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心停止から1年間の不動産経営。母の不動産を相続。防音工事の注意点。

原田ミカオさん_画像 第89話

みなさん、こんにちは! ミカオです。こちらのコラムを書くのは久しぶりです。去年の2月に心停止3回やってからなんとか蘇生し、ついに1年を生き抜きました!心臓の具合も8〜9割がた回復したようです。

最初の心停止のときは30分も蘇生までかかったそうです。心臓マッサージと電気ショックを15分しても蘇生せず、もう1回転やってようやく自分で脈を打ち出したようです( その間、ボクはまったく意識無し )。

その後ICUで2回心停止したわけですから、今、生きているのが本当に不思議です。普通に生きているだけで、ありがたいと感じます( 86回87回88回のコラム参照 )。


87話でも紹介した姉の書いた僕がICUにいたときのスケッチ

■ 母の他界

悪い事は重なるもので、退院後すぐに母が他界しました。ボクは体調を崩していて葬式にも出れず、大変な親不孝をしてしまいましたが、母より先に逝くという最大の親不孝だけは避けられました。

父は海軍に従軍しており、母は軍需工場で働いていたという、両親そろって10代で戦争を体験し、なんとか生き延びてきました。軍需工場で高校時代を過ごした母は高校を出るため、ボクが大学生のころに通信制に通ってました。

他界する1年ほど前、母は不思議な話をしていました。軍需工場で働いていたとき、空襲警報が鳴って穴に飛び込んだ。すると上空をB29が飛んで、アメリカ兵が見えたと。

大宮と熊谷の中間あたりの小さな工場だったので、爆撃は免れたようでした。しかし爆撃機のアメリカ兵が見えたとは! そんなに低空を飛んでいたのだろうか。まさかと思い、何度も聞いたけど、本当に見えたと。

母は最期まで呆けずにいたので、嘘を言うはずもない。終戦間際は制空権が完全に奪われていて、米軍機に完全になめられていたのかもしれません。

また戦争中は、竹やりを本当に用意していたそうで驚きです。B29に竹やりって本当だったんです。嫁さんのミカコに母が「 ミカコさんは学校でナギナタを習ったの? 」なんてトンチンカンな質問をしていたのも記憶に残ってます。

そんな母は、終戦後はアメリカ資本の商社で、タイプライターを打っていました。埼玉の田舎町から東京駅まで毎日蒸気機関車の引く混んだ列車で通ってました。なんと丸の内で働く外資系OLのはしりだったわけです。

そのころの東京駅の大きな屋根が忘れられず、リフォームされた東京駅の小さなドーム屋根を見て、前の方がよかったと言ってました。

■ 母の物件

母は不動産を持っていました。練馬の私鉄沿線で急行が止まらない駅ですが、この不動産にはさんざんお世話になっています。

ボクが20代の頃に設計したもので、土地は45坪程度、2階に父母の住宅、1階の2/3を貸せるようにし、1/3はボクの設計事務所用のスペースとしました。最初から共同住宅としてつくったわけです。

その後、ボクの設計事務所は別に移し、1階は3戸のアパートに。次に父母は介護サービスの付いた高齢者専用賃貸住宅に移り、4戸すべてを貸すようにしました。おかげで年金生活の父母でも、毎月の収支はプラスで推移しました。

下は2階を貸すようにしたときに撮った写真です。



2階の居間で、コーナーから隣の緑を借景しています。アールの付いた天井に、高窓をつくってそこから光が注ぐ設計です。アールの梁を表しにして、現代的な和風のデザイン( 雑誌に載せたときはアンティークイノベーションとアピール )としています。



2階に広いベランダを付けて、道路からは見えないように建物でL字形に囲んでいます。ペンダントライト( ポール・ヘニングセンのデザイン )のぶら下がっているところがダイニングテーブルが来る予定の場所です。



8畳の和室だったところを、貸すということでフローリングに変えました。照明器具は残念なデザインのものがぶら下がっています。奥の床の間には上からトップライトが入り、白い壁が光る仕組みです。左下の立て格子の建具の中に空調機を入れています。

1階の各住戸も、あれこれと凝ったつくりで、周囲の普通のアパートとは圧倒的な差別化が効いています。ありがたいことに常にほぼ満室状態です。

相続税もほとんどかからなかったような小さな物件ですが、毎月のCFは30万弱生んでくれています。第44話でも詳しく紹介していますので、よろしければ参照ください。

■ 姉との覚書き

母が他界して、相続が発生しました。もともと普通のサラリーマン家庭だったため、大した資産はありませんが、この不動産がありました。税理士さんなどは「 売ってしまった方があとあともめずに済む 」と。

しかし、売っても土地値−解体費になってしまい、あまりにももったいない。しかもボクの設計だ( ここが重要 )。これはボクが死ぬまで一緒に働いてくれる物件と思い、持ち分1/2ずつの共有で相続することに。

そのために覚書をつくり、お金の流れ、不動産管理会社から振り込まれる銀行口座名義とそこにストックするリフォーム代。毎月の収入の分け方、互いが死亡時の次の持ち分、その次の死亡時の持ち分など。

あれこれと細かい規定を書き込んで、姉や甥に読んでもらい記名捺印してもらいました。ボクの死後にミカコと姉がもめないように。その記名捺印の作業が、なんと、心停止前日の病院の病室でのことでした。

姉と甥が見舞いに来てくれたついでに、記名捺印してもらったわけです。ICUで寝ているときに、あれがあればボクがこのままICUで逝ってもなんとかなるな。やっておいてよかったーと思ったものです。

