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賃貸経営最大の危機とは、「寝たきり」になることだ。

原田ミカオさん_画像 第87話

ボクが心停止を3回もやらかしたことは、前回のコラムで書きました。最近でも、有名なタレントさんが急性心不全で亡くなりました。

急性心不全では、蘇生が1分遅れると蘇生率は10%下がる、5分で蘇生率50%。救急車の到着時間は約8分なので、周りが何もしなければその時点で蘇生率は20%しかありません。また病院外の場合、たとえ蘇生してもかなりの確率で後遺症が残ると言われています。

状況的にボクは、とっくに灰になっていてもおかしくないレベルでした。運よく後遺症なく蘇生して、今は半年の休職中でリハビリの毎日です。サラリーマンは休職といい共済といい、守られているのだなと実感しています

不動産の危機は、空室やリフォームが重なってマイナスのCFとなるとか、資金ショートとかあるでしょうが、不動産経営最大の危機は、自分が寝たきりになることだと思います。死亡してゲームセットとなるよりも、たちが悪い。

なにしろ何もできない、出歩くことはもちろん、電話もメールもできない上に、団信などの保険も出ません。入院が長引けば、保険の効かない金額や差額ベッド代、食費もびっくりするほど高額になります。さらに本業を失えば、一気に破産しかねません。

フローばかり考えずに、ある程度の現金のストックは必要です

■ 病院のベッドで寝たきりになるという経験

下の絵は、姉にボクの様子を簡単にスケッチしてくれと頼んで描いてもらったものです。寝たきりの自分がどうなっているのか知りたくて、でもICUではスマホ不可で写真が撮れないので、手帳にスケッチしてもらったものです。



こんなあり様でもICUに入って何日か経ってからで、非常につらかった人工呼吸器( たんの吸引は拷問に近い )もはずれて楽な酸素マスクとなり、左の点滴も6段から4段に減ったところです。左がミカコ( 妻 )、右がミカコノコ( 娘 )。

左のモニターはボクの心電図、右のモニターはICU内のすべての部屋の心電図です。心電図モニターは入り口脇のキャスター付き作業台や、入り口ドアの上にもあります。

この心電図がピッピッと音を立てていて、まずい脈が出るとピーンピーンと音が段階的に大きくなります。自分の心電図の音を24時間ずっと聞いているのは、それこそ心臓に良くありません。

壁で囲まれた4m角程度の部屋ですが、入り口のドアは閉めてはいけないらしく、他の患者さんの心電図の音や苦しむ声も、一日中聞こえてきます。夜中でも、医療関係者の走り回る姿が見え、声やバタバタという足音が聞こえてきます。

そんな戦場のようなところに、薬漬けで10日間寝かされていました。まず数日で腰が痛くなります。トイレも大変。

ミカコノコに「 パパの人生の目標は歩いてトイレに行って帰ってくることだ。どーだ、高い目標だろ? 」と冗談を言っていました。その「 人生の目標 」は10日ほど経ってからようやく実現することになります。

■ ストレスと薬のせいで現れた幻覚・幻聴

ストレスと薬漬けのため、幻覚を見るようになってしまいました。両開きの扉の上に、1mほどの壁があります。夜中、その壁に赤い線で絵が見えるのです。

鉄腕アトムに出てくる御茶ノ水博士( 知らない? )が30人程で1グループ、それが15グループ( 数える理性がありました )壁に映るのです。何度まばたきしても消えません。なんで御茶ノ水博士なのか???( アトムじゃなくて )

またある時は、源氏物語絵巻のような天井を取り外した和室が多く並んだ武家屋敷の立体的な図( アクソノメトリック図 )がやはり赤い線で現れ、そこに大勢の侍の姿が!

