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400万円の大損から学んだ「一括借上システム」の注意点

三浦弘人さん_画像 第10話

最近、「 サブリース 」のアパート運営会社が相次いで業績悪化を理由に一方的な賃料引き下げや支払ストップなどを行い、問題になっています。

そのニュースを見て、約25年前にある事業に出資して、大損をした記憶が蘇りました。

■ ファクシミリ事業の損失と福岡アパートの撤退

その事業に出資したきっかけは、新聞やマネー雑誌に毎号掲載されていた「 ファクシミリのオーナー募集 」の広告を見たことです。

私は100台を330万円で購入し、運営会社と契約を結びました。
( 1台あたり860円×100台=86,000円を60ヶ月受け取るという内容でした。毎月86,000円×60ヶ月=516万円になるというビジネスモデルでした。)

開始から約2年は、毎月安定して入金がされていたため、私は更なる収入アップを期待して、100台の追加購入をしました。ところがその数か月後に、入金が突然途切れたのです。

時代のニーズを読み誤り、集客できなくなった運営会社がギブアップ。結果的に、その会社は倒産。当時26才の私は、約400万の損失を被りました。

運営会社からは、「 このビジネスへの誤解やインターネットの普及によるファクシミリ会員数の減少が理由 」で倒産に至ったという手紙が届きました。当時、「 オレンジ共済 」などの巨額詐欺事件などが報道されており、多くの人が儲け話に疑心暗鬼になっていた時期でした。

私はお金を出資するのみの立場であったため、そのビジネスがうまくいっていないことも知りませんでした。運営者に全てを依存していたため、どうすることもできないまま、大金を失ったのです。

アパート経営でも失敗経験があります。第8話で紹介した福岡での大失敗です。ネット広告には、人口増加が著しく、賃貸需要の高い福岡市で、土地がなくてもアパート経営ができるというセールストークが躍っていました。

参照:東京での進出計画が全て不承認!! 蘇る福岡の大失敗と自分の課題

「 大丈夫だろう 」と新築アパートを契約し、銀行からの融資が受けられた事で有頂天になりましたが、すぐに空室に悩まされました。結局、この物件は早期に売却し、それ以降は物件を買うなら勝手のわかった場所という方針を貫いています。

このときも、ファクシミリの時のように、自分で何も調べることをせず、相手の言い分を鵜呑みにしたことが、失敗の原因でした。アパートですので、工夫次第で盛り返すこともできたかもしれませんが、あまりに厳しい状況で、諦めました。

■ 健全な「 一括借上システム 」を維持するために重要なこと

さて、ここからが本題です。

私はセミリタイアする前のサラリーマン時代、「 借り上げ保証 」の老舗ともいえるアパートメーカーに約12年間勤務していました。飛込みの建築営業を3年、賃貸営業の現場を6カ月、そして一括借り上げ契約を承認する家賃審査部門を約9年間担当してきました。

この会社は、1990年代までは売上至上主義の経営体質が目立ち、賃貸需要が乏しい地域へ大量供給をしたことで、空き家の山を作りました。家賃保証にも関わらず、度重なる家賃の引き下げを行い、多くのオーナーを苦しめ、マスコミにも叩かれました。

社員は次々と辞め、入社して数年で、私が一番の古株になっていたときは驚きました。その後、「 公平で公正な家賃が重要 」という創業者の特命プロジェクトから、「 家賃審査部門 」が設立されました。政治でいうと「 消費者庁 」のようなものです。

「 家賃審査部門 」は、適正な家賃を設定することで、空き家の山をなくすことが本来の目的でしたが、同時に、様々な関係者の利害を調整するという役割も持ちました。

@オーナー
A銀行
B仲介営業
C建築営業

しかし、アパート経営に関わる上記の四者全員が納得する家賃設定を行うことは容易ではなく、現場では喧嘩が絶えませんでした。@のオーナー以外は、自分の都合の良いことばかりしか考えない方がほとんどだからです。

家賃を相場よりも高く設定すれば、建築契約が取りやすくなります。収支がよく見えて、オーナーや建築営業も利回りアップで喜び、銀行融資も受けやすくなります。

反対に、低くすれば仲介営業は楽に満室ノルマを達成できますが、適正家賃との差額はオーナーの損失ですし、家賃の○%を頂く管理費も、長い目で見れば管理会社の利益を減少させます。

