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ロバキヨのセカンドチャンス。バッキーと三角形の力

原田ミカオさん_画像 第73話

実物資産としての収益不動産と金( ゴールド )は、増し刷りによって価値が薄められる紙幣とは違って、またハッカーや権力によってゼロにリセットされてしまうデジタルの数字とは対照的に、現実に物質として存在し続けます。

宇宙にある118の元素の中で、金はもっとも貨幣として優れた性質を持ちます( 2番目は銀 )。


前回は、ロバキヨの新刊『 金持ち父さんのセカンドチャンス 』のお話から、ゴールドのお話をしました。今回は、バッキーと三角形の構造のお話をしたいと思います。



■ バックミンスター・フラーと三角形について

バッキーことバックミンスター・フラーが、頻繁に『 セカンドチャンス 』に登場します。多くの不動産投資家さんがこの本を読むと思いますので、建築の側から説明を少ししておきます。

バッキー( 1895〜1983 )は20世紀のアメリカの建築家であり、思想家、未来学者でもあります。建築の世界では、ジオデシックドームで有名です。

ジオデシック( geodesic )とは測地学的なという意味ですが、ジオデシックドームはバッキーの造語です。三角形を組み合わせて、球形のドームを作ったものです。

ミカオは学生時代に、バッキーのことを建築史の授業で習いました。変わった建築家だなというのが第一印象。そういう建築へのアプローチもあるのかと。20世紀建築史では、亜流と思ってきました。ずっと歳を取ってから、ロバキヨの本で再び出会うとは驚きでした。

バッキーの考案したジオデシックドームは、レーダードームなど、今でも軍事や気象のための建築に多く使われています。彼は、ダイマキシオンハウスという金属製の工業化住宅も考案しましたが、そちらはあまり実用化されていません。

1960年代、70年代は、三角形や正方形を組み合わせて、大きな屋根をつくるトラス構造が積極的に取り入れられた時代で、大阪万博のお祭り広場( by丹下健三、磯崎新ら )もその実例です。

体育館の屋根で、梁に使われているのをよく見ると思います。格好のいいトラス屋根の例として、関西国際空港( byレンゾ・ピアノ )のS字形に湾曲した屋根があります。関空に行った際は、ぜひ見上げてください。


( 拙著『ゼロからはじめる建築の構造入門』p48から引用 )

ロバキヨは、上図のモントリオール万博のアメリカ館を、若い時にヒッチハイクまでして見に行ったそうで、それも驚きでした。

より少ない表面積でより多くの容積を包むには、球がベストです。ジオデシックドームは球体が基本で、より少ない材料でより大きい空間を作るためです。ガスタンクが球でできているのはそのためです。

ただし重力は一方向にかかるので、石油タンクは球の次に容積を包む円筒形が使われています。球で石油タンクをつくると、最下部に力が集中して、壊れてしまいます。このより少ないものでより多くを成すのは、レバレッジの考え方に相当します。

木や鉄の三角形を組み合わせて橋や大きな屋根を架けるトラス構造は、バッキーの発明ではなく、古くはルネサンス時代の書物、建築四書( アンドレア・パラディオ著1570 )にも書かれています。

木造橋は残っていないので分からないのですが、時代的にはもっとずっと遡れると思います。四角形は平行四辺形に崩れやすい構造ですが、三角形は形が崩れることなく安定します


( 拙著『 ゼロからはじめるS造建築入門 』p52から引用 )

■ 木造に使われている三角形

三角形の形が崩れないことは、木造在来工法( 木造軸組工法 )の筋かいでも使われています。木造の筋かいの場合は、金物でしっかりと留めることがポイントとなります。

いくら太い材を入れていても、地震時に接合部が外れたら意味がありません。この接合部が外れて倒壊に至った実例は、かなりあります。


( 拙著『 ゼロからはじめる木造建築入門 』p43から引用 )

床が平行四辺形にならないように、下図のような火打ちをコーナーに打ちます。これも三角形を使って、直角を維持しています。


( 拙著『 ゼロからはじめる木造建築入門 』p44から引用 )

