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1,000万円単位で得する不動産の選び方・買い方を大学で教えてみた

原田ミカオさん_画像 原田ミカオさん 第97話 著者のプロフィールを見る

2021/9/5 掲載

みなさん、こんにちは!ミカオです。コロナの影響で後期の授業は10月末までリモートになってしまいました。普通の授業はzoomとyoutubeを併用することでできるようになりましたが、設計製図の演習はちょっと厄介だなーと思っています。

3年以降はCADですぐに画面共有できるのですが、2年までは手書きなので、書いた図面をスマフォで撮って歪みを修正後にパソコンに入れて共有し、それを添削することになります。

ボクは液晶ペンタブレットを使っているので添削は簡単にできるのですが、スケールが分かりづらく苦戦しています。その場その場でちょっと添削するということができず、毎回、写真に撮ってアップさせる手間がかかってしまいます。今どんな具合だろうと、ちらっと覗いてみることもできません。

■ 3年ゼミ生に不動産を教えることに

今までゼミは4年生から始まり、ボクの研究室は設計をやっていましたが、去年、3年生もゼミを取るようにカリキュラムが変更となりました。3年生は設計の演習があって、目いっぱい設計に時間を取られているので、設計以外のテーマを探しました。

ボクは基本的には設計製図を教えるために、今いる大学に雇われましたが、不動産を教えるのも学生のためにもなり、後の建築の仕事にも役に立つのではと考えました。ボク自身、小さな不動産で実践してきたのでなんとかなるかと。

不動産を教えるといっても、テキストを使って宅建のような授業をして、レポートを書かせるなんて退屈なことをやっても、寝てしまう気がします。やはり実践的、演習的な内容がゼミならでは。

そこで前期は自宅を、後期は収益物件をネットから探して各自で評価するというトレジャーハンティングをやることにしました。面白がってやった方が、設計でも不動産でも身につくのでは。「 宅建より物件 」( 確か加藤ひろゆきさんのお言葉 )という考えを30回の演習を通じ、体で覚えてもらうことにしました。

たくさんの大家さん予備軍を見ましたが、まじめな人ほど「 物件より宅建 」という志向に陥りやすいように思えます。気楽に物件検索をし続け、評価をし続け、実践では指値を入れ続けるのがいいのではと思っています。

ボクの同級生に某有名商社にいてREITの組成をやっていた友達がいます。不動産業界ではエリートですが、以前同窓会で会った時、「 自分で不動産を持つ勇気がなかった 」と言っていました。またM地所にいる同級生はエレベーターが2段で動くような超超高層ビルを丸の内に計画していますが、自分で不動産となると…?といった感じです。

エリートは中古の利回りの高い物件や再建不可の瑕疵のある土地を扱う気がないのか、あるいはそもそもリスクを取る気がないのかもしれません。そんなリスクを取らなくても、彼らは十二分に生活できますから。

■ 住宅展示場、マンションギャラリーに行くな!

大学に入った時から学生によく言ってきたのは「 5年後、10年後に自宅をどうしようかと思った時、住宅展示場やマンションギャラリーには行くな!」ということ。このことは毎年毎年、繰り返し言っています。

ハウスメーカーに行った卒業生からは「 商売の邪魔をするな!」とよく言われます。家を考えるのなら、まずは展示場やマンションギャラリーに行って実物を見るのがいいと、アドバイスする人も多くいます。

30歳、結婚して2DKのアパートでは嫌になってきて、そろそろ家が欲しい。展示場に行って、とりあえず入口から一番近い家に入ってみる。( 入口に近い立地のハウスメーカーほど、高い賃料を払っているのでコスト高 )。素敵なインテリアにうっとりとするけど、そんなお金はないなー・・・となる。

そこにすかさず営業さんが近づいてきて、フラット35がありますよとささやく。「 ふらっと入った展示場でつかまってしまうので、フラット35 」( 確か吉川英一さんのお言葉 )。その時から65歳までの35年間、住宅ローンの奴隷として働かねばならなくなります。フラット35はありがたいローンですが、値段次第です。

新築で買った家は利益が3割ほど乗っているので、すぐに売ると3割は損をする。じゃあどうしたらいいの? ボクの答えは「 質のいい中古を探せ 」。中古住宅は相手が個人なので指値は効くし、利益もさほど乗っていない。

利益を乗せて売り逃げようとする物件は、買わなければいい。だけど中古は、玉石混交で選ぶのがやっかい。高いのか安いのかわからない。建築を見る目も必要。値段の評価もしにくい。

すぐにでも新しいものが欲しい、ファストフードになれた消費者が、中古の不動産を根気よく探し続けるのはなかなか難しい。友達の奥さんに「 中古を探せば 」と助言したことがあるけれど、1日検索しただけで、「 中古はいい物件がない 」とすぐに諦めて新築マンションを買われました。

