不動産業界は「 バックマージン天国 」です。
たとえば不動産仲介会社がリフォーム会社を紹介し成約になったら、7~10%の紹介料。200万円の工事が実質180万円で行われているということになります。また引越し屋さんを紹介すれば5,000円程度の紹介料がもらえますし、プロパンガス屋さんからも結構な額の紹介料をもらえます。
新築アパートを売る際に、賃貸管理会社もセットで紹介し、管理料5%のうち2%をバックマージンとして毎月受け取っているケースも。
ということはこのアパートの管理料は実質3パーセント!!
これではまともな管理ができるはずもありません。
ホームインスペクション( 住宅診断 )も例外ではありません。ホームインスペクターが仲介業者を営業にまわって仕事の紹介をお願いし「 つきましては紹介料をお支払いします 」とやるわけです。
アメリカホームインスペクターズ協会では、こうした業者との癒着を禁じています。ホームインスペクターはあくまで中立的であることが必要で、第三者性が大切です。建物に問題が発生しても「 報告書に書かないでくれ 」と、紹介元である仲介業者から依頼されたら断りにくいでしょう。
※ Code of Ethics for ASHI Inspectors( アメリカホームインスペクターズ協会 )
http://www.ashi.org/inspectors/ethics.asp
事実、さくら事務所でも、報告書の内容を書き換えるように依頼されることがしばしばあります。しかしこのような依頼はきっぱりとお断りしています。そんなことをしたら一番大切な「 信用 」を失いますし、何よりそんなことをするために仕事をしているわけではありません。
登記を行う司法書士や弁護士は倫理規定でこうした紹介料の授受を禁じています。日本ホームインスペクターズ協会ではやはり倫理行動規定で、このようなことを固く戒めています。
※ ホームインスペクター倫理行動規定( 日本ホームインスペクターズ協会 )
http://www.jshi.org/about/guideline.php
「 違法ではない。しかしソコに顧客目線はあるの? 」みたいなことがたくさんあるのがこの業界です。
心ある人はそうしたものをきっぱりと否定・拒絶し、顧客目線を追求します。
しかし、多くのケースではとにかく仕事が欲しいため「 みんなやっているんだから 」と自分を納得させ慣行に従います。みんなそんなに強くはないのです。一部には、疑問すら持っていない人もいますが・・・。
個人的な話で恐縮ですが、私はこうした業界の慣行や、不動産売買の荒っぽさがどうにも肌に合わず、1999年にさくら事務所を創業したという経緯があります。当時はあたかも「 業界を裏切ったデビルマン 」みたいな扱いで、脅迫めいた文書が送られてきたり、カミソリの入った手紙が送られてきたことも。
しかし最近はそのようなこともなくなり、共感・賛同してくださる空気が日を追うごとに増えています。
不動産が金融商品化し始めたあたりからこの業界にも優秀な人材が流入し始めたこと。業界の垣根がなくなり始めていること。そもそも不動産業界にかぎらず旧体制が崩壊間近であることなどがその理由でしょう。
大家さんの世界もここ数年で様変わりしました。勉強不足な業界人では到底かなわないレベルの大家さんがいっぱい。日本の人と不動産の関係は着実に良い方向に向かっています。