そして刀を抜いて戦っているのです。自分の幻覚の絵ながら、これは見事なものだ! と感心して見入ってしまいました。何度まばたきしても消えません。

だんだん幻覚はひどくなり、昼間でも天井に細かい模様が見え、ICUの廊下に油絵が並んで見えたりしました。油絵の様々な色彩や細部の凹凸まで、はっきりくっきりと見えるのです。

ゴッホの絵で空が燃えるようなものがありました。今までイマジネーションでそのような形を描いているのかと思っていました。実は本当に見えていたものをそのまま描いていたんじゃないかと、そんなことも考えました。

ICUに入って9日、10日経つころには、錯乱状態になり、合唱の声がお茶碗の中から聞こえてきたり、死神がお前は9時半に死ぬと言ってきたり、寝ようとするといろんな幽霊が触ってきたり…。

また被害妄想がひどくなり、自分は殺されると完全に思い込んでしまいました。麻薬常習犯が殺されると思って暴れたという記事がありますが、まさにそんな感じです。

あとでネットで調べたり医師に聞いたところ、このような症状はICU症候群と言ってICUでは頻繁に起こるそうです。一般病棟に移ると、幻覚はころっと治ってしまいました。

■ 家族に不動産のことを伝えておかないことのリスク

スマホも使えるようになってメールはでき、決められた場所では電話も可能となります。しかし困ったことに、のどに人工呼吸器が入れてあったため、のどが枯れてまともな声が出ない、かすれ声しか出ない( まともな声に戻るのに1か月半程かかりました )。

戸建て2棟を買った直後で、リフォームをしなければならず、打ち合わせや見積もり調整などが大変でした。電話はミカコに頼んでしてもらうのですが、これが伝言ゲームでまた大変。

家族はボクの面倒を見るだけで必死なのに、不動産までやらされる始末。
普段から一緒に不動産をやっていないと、急にはなかなか対応できません

今回はミカコの練習台だと思って、少々コストは高くなったけど見積もり調整や現場管理はすべてミカコにお願いしました。また生活のお金関係も、ボクは病棟から出られないので、すべて家族にお願いしました。

銀行、貸金庫、カード、メールなどの暗唱番号を家族に覚えてもらっておく、いざという時のために、物件ファイル別に管理会社、リフォーム会社、ガス会社などを書き留めておくぐらいはやっておきました。でも今回は、それだけではまったく足りませんでした。

死ぬとか寝たきりとか自分には関係ないとお思いの、元気のいい読者の方も多いかと思います。ボクも心停止する前日までそう思っていました。しかし約2か月の入院で、いろんな年代の方々を見てきました。元気のいい若い方も、あまり無理しないことをお勧めします。

不動産のリスクについては、いろいろと語られています。低利回り物件のフルローン、オーバーローン、空室、リフォーム、事故物件化などによる資金ショートがその代表でしょうか。

しかし、もっとも大きなリスクは、自分が大病して寝たきりになること、長期入院することではないでしょうか。その状況を救ってくれる人は、自分の家族しかいません。間違いありません。

普段から一緒にやっていれば、いざという時にもスムーズに事が運びます。ボクはこれからは、家族3人で一緒に、楽しみながら、無理のない小規模な不動産経営をやっていこうと思っています。

今日のまとめとして

不動産経営は家族経営が一番!
個人で突っ走ってはいけません


となります。皆様の勉強の一助になれば幸いです。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 原田ミカオさん

原田ミカオ
原田ミカオさんのブログ

■ 経歴

1959年 東京都生まれ。
1982年 東京大学建築学科卒業。
1986年 同大学修士課程修了。
現在、東京家政学院大学生活デザイン学科教授。

2004年から、不動産投資を開始。
現在、アパート5棟、戸建9棟、計51戸を所有。

■ 主な著書

・20世紀の住宅−空間構成の比較分析( 鹿島出版会 )

・ルイス・カーンの空間構成 アクソメで読む20世紀の建築家たち
・1級建築士受験スーパー記憶術
・2級建築士受験スーパー記憶術
・インテリアコーディネーター受験スーパー記憶術
・福祉住環境コーディネーター2級受験スーパー記憶術
・構造力学スーパー解法術
・建築士受験 建築法規スーパー解読術
・マンガでわかる構造力学
・マンガでわかる環境工学
・ゼロからはじめる木造建築入門
・ゼロからはじめるRC造建築入門
・ゼロからはじめるS造建築入門
・ゼロからはじめる建築の設備教室
・ゼロからはじめる建築の法規入門
・ゼロからはじめる建築の施工入門
・ゼロからはじめる建築の構造入門
・ゼロからはじめる建築の計画入門
などゼロからはじめるシリーズ全14冊
( 以上、彰国社 )
など。


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