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最新マンションの現場報告ーく体、設備の新工夫ー

原田ミカオさん_画像 第66話

前回のコラムで紹介した1,550万の自宅物件は、結局0.99%、20年、月返済約6.4万に落ち着きました。月をまたいだらフラット35の金利が若干、上がりました。

また優遇金利を受けるための工事代、書類代を考えると、このままの方が得でした。住宅ローン減税を入れると、当初10年は5.3万になり、だいぶ毎月のフローが改善されました。

収益物件のキャッシュフローで自宅ローンは払えるので、自宅物件は収益物件の後に買った方がいいなと実感します

不動産投資家のくせしてずいぶんとせこい話しだと思われるでしょうが、ミカオはせこさの積み重ねでここまでやってこられました。メガ大家だけが大家じゃない! という実例として見ていただければ幸いです。

■ 最新の分譲マンション建築現場を見て感じたこと

さて、最近、大型分譲マンションの現場を見学させていただきました。供給過剰気味の地域ですが、一期販売はすぐに完売したそうで、まだまだ世の中の勢いは強そうです。

そのゼネコンさんは今は飛ぶ鳥を落とす勢いで、売り上げはスーパーゼネコンに追いつきそうで、利益率ははるかに追い越してしまっています。

下の写真は足場です。既製品の枠を組み立てる枠組足場ではなく、意外にも鉄パイプ( 単管 )を組み立てる単管足場でした。



大型物件では枠組足場が普通だと思っていたので、所長さんに聞いてみました。すると、この足場の支柱は地面の上に置かれているのではなく、1階の床から張り出された仮設の梁によって支持されている、持ち出しの足場とのこと。

なぜそのような足場にするのかというと、外構工事が、足場がじゃまにならずに進められるからです。上の工事と下の工事が同時に進められて、工期が短縮できるからです。なるほど、そんな工夫もあるのかと感心しました。

読者の皆様はPC( プレキャストコンクリート )をご存じでしょうか。工場で事前に( pre )型枠に打ち込んで( cast )つくったコンクリートで、タイルなども同時に打ち込むことができます。

後でRC面にタイルを張るよりも落ちにくく、現場で打つRCよりも精度が高いものができます。型枠大工さんが集まりにくい状況なので、人工( にんく )手間節約の点でも有利です。

下の写真はベランダの先端部分で、その部分だけPCが使われています。PCを、コンクリートを打つ前にく体の鉄筋と結んでおき( 重ね継手 )、コンクリートを打って一体化させます。

雨水を流す溝や立ち上がり部分の複雑な断面と、外側の落ちやすいタイル張りをPCですませて、省力化すると同時に、精度を上げています。



ALCとは発泡軽量コンクリートで、S造の建物によく使われています。軽くて断熱性が良い反面、もろくて弱い、シールが必要などの弱点もあります。

下の写真は、北面の共用廊下に面した雑壁( 構造に関係ない壁 )を、ALCで組み立てているものです。雑壁をRCでつくっても、柱や梁との間に構造スリットをつくり、大地震の時にそこが壊れて構造から離れるようにしなければなりません。構造に雑壁の悪い影響が及ぶのを防ぐためです。

その雑壁にALCを使って、構造と縁を切ると同時に、断熱性能も上げています。ALCの上にはタイルが張られる予定です。ちなみに住戸の南面には壁はまったくなく、柱から柱まですべて窓のサッシという無駄の無い設計でした。



■ ユニットバスの配水管をどうするか

ユニットバスとトイレの排水は、設計では常に迷うところです。ここでは、それぞれの近くに立て管を通すというシンプルな解決をしていました。共用廊下側のPS( パイプスペース )まで排水を流そうとすると、どうしても床を20cmとか15cmは上げなければならなくなります。

下の写真はユニットバス部分で、立て配管が見えます。管には特殊継手が付けられています。特殊継手は、そこで渦を巻くように内部に羽根があり、排水が空気を引っ張らずにきれいに流れるように工夫されています。

しかし、立て管のメインテナンスに若干の疑問が残りました。住戸内に立て管を通すと、共用部分からのメインテナンスは無理となります。何かトラブルがあったら、住戸内の壁をはがさねばなりません。



床スラブ( 床板 )がへこんでいるのは、仕上げがコンクリート直貼りのため、ユニットの入り口で段差ができないようにしています。ユニットの下に排水管を納めるスペースを、床スラブをへこませて作っています。

