第5回のコラムでは、私が積極的に原状回復リフォーム( 物件のバリューアップ )に取り組むようになってから、不動産投資の家賃収益が増えたことについてご紹介しました。
今回のコラムでは、そのバリューアップに効果があったリフォーム例とその費用を最小限に抑えたコツをご説明したいと思います。空室期間を最短に抑え、物件から得られる家賃を最大限に引きあげるために、私が心がけていることも合わせてご紹介します。
■人気設備の導入よりも不人気設備を交換しよう
物件のバリューアップというと、人気の設備を導入することと思われる方もいるかもしれません。賃貸物件の人気設備とは以下のランキングにあるようなものです。
参考)2020 人気設備ランキング
出展:全国賃貸住宅新聞2020年10月19日
確かに人気上位に居並ぶオートロックエントランス、システムキッチン、浴室乾燥機などを導入すれば、たちまち周囲と差別化が図れることもあるでしょう。
しかし、これらのリフォーム費用は、どれも高額です。数十万円はくだらないものばかりです。私が購入する地方郊外の物件では、家賃が安いので費用倒れになってしまいます。導入するのは難しいです。
そこで、ここ数年私は、費用をかけないバリューアップ・リフォームを試行錯誤してきました。その結果行き着いたのは、不人気な特徴を目立たなくするリフォームです。
具体的には、内見の時にマイナスに思われてしまう、主に古臭い設備を取り払います。そして、最新のもの( ローグレードの安いものでいいので )を取り付けるのです。
■ 不人気な特徴を目立たなくするリフォーム5選
効果があった5つのリフォームをご紹介したいと思います。
①ツーバルブ水栓をシングルレバー水栓に交換
お水とお湯のそれぞれのバルブをひねられないと湯加減の調節ができないツーバルブ式の水栓は不人気です。古臭さも感じますよね。片手で調節できるシングルレバータイプに交換します。部材費は1万3千円ほどです。
②浴室にサーモ式シャワーとリアテック化粧シートを施工
暗くて狭い浴室は敬遠されがちです。シルバーメッキのサーモ式シャワーに交換し、壁面にリアテック化粧シートを貼ることで暗さ、狭さを感じさせないようにしています。どちらも1万~1万5千円で手に入ります。
③テレビドアホン、ウォッシュレット、LEDシーリングライトの設置
アラフィフの私にとっては無くても良いものですが、今の若い世代には設置されているのが当たり前です。テレビドアホンは1万円、ウォッシュレットは1万3千円、LEDシーリングライトは1個4千円程度と安価なので全て設置します。
この3つに加えて、④壁紙にアクセントクロスを採用したり、⑤床材を明るくオシャレに見えるものに交換したりすれば、十分戦える物件になります。
業者さんに施工を頼んでもそこまで高額になるリフォームではありませんし、DIYで行えば施工費用はかかりません。
この他については、私のブログ記事でも紹介しています。最安値の品番や施工方法も書いてありますので、気になったものをご自身の物件に取り入れていただければ嬉しいです。
■ 退去のたびに、同じバリューアップ・リフォームをする大切さ
私は不人気な特徴を目立たなくすることのほかに、もう一つ重要視していることがあります。それは、毎回、同じリフォームをするということです。
一度、取り入れると決めた設備は毎回、必ず取り付けます。予定外の出費があってお財布がキツイ時や旧式の設備でもまだまだ使える状態の時は、交換するのが勿体無いと思うこともあります。
しかし、それでも他の部屋と同じく、新しい設備に交換するようにしています。最近ではアクセントクロスや床材の柄、貼る位置に至るまで同じにすることが多いです。
こうするようになったのは賃貸仲介さんからの要望がきっかけでした。
「 工事中の101号室ですけど、102号室( 契約済 )と全く同じリフォームをしてもらえませんか? 内見できない101号室の代わりに、102号室を内見してもらったら、大変気に入られて。もし同じ設備になるなら、申し込むとおっしゃっています 」
いつもお世話になっている賃貸仲介さんの要望だったので、全く同じ部屋に仕上げました。これが面白いように連鎖することになります。
「 これからリフォームする204号室ですけど、101号室と同じにしてもらえませんか? 101号室見せたら、気に入ったそうです 」
そして今では、「 来月退去する303号室には旧式の設備が付いているみたいですけど、いつもの感じにリフォームされますよね? いつもの写真で紹介しちゃいますね。申し込み入れられそうです! 」
こんな風に、退去前の部屋ですら、申し込みが入るようになったのです。以来、私はリフォームする内容を固定していて、賃貸仲介さんからは紹介しやすいと評判が良いです。
この繁忙期は、3月末にならないと内見できない部屋が二つありました。地方で繁忙期を逃すと需要が一気になくなることがあるので大変です。空室の長期化も覚悟しました。
ところが、蓋を開けてみたら、ふた部屋とも退去前に申し込みが入りました。しかも、家賃は4千円アップです。嬉しい誤算で、大満足の繁忙期となりました!
■ まとめ
私の地域では、20代から30代の女性が賃貸仲介の営業として活躍されています。お客さんの声に静かに耳を傾け、意向に沿った部屋を見つけようとする、真面目な方が多いです。物件のアピールポイントをガツガツ提案するような人はあまり見かけません。
そういった営業スタイルの方々にとって、どうしたら紹介しやすい部屋になるのかを考えた結果、今回ご紹介した「 不人気の特徴を目立たなくすること 」と、「 毎回同じリフォームをすること 」に行き着きました。
要望ばかり聞いたら、費用ばかりかかってしまうのではないかと心配になったこともありましたが、今では「 紹介しやすいです! 」という言葉を貰うことが嬉しくてたまりません。
こういった関係が一人、また一人とできていくと、信用がレバレッジしていると感じることがあります。同じエリアに新たな物件を買っても空室に困ることはありませんし、時には非公開の売り物件情報を教えてくれることもあるからです。
信用を裏切らないためにリフォームが大変なこともありますが、それ以上に喜びが大きいので、リフォームの探求はやめられそうにありません。
次回は、そのリフォームをDIYで行うか、業者さんに外注するか、その線引きについて私の考え方をご紹介したいと思います。では、また♪