在来工法に使われている3角形ですが、実は伝統的な日本建築には3角形はほとんど使われていませんでした。地震が多いのになぜ? と思いますが、三角形の構造は、明治になって入ってきたものです。

美意識の上でも、三角形が受け入れがたいと思われていたふしがあります。門などの副次的な構造物では、筋交いも見られますが、本殿には使われていません。民家も、壁の中に竹を編んだものを入れて、それで壁に耐震性を持たせていました( 不十分です )。

唐招提寺金堂の屋根は、構造的な理由から、瓦の重みに耐えられずに全体の骨組みがひずんできていました。そこで屋根裏にトラスを入れて、補強されています。天平の甍にトラスです。唐招提寺に置かれている構造模型を見た時に、複雑な気持ちになりました。

日本では、伝統的なものは良いと盲目的に信ずる傾向があります。建築現場で、大工さんと話していて、そんな金物はいらない! などと言われました。阪神の震災で問題になっているので付けてくれ、いやいらないといった喧嘩になったことが何度かあります。

古建築の釘を使わない工法が素晴らしい( 結構使っている )、地震に柔軟に対応する( 倒壊している) などと喧伝されますが、そうでないことも多いのです。もう少し頭を柔軟にすべきではと思います。

ツーバイフォー工法( 枠組み壁工法 )では、三角形を使わずに、根太やたて枠に構造用合板を打ち付けて、平行四辺形に崩れないようにしています。地震時には、合板の中を三角形状に力が流れます。釘を10〜20センチピッチで打ち付けるので、筋交いのように外れたりしません。

最近の在来工法でも、壁や床に合板を張る工法が多く採用されています。在来工法とツーバイフォー工法が融合しつつあります。在来工法も、構造的に進化しているのです。下はツーバイフォーの構造です。


( 拙著『 ゼロからはじめる木造建築入門 』p45から引用 )

『 セカンドチャンス 』には、抽象的な意味での三角形も多く出てきます。たとえばp222にバッキーからの引用として「 三角形はインテグリティーを持つ最小の形だ 」( インテグリティー:完全性 )とし、三つの教育=学校教育、専門教育、ファイナンシャル教育などが例として挙げられています。

貧乏父さんは学校教育と専門教育しか受けていなかったので、一生お金に苦労したと書かれています。そういえばミカオもそのふたつだけで、ファイナンシャル教育を受けていなかったために、20代、30代ではお金に苦労しました。

若いときの苦労は買ってでもしろとは言いますが、基礎的な教育を受けた上での苦労であるべきかと思います。

今日のまとめとして

三角形は崩れない
ともうひとつ
石頭、古けりゃ良いとは思うなよ!


となります。今回は、『 セカンドチャンス 』にバッキーが出てきたので、建築で使う三角形のお話をさせていただきました。皆様の建築と不動産の勉強の一助になれば幸いです。


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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 原田ミカオさん

原田ミカオ
原田ミカオさんのブログ

■ 経歴

1959年 東京都生まれ。
1982年 東京大学建築学科卒業。
1986年 同大学修士課程修了。
現在、東京家政学院大学生活デザイン学科教授。

2004年から、不動産投資を開始。
現在、アパート5棟、戸建9棟、計51戸を所有。

■ 主な著書

・20世紀の住宅−空間構成の比較分析( 鹿島出版会 )

・ルイス・カーンの空間構成 アクソメで読む20世紀の建築家たち
・1級建築士受験スーパー記憶術
・2級建築士受験スーパー記憶術
・インテリアコーディネーター受験スーパー記憶術
・福祉住環境コーディネーター2級受験スーパー記憶術
・構造力学スーパー解法術
・建築士受験 建築法規スーパー解読術
・マンガでわかる構造力学
・マンガでわかる環境工学
・ゼロからはじめる木造建築入門
・ゼロからはじめるRC造建築入門
・ゼロからはじめるS造建築入門
・ゼロからはじめる建築の設備教室
・ゼロからはじめる建築の法規入門
・ゼロからはじめる建築の施工入門
・ゼロからはじめる建築の構造入門
・ゼロからはじめる建築の計画入門
などゼロからはじめるシリーズ全14冊
( 以上、彰国社 )
など。


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