ICUで両手に点滴を打たれて寝たきりになっていたとき、生きて出れないかもと思っていたので、不動産の有難みを実感していました。

この状態で不動産もなく、職もやめなければならず、たとえ蘇生しても後遺症で本を書く仕事もできなく、大病で大金を失って文無しになったら、家族を絶望させてしまうだろう。

・・・というか、自分が絶望してしまうだろう。でもあれだけ不動産があれば、なんとか家族で地味に生きていけると。不動産は最後のセイフティーネットだなと毎日考えていました。

相続の手続きは、ボクがまだしんどい状態だったので、司法書士さんと税理士さんに頼みました。無事年末までに手続きを終え、母の物件はボクと姉の物件になり、今も毎月のCFを生んでくれています。

今回初めて経験したことですが、物件を相続するってすごく楽ですね。今までボロを買って直すとか、ローンを頼むのはどこにしようとか、ローンではどれくらいCFが出るか計算しまくるとか、あれこれと大変だった。地を這うような不動産投資でした。

しかし相続では、当たり前ですが相続だけで自分のものになります。ボクの場合は戸建て並みの小さな物件で、それも姉との共有なので大したことありません( それでも相当ありがたい )。

これが大型の物件だったり、立地のいい大きな土地だったりしたら、相続するだけ、それだけでいいわけです。まあ、そんなこと考えても仕方ないので、地道に今までどおりの不動産投資をやっていきますが。

■ 戸建て風味なアパートの防音工事の注意点

母の物件は、戸建てのような共同住宅、戸建て風味のアパートでした。ボクはその方が、建築として、住空間として魅力があると思っています。

アパートはどうしてもワンパターンの部屋が並んでしまい、工夫は壁の装飾や表面材くらいです。戸建て風味なアパートは、設計は大変ですが、いろんな工夫や空間が封じ込められ、楽しさがあります。

しかし、いろんな人と住むと、いろいろな問題が出てきます。一番大きいのが音の問題です。そのため、あとからあれこれと、音を止めるための追加工事をかなりしました。

そこで似たようなことをする人のために、音を止める工事の注意点を書いておきます( 木造の場合限定 共同住宅は特殊建築物ですから戸建てを改造する場合は法規制にご注意ください )。

1)壁は12.5ミリの石膏ボードを双方2重にする。石膏ボードは安い( サブロク板一枚500円未満 )なので、2重、できたら3重に張る。

2)壁は天井裏まで通す。レオパレスが界壁を天井裏に貫通させていなかったので問題になっていますが、あれでは天井を通して音が伝わってしまいます。また火事の際にも火が横に移りやすくなります( 石膏ボード12.5ミリは不燃材 )。

3)壁の中にはグラスウールを詰める。壁を空洞のままにしておくと、太鼓のように空気が振動して( 共振して )、音が伝わりやすくなります。そこでグラスウール (ガラス繊維の不燃材のわた )を詰めて、空気が振動しないようにします。これをやらないアパートもありますが、グラスウールを入れるとだいぶ変わります。

4)天井を吊るのに、2階の根太に直接吊り木を打たずに、吊り木受けという横棒を天井と2階床の中間に渡し、それに吊り木を打つ。すると床の振動が直接天井に伝わらなくなります。これも今の木造では省略する傾向にありますが、意外と効果があります。

5)天井の上にグラスウールを敷く。壁と同じで天井裏の空気の振動を吸収するようにグラスウールを入れます。グラスウールを敷いた天井裏に入って話をすると、声が吸収されて、かなり小さく聞こえます。外部に面しない限り断熱の意味のグラスウールを入れないことが多いですが、壁と同様に入れるべきです。

6)天井板は、石膏ボード12.5ミリを2重に張る。普通の木造では、天井は石膏ボード9.5ミリ1枚がほとんどですが、音の抜けが違います。重い板ほど音を透過させないので、天井にも厚い石膏ボードを2重張りにすべきです。

このような少々大げさな追加工事をやって、母の物件は音が抜けにくくなり、快適になりました。ボクの書いた「 ゼロからはじめる木造建築入門 」もぜひ参照してください。2009年出版で10年のロングセラー、今年もまた重版がかかりました。



今見たら、アマゾンの一般建築関連書籍ランキングで1位になっていました( 苦労して約300頁の絵を描いたのでうれしい! )。

今日のまとめとして

戸建て風味のアパートは住んで楽しい

です。皆様の建築と不動産の勉強の一助になれば幸いです。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 原田ミカオさん

原田ミカオ
原田ミカオさんのブログ

■ 経歴

1959年 東京都生まれ。
1982年 東京大学建築学科卒業。
1986年 同大学修士課程修了。
現在、東京家政学院大学生活デザイン学科教授。

2004年から、不動産投資を開始。
現在、アパート5棟、戸建9棟、計51戸を所有。

■ 主な著書

・20世紀の住宅−空間構成の比較分析( 鹿島出版会 )

・ルイス・カーンの空間構成 アクソメで読む20世紀の建築家たち
・1級建築士受験スーパー記憶術
・2級建築士受験スーパー記憶術
・インテリアコーディネーター受験スーパー記憶術
・福祉住環境コーディネーター2級受験スーパー記憶術
・構造力学スーパー解法術
・建築士受験 建築法規スーパー解読術
・マンガでわかる構造力学
・マンガでわかる環境工学
・ゼロからはじめる木造建築入門
・ゼロからはじめるRC造建築入門
・ゼロからはじめるS造建築入門
・ゼロからはじめる建築の設備教室
・ゼロからはじめる建築の法規入門
・ゼロからはじめる建築の施工入門
・ゼロからはじめる建築の構造入門
・ゼロからはじめる建築の計画入門
などゼロからはじめるシリーズ全14冊
( 以上、彰国社 )
など。


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