両者の言い分を聞きながら、最もバランスの良い賃料はいくらなのかを決めていくために、様々な調査を行いました。まず、エリア内の賃貸物件5,000棟強を徹底的に調べ上げ、成約家賃、間取り、仕様、完成時期や管理会社など数十項目を聞き込み調査実施しデータ化。

賃料相場を調べるだけではなく、当該エリアで求められる間取りなどのニーズを分析しました。それらは、「 アパートを売るためのデータ 」ではなく、「 満室経営を実現するためのデータ 」です。

■ コンセプト型の一括借り上げはつぶしが効かない

このデータのおかげで、私の担当していたエリアでは、どのアパートも非常に高い入居率を保っていました。何を言いたいかというと、「 一括借り上げ 」の仕組みは、長く続けるには、借り上げる側にも相当なスキルが必要で、簡単ではないということです。

当たり前ですが、そのエリアによって、求められる物件は異なります。金太郎あめのように同じ物件を作っても、うまくいくはずがありません。

「 この地域では70u3LDKが求められています 」
「 近隣では1Kと2LDKが供給過剰。1LDKを提案します 」
「 人気の小学校区域ですから、法人契約を狙った仕様と賃料設定の物件を提案します 」

しっかりとした調査に基づいて、そのエリアの、その時代の「 賃貸需要 」に合った物件を提案しなければ、生き残ることはできません。逆に言うと、「 コンセプト型の一括借り上げはつぶしが効かない 」ため、運営は容易ではないといえます。

今回、問題となった会社もそうですが、ビジネスモデルが「 シェアハウス 」「 女性専用 」「 家具家電付きのマンスリー 」など、販売会社の営業力に頼らざるをえない完全依存型ですと、目論見が外れた時の入居付けや、売却の際の出口戦略が厳しくなってきます。

賃貸経営はパートナー選びが非常に大切です。お金を貸してくれる銀行や、物件を紹介してくれる仲介会社、販売会社を全面的に信用する前に、「 自分でできる調査 」をしっかりと行いましょう。

運営会社任せのファクシミリ投資で400万円を失い、メーカー任せの福岡アパートで早期撤退した私がいっても、説得力はないかもしれません。しかし、一括借り上げに関わる仕事をしていた立場からの思いもあり、「 完全依存型 」ビジネスの危険性をお伝えしたいと思い、書かせていただきました。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 三浦弘人(みうらひろとさん)

miurasan

不動産賃貸業
沖縄在住

■ 経歴

□1966年
東京都江戸川区生まれ

□1991年
百貨店や電子部品商社など、転職を繰り返す中、25歳で大手かつらメーカーへ転職。
薄毛相談のカウンセラーを担当。

□1996年
2月に憧れの沖縄県へ転勤の辞令を受ける

□2000年(34才)
沖縄移住を決意。大手アパートメーカーに転職
仕事を通じて「空室を出さない賃貸経営術」を学ぶ

□2004年
社内で一括借上システムの審査部門へ配属。家賃設定を9年間担当
5000棟以上のアパート調査と商品企画の経験から満室経営の極意を習得する

早くセミリタイアしたい気持ちから福岡市の新築アパートを購入( 2棟16戸 )

退去後の空室が埋まらず、大幅な家賃下落を経験
土地勘のない地域での怖さを実感し、撤退して沖縄に専念することを決意

□2008年
沖縄の軍用地への投資を開始。複利で運用される魅力に気づき資産拡大へ
現在では嘉手納飛行場を約10000平米所有、軍用地収入は約1600万円



詳しくは「健美家ニュース」を参照

□2012年4月(45才)
サラリーマンを卒業、セミリタイア生活がスタート

詳しくは「大家列伝」を参照

□2013年
旅館業スタート

家賃の3倍以上儲かる非常識な方法を実践し、マスコミから脚光を浴びる
ノウハウを2016年に出版へ。じゃらんの売れた宿ランキング2位を獲得





詳しくは「その道のプロ」を参照

□2018年
土地購入から新築する手法で、開始から14年間常時満室を継続中
現在4棟68戸を所有。家賃収入約6500万円
(5棟49戸は売却。売却益は1億円以上)



旅館業の奮闘記や軍用地への投資術など個性的な投資方法のセミナー講師など、幅広い活動で全国を飛び回る

スイスのプライベートバンクへの口座開設やハワイ不動産投資など新しい試みにも挑戦中

■ 著書

満室の3倍儲かる非常識な投資法(ダイヤモンド社)


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