら躊躇する物件ですが、何といってもその利回りに惹かれました。当時は不動産ブームで、首都圏では10%超えさえ難しい時期でした。8畳の広さも、最低家賃帯の競合と比べて競争力になりそうでした。

2,200万。かき集めると、現金で何とかギリギリ払えそうでしたが、ローンも検討していました。キャッシュフローさん( 加藤ひろゆきさん )に電話で相談したところ、「現金で払えるのになんで借金するの?! 」と言われました。

有名な不動産投資家のKちゃん( 仮名 )には、「ミカオさんは現金使いすぎ!」と言われたことがあり、さてどうしたものかと・・・。エクセルであれこれとシュミレーションしてみましたが、ローンで買うか現金で買うか、一向に結論が出ません。

そこで優柔不断にも、半分現金、半分借金で買うことにしました。アパートを買うのに50%も現金を入れるとは、いまどき馬鹿の見本みたいな感じですが、そうするのが自分としては一番納得がいきました。

買った後に管理業者を変えたら満室になり、以後10年、1〜3室の空き程度でやってこられました。毎年の売り上げは400万弱、毎月のキャッシュフローはローンや経費を引いても20万強を維持していました。

ローンの期間が10年と短かったにもかかわらず、それほどのキャッシュが出たのは、半分現金を入れたことと、利回りが高い割には入居率が良かったことからだと思います。

政府系金融機関では、当時10年ローンしか組めなかったので、結果的に半分ローンで正解だったようです。フルローンで10年では、いくら利回り20%超でもキャッシュフローは潤沢に出ず、下手をするとマイナスが続いたかもしれません。

確かにフルローン、オーバーローンは見かけの利回りが強烈に上がります。ただしそれは、「 実質利回り−金利 」が大きくプラスになるときです。

残債利回りが上がってくるのを見るのは楽しいのですが、家賃が下がる、入居率が下がる、ポンプやエレベーターが壊れるなどが同時に起きた場合、そんなものは簡単に吹っ飛んでしまいます。

ついでに30年などの長期ローンを組んでいたら、残債も大して減っておらず、売って出るにも出られない危険な状況に追い込まれてしまいます。

群馬1棟目のアパートは、元はかなり前に取れている上にローンもなくなりました。ローンのない不動産ほどありがたいものはありません。安く売ろうが安く貸そうがどうにでもなります。朽ちていくにまかせて管理会社にまる投げしていても、ある程度のキャッシュは入ってきます。

この10年、群馬のアパート3棟からのキャッシュフローを使って、戸建てを現金でコツコツと買い進めてきました。数字的には複利運用となります。10年間躊躇して何もしていない場合と比べれば、天と地の違いです。10年前の自分の決断に、今、感謝している状況です。

今日のまとめとして
外が暴風雨の時、不動産のありがたみが身にしみる
ともうひとつ
不動産はマクロよりもミクロ、世界経済よりも入居者様の経済
となります。

みなさまの建築と不動産の勉強の一助になれば幸いです。

健美家サイト会員登録で最新コラムやニュースをチェック!

健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 原田ミカオさん

原田ミカオ
原田ミカオさんのブログ

■ 経歴

1959年 東京都生まれ。
1982年 東京大学建築学科卒業。
1986年 同大学修士課程修了。
現在、東京家政学院大学生活デザイン学科教授。

2004年から、不動産投資を開始。
現在、アパート5棟、戸建9棟、計51戸を所有。

■ 主な著書

・20世紀の住宅−空間構成の比較分析( 鹿島出版会 )

・ルイス・カーンの空間構成 アクソメで読む20世紀の建築家たち
・1級建築士受験スーパー記憶術
・2級建築士受験スーパー記憶術
・インテリアコーディネーター受験スーパー記憶術
・福祉住環境コーディネーター2級受験スーパー記憶術
・構造力学スーパー解法術
・建築士受験 建築法規スーパー解読術
・マンガでわかる構造力学
・マンガでわかる環境工学
・ゼロからはじめる木造建築入門
・ゼロからはじめるRC造建築入門
・ゼロからはじめるS造建築入門
・ゼロからはじめる建築の設備教室
・ゼロからはじめる建築の法規入門
・ゼロからはじめる建築の施工入門
・ゼロからはじめる建築の構造入門
・ゼロからはじめる建築の計画入門
などゼロからはじめるシリーズ全14冊
( 以上、彰国社 )
など。


ページの
トップへ