■ なぜ中古をすすめる人が少ないか

なぜ中古をすすめる人が少ないかというと、理由はいくつもあります。建築業者は新築で儲けたいから、不動産仲介業者は値が高いほど仲介手数料が稼げるから、国は経済を上向かせて税収を上げたいから。

新築住宅を買うと、ハウスメーカー、銀行にお金が入り、家具、カーテン、ついでに新車まで買う人もおり、税収もアップ。経済指標に新築着工数があるのはそのためです( 中古を大事にするアメリカでも使われる指標 )。

「 中古は壊して新築を建てましょう 」。ここばかりは環境のことは無視して、誰もがそう言います。TVはハウスメーカー、マンションメーカーがCMのお客さんに多く、夢を売る画像を流し続け、普段は環境問題、サスティナビリティとうるさいマスコミも新築礼賛は変わらない。

学生には次の動画を最初に見てもらっています。中古を安く買って直すのは面白いとわかってもらうためです。

■ ローン計算、立地、値段の判断

ローン計算は、スマフォにローン電卓アプリを入れて、その場でやってもらいます。中古なら期間20年、金利2%とかで。エクセルシートもつくって渡してありますが、アプリの方が早いです。色んな値段のローンをその場で計算することで、毎月の支払いにいかに影響するか、知ってもらえます。

築年の古い中古でも自宅ならばフラット35は使えます( フラットとは金利が平らという意味 )。固定金利なのに途中で売って繰り上げ返済をする場合でも、銀行のような高い違約金はかかりません。

値段が5,000万と1,500万では、ローン支払い額が天と地の違いです。ボクのようにマニアックに300万台を狙わなくてもいい。1,500万も出せばかなりいい中古物件が見つかると励まします。リフォームに贅沢に500万かけても、まだ2,000万です。

毎月6万で買えるものもあれば、20万にもなるものもあります。「 今日は新築を検索してもいいよ 」と言うと、学生は喜んで綺麗な物件を探してきます。しかし、ローン額を見てビックリです。

区分の場合は、管理費、修繕積立金をローン返済額に足して計算。合計すると意外と大きくなります。毎月のことなので、管理費、修繕積立金はばかになりません。ボクは自分でコントロールできない管理費、修繕積立金のある、建て替え決議の必要な区分は避けます。合議制はかなり面倒です。

立地は駅からの距離はいうまでもなく( 引っ越して貸す、売るがしやすい )、川が近い場合はハザードマップを必ずチェック、低地・崖地・急傾斜・谷の出口は避ける、低地は水の危険だけでなく地盤の緩さから地震の震度が上がるので要注意。軟弱地盤の場合、構造計算では木造にかかる地震力を1.5倍に見積ったりします。

安い物件は川の近くや崖下が多い。海の近くの低地は液状化しやすい。擁壁も2m以上やブロック造は慎重に判断する。便利な立地でも避けた方がよい場合もある。こういったことを都度教えています。

道路付けが重要なこと、42条2項道路、43条の2m接道義務は最初に教えます。できたら日当たりの良い南道路で、駐車場ありの戸建がいいと。ただし、ピロティを駐車場としている場合、地震に弱いので補強が必要。

在来よりもツーバイの方が、一般に地震に強いが、ツーバイ物件は業者が少ないので売り物件も少ない。その他、日常の買い物がしやすいところ。それらはすべてネット検索で調べられます。いずれにしろ、値段との相談です。

■ 物件価値を計算し、買い付け証明書を書いてみる

土地値は、全国地価マップから固定資産税路線価を調べ、0.7で割る、近場の公示地価を路線価で比例計算するなどして実勢価格の見当を付けます。木造では15万/u、50万/坪程度で計算し、22年で割って年あたりの償却分を出し、築年でだいたいの建物価値を計算する。

築年数が20年を超えていたら建物価値はゼロ、10年で約半分とざっくり計算でも可。ほとんどの安い物件はゼロになります。面倒なので15年以上はゼロとすることも。こうやって計算したものを「 買い付け証明書 」に書き、指値に説得力を持たせます。また周囲の物件価格も調べて、自分の価格査定に反映させます。

毎回、さまざまな不動産サイトで検索してもらい、これはという物件を見つけたら、各自で評価し、zoomの画面共有で、皆でそれを見ます。若い人は検索が得意で、手際よくネットを使えると感心させられます。

たまに、これは本当に買ってもいいのではという物件も釣り上げます。このあたりの話は以下にまとめてあります。

https://mikao-investor.com/youtubemenu/realestate/

■ 不動産は数のゲーム

買い付けの練習もします。「 買い付け証明書 」をダウンロードしてもらい、必ず値切って買うように言います。値切るのを忘れると高くつきます。仲介業者はあれこれ言ってきますが、かまわずに自分の指値を機械的に入れます。

