おかげさまで私は募集した3部屋は全て埋まり、11棟すべてで満室に返り咲く見込みがたちました。その3部屋は全て築20年以上の木造アパートでしたが、うち2部屋は退去前に申し込みが入りました。しかも家賃を6千円アップすることもできました!
私の築古木造アパートは茨城県の片田舎にあり、最寄駅までは徒歩30分以上かかります。それでも退去日から次の入居日までの平均空室期間は2ヶ月間で、年間入居率は97-98%と高稼働を維持できています。
私がこの高稼働を実現するため取り組んでいることの一つに、バリューアップ・リフォームがあります。周囲の物件に比べて、入居者さんにより好まれる状態にリフォームすることで、差別化をはかっているのです。
必ずするのが、畳の和室を洋間に変更するリフォームです。これが入居率や家賃アップにかなり効いているので、どのようにリフォームしているか皆さんにご紹介しようと思います。
従来かかっていた費用の半分に抑える方法も最近見つけたので、あわせてご紹介しますね。
■ 畳の和室がある間取りは不人気
私のように築20年以上の中古物件を購入していると、畳の部屋があることが多いと思います( 私が所有する11棟のうち、実に9棟に畳の部屋があります )。個人的には結構好きなのですが、賃貸に出すとなると話は別で、非常に不人気です。
置ける家具が限定されたり、見栄えの劣化が早かったりするからでしょうか。賃貸のポータルサイトで家賃の安い順に並べると、畳の部屋がある間取りがリスト上位に表示されてしまいます。
最初に目に入るのは、畳の部屋オンリーの間取りです。

1Kや1DKなど居室が一つしかないのに、それが畳だったり、2DK、3DKなど複数居室があっても全て畳の部屋だったりすると、入居ニーズがほとんどないため、極端に家賃が低く設定されていることが多いです。

次に目につくのは、一部屋だけ和室という間取りです。賃貸仲介さんからはご高齢の方や赤ちゃんがいる家庭には一部ニーズがあると言ってもらえますが、入居者属性を限定してしまうというのは空室期間を長引かせる原因になりがちです。
私の地域では、全て洋間の間取りと比べて、和室が1室ある間取りの方が、家賃が2〜3千円低いです。
■ 和室を洋間に変更したときの投資対効果
つまり、和室を洋間に変更することで一部屋あたり2千―3千円の家賃アップができる可能性があると言うことです。もし3千円アップできれば年間3万6千円のキャッシュフローが向上することになりますね。
それだけではありません。この家賃アップは物件を売却するときの価格を押し上げる効果も見込めます。具体的には、利回り10%で売却が見込める物件であれば、36万円高く売れることになります。
= 3万6千円( キャッシュフロー増加分 )÷ 10%( 売却利回り )
= 36万円( 売却価格増加分 )
= 36万円( 売却価格増加分 )
そこから、変更リフォームにかかる費用を差し引いた分だけ、得をするとも言えます。そして、私のお願いしている業者さんでは6畳間の変更リフォームに15万円ほどかかります。
36万円 ― 15万円 = 21万円
このように、かなり投資対効果が高いので、よっぽど入居日が差し迫っていない限り、和室の洋室化リフォームは行うようにしています。
畳は5年に一回程度、表替えなどの費用が6畳で3万円ほどかかります。この費用が浮くのも何気に大きいですし、空室期間も短縮することを考えると、年間CFや売却に出した時の利益の押し上げ以上の投資対効果があるのかなとも考えています。
入居者さんにも喜んでもらえますし、是が非でもやっておきたいリフォーム工事です。
■ 和洋変更の懸念点
良いことづくめの和洋変更リフォームですが、懸念点が一つあります。それは職人さんが不足していて、繁忙期など急な工事に対応してもらいにくくなっているということです。また資材の高騰も相まって総費用がジワジワと上昇しています。
この工事には主に3つの工程があります。
1)床上げ工事
2)クッションフロアやフロアタイルなどの床材施工
3)畳の処分
和室から畳を取り払うと、その厚さ分、床が下がってしまいますので床上げ工事が必要になります。

大工さんに根太や合板と呼ばれる木材で、床を嵩上げしてもらう工事です。長くて重たい木材の搬入は大変ですし、その部屋の大きさに合わせて丸鋸と呼ばれる電動回転工具でカットする必要もあるので、危険な作業が伴います。
それなのに、その肝心の大工さんがなかなか捕まりません。大変な仕事なので慢性的に人手不足な上に、工賃が安い賃貸物件のリフォームから、より高い工賃が取れる商業施設や大規模なオフィスビルの現場に流れてしまっているようです。入居日が近いとヒヤヒヤすることがよくあります。
床上げ工事が終わったら、その上にクッションフロアやフロアタイルなどの床材を施工します。

↑フロアタイルを施工した後の写真です。
床材はカッターでも切れるもので施工は簡単なのですが、原材料や輸送コストの上昇を受けてメーカーによっては20-30%も値上げしたところもあります。
そんなわけで、この先も投資対効果が悪くならないか、もしくはそもそも今後も和洋変更リフォームができるのか、心配な状況があります。
■ DIYでやってみよう!
その職人さん不足や将来の投資対効果の悪化を見越して、和洋変更リフォームをDIYすることにしました。
先に触れた通り、ホームセンターから重たい木材を運び込んだり、丸鋸で怪我をしたりするリスクを考えて、床上げ工事は業者さんに外注していたのですが、今回、不動産投資家向けに「 DIY床上げキット 」を作成したと、親しい内装業者さんから連絡をもらったことが背中を後押ししてくれました。
DIY床上げキットは、あらかじめ測定した寸法通りに木材をパネル状に加工して配送してくれるサービスです。先日私の物件で施工してみました。

写真の通り、畳の代わりに根太と合板で作られたパネルを敷き詰めます。小さく加工してあるので、女性でも簡単に敷き詰めることができそうです。

そのパネルをインパクトドライバーでネジ止めします。使う道具はこれだけです。丸鋸など危険な道具は要りません。怪我をする心配も少ないので安心ですね。
6 ここまでで30分程度の作業です。あとはフロアタイルなどの床材を貼るだけです。

カッターで切ったフロアタイルをボンドで貼り付けて完成! これまで床上げからフロアタイルを施工するまで、1.5日から2日かかっていましたが、この時は約4時間で6畳間を仕上げることができました。
これなら週末にささっとできそうです。しかも費用は業者さんに外注した時の半分程度で収まる見込みです。正式に販売されたら、ぜひ使いたいなと思いました( その際にはまた紹介させていただきますね )
人手不足や資材高騰の煽りを受けてバリューアップ・リフォームはやりづらくなっている面もありますが、要所要所にこのようなDIYや工夫を取り入れて、入居者さんに選ばれる賃貸を提供していきたいですね。
では、また♪