ここで注目してほしいのが、上の写真右に見える、上からたれ下がっている赤と青の管です。これは給水管と給湯管で、そのアップが下の写真です。

給水管、給湯管は、普通は床下に入れるものですが、圧力がかかっているので天井裏の配管でもいいわけです。排水は重力で流すので、下に持っていくしかありませんが、給水、給湯は上でも可能です。



下の写真は天井スラブに付けられた排気ダクト、電線類です。床を直貼り( コンクリートスラブに直にクッション付きのフローリングを張る )にするために、配管類はすべて天井を通すことになります。

配管のメインテナンスは、要所に天井ハッチ( ふた )を付けておけばいいので、色んな物の置かれた床下のメインテナンスよりも楽です。配管替えも床をはがすよりも楽になります。



大手のマンション現場は、ひさしぶりに見せていただきましたが、設備、く体、仮設に至るまで徹底的に合理化されていました。一昔前のマンション現場よりも、さらに工夫が積み重ねられていて、いい勉強になりました。

■ 本を書き続ける動機

先日、職場のキャンパスを歩いていると、あるメインテナンス業者さんから「 ミカオ先生ですよね? 」と声をかけられました。「 先生の設備の本を読みましたよ。分かりやすくてためになりました 」とのこと。下の写真は、その 『 ゼロからはじめる建築の[ 設備 ]入門 』です。



本を書いていてこんなうれしいことはありません。最近のミカオ本は学生向け、建築士受験生向けに書いています( 編集さんの意向が反映されています )が、現場で仕事をしているプロの方にも役に立っていると知って、大変うれしく感じました。

そういう使い方もしてくれているのかと。ミカオからも「 何か間違いがあったら教えてください 」とお願いしておきました。なにせその方は、毎日設備にふれているプロですから。

上の設備の本は6年前に出版したもので、建築書籍ではロングセラーとなっています。理系大家さんならばお役に立てるかもしれません。設備は建物の質を大きく左右するし、メインテナンスの主要な部分ですから、その基礎知識を身につけるにはいいのではないでしょうか。

ミカオは毎朝4時に起きて、サラリーマンの仕事に出掛けるまでの間、イラストを描き続けています。全てのページにイラストを付けるのは、とてつもなく根気のいる作業です。大変な割にアパート一棟分の印税収入しかなく、いつやめようかとついつい考えてしまいます。

背中を押し続けてくれた大学時代の恩師も、残念ながら、最近亡くなってしまいました。でもこういった読者からの直接の声に接した時には、もう少し続けてみるかという気分になります。

社会的貢献がない仕事など、していても意味がありません。海に向かってひとりで叫んでいるような気分になる時に、読者の方から直接話しかけられると、社会に向かって話をしていたんだと思えるわけです。

最初はきれいだった仕事場も、今では下の写真のようになっています。大量の本と資料を、新しい自宅物件にどうやって納めるかも、今年後半の大きなテーマとなりました。



今回のまとめとして

ALC、PCも使いよう

給水、給湯は天井配管もあり

となります。みなさまの建築と不動産の勉強の一助になれば幸いです。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 原田ミカオさん

原田ミカオ
原田ミカオさんのブログ

■ 経歴

1959年 東京都生まれ。
1982年 東京大学建築学科卒業。
1986年 同大学修士課程修了。
現在、東京家政学院大学生活デザイン学科教授。

2004年から、不動産投資を開始。
現在、アパート5棟、戸建9棟、計51戸を所有。

■ 主な著書

・20世紀の住宅−空間構成の比較分析( 鹿島出版会 )

・ルイス・カーンの空間構成 アクソメで読む20世紀の建築家たち
・1級建築士受験スーパー記憶術
・2級建築士受験スーパー記憶術
・インテリアコーディネーター受験スーパー記憶術
・福祉住環境コーディネーター2級受験スーパー記憶術
・構造力学スーパー解法術
・建築士受験 建築法規スーパー解読術
・マンガでわかる構造力学
・マンガでわかる環境工学
・ゼロからはじめる木造建築入門
・ゼロからはじめるRC造建築入門
・ゼロからはじめるS造建築入門
・ゼロからはじめる建築の設備教室
・ゼロからはじめる建築の法規入門
・ゼロからはじめる建築の施工入門
・ゼロからはじめる建築の構造入門
・ゼロからはじめる建築の計画入門
などゼロからはじめるシリーズ全14冊
( 以上、彰国社 )
など。


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