戸建の場合、売主さんは業者ではなく一般の方なので、大きな利益は見込んでないはずです。交渉で徐々に切り上がりますが、一定以上になるようならさっさと諦めます。それを繰り返して、物件取得まで繰り返すようにと話しています。

「 不動産は数のゲーム 」
「 100:10:3:1の法則。100件見て、10件に申し込みを入れて、3件通って、そのうちの1件を買う 」
「 一生に一度の買い物は毎週末ある 」

こういった先人のありがたいお言葉は、学生の前で繰り返し言うようにしています。

「 買い時 」「 売り時 」という評論家の言葉に惑わされず、自分のペースでやり続ける。相続を急ぐ人、任意売却をする人などさまざまで、次から次に物件は出てきます。ボクも相続がらみ、任売がらみで購入したものが複数あります。

今晩1時間探していいものがなくても、めげずに明日もまた1時間検索に使う。バスや電車の中は検索に使う。ターゲットのエリアをある程度大き目に決めて、半年間、毎日検索を繰り返せば相場観ができてくる。その後の半年で本格的に買いに行くといい。要は1年がかりで買うということです。

大根を安く買う努力( 10円単位 )の100万倍の努力をするとよい。小さい節約は、チリが積もっても山となる前に人生が終わってしまうけど、不動産は一発で1,000万単位の節約となる。どちらにエネルギーを使うべきか、ちょっと計算すれば自明です。

一生懸命仕事をしている自分に「 ご褒美 」と高い家を買うという話も聞きますが、ご褒美はケーキくらいにしておくのが無難。頭金は給料の1/3を機械的に天引きして貯める。夫婦で稼げば、スピードは倍になります。

■ 重説、契約書などの書類関係

ボクの物件のファイルを学校に持って行って、重説、契約書、登記、保険などの書類の実物を、学生に見てもらっています。しっかり見ればいい勉強になるのに、学生はぼんやり眺めているだけなので、もったいないなーと思っています。

ファイルは、ケチらずにしっかりとした厚めのA4クリアファイルに入れること。色んな書類、図面があるので、不動産屋さんからもらうファイルでは足りなくなると言ってあります。

前期はこんな感じで毎回、自宅物件を検索してもらい、皆で評価することをやり、学期の最後に物件をひとつ選んで分析とともにレポートにしてもらいます。「 買っても大丈夫そう 」という物件もいくつかレポートにありました。

若い人は吸収が速いし、検索もボクよりもずっと早いです。どこから探してきた?という物件もたびたび登場しますので、ボクもやっていて面白いです。やはり、トレジャーハンティングが不動産の醍醐味です。

実践で応用できるか否かは卒業後の行動次第となります。たまに卒業生から、「 いい物件を教えてくれ 」と言われますが、「 そんなのがあったらボクが買う 」と言って断ります。自分で安い中古の判断ができないなら、高い新築を買えばいいのです。

授業で使った動画やエクセルファイルはこちらにまとめてあります
https://mikao-investor.com/youtubemenu/realestate/

今日のまとめとして

不動産の勉強はトレジャーハンティングで!
「 宅建よりも物件 」をゆめゆめ忘れない!

となります。皆様の参考になれば幸いです。

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プロフィール

■ 原田ミカオさん

原田ミカオさん

原田ミカオさんのブログ:
https://plaza.rakuten.co.jp/mikao/


■ 経歴

□1959年 東京都生まれ。

□1982年 東京大学建築学科卒業。

□1986年 同大学修士課程修了。
現在、東京家政学院大学生活デザイン学科教授。

□2004年から 不動産投資を開始。
現在、アパート6棟、戸建13棟、計58戸を所有。


■ 主な著書

  • 20世紀の住宅−空間構成の比較分析( 鹿島出版会 )
  • ルイス・カーンの空間構成 アクソメで読む20世紀の建築家たち
  • 1級建築士受験スーパー記憶術
  • 2級建築士受験スーパー記憶術
  • インテリアコーディネーター受験スーパー記憶術
  • 福祉住環境コーディネーター2級受験スーパー記憶術
  • 構造力学スーパー解法術
  • 建築士受験 建築法規スーパー解読術
  • マンガでわかる構造力学
  • マンガでわかる環境工学
  • ゼロからはじめる木造建築入門
  • ゼロからはじめるRC造建築入門
  • ゼロからはじめるS造建築入門
  • ゼロからはじめる建築の設備教室
  • ゼロからはじめる建築の法規入門
  • ゼロからはじめる建築の施工入門
  • ゼロからはじめる建築の構造入門
  • ゼロからはじめる建築の計画入門
  • など、ゼロからはじめるシリーズ全16冊( 以上、彰国社 )

など。

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