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新興国投資の魅力と難しさ

長嶋修さん_画像 第140話

海外、アジアの新興国で不動産販売を手がける業界人は、時間の経過とともにその場所をシフトさせてきました。10年前に上海で不動産を売っていた人が、今はマレーシアで不動産を売っていたりします。

そしてそのマレーシアも、2000年後半以降の融資緩和で不動産価格が高騰、次のシフトチェンジ先は主にフィリピン・マニラです。融資が受けやすくなると、不動産価格はとたんに高騰します。

私がいま企画として携わっているセブは、都市圏の人口が250万人台とまだボリュームが小さいこともあって、さらにその先に位置づけられており、タイミングとしてはベストだとみています。

さて新興国投資は、その潜在的な経済成長力からインカムゲインはもちろんキャピタルゲインも狙える魅力的な市場には違いありませんが、現実はそうかんたんでもありません。まず「 仕事に対する意識・姿勢 」が日本とは全然違います。

現地の人達は、言ったことを守らない、時間に遅れるなどはあたりまえ。こちらで厳しく管理しないと、どんどんだらしなくなっていきます。したがって予実管理はこちらでバッチリ行う必要が。このあたりは日本人の得意とするところですね。

また日本人といっても、現地には日本人を「 カモ 」扱いする人もいます。日本人をだますのは、なんといっても日本人。高く売りつけるとか、売ったあとフォローしないのも普通のことです。そして、そうしたことにまったく悪気がなかったりします。

賃貸の客付けに苦労する投資家も出るでしょう。多くの新興国は、まだ日本の「 レインズ 」のような不動産情報ネットワークが整備されていません。賃貸管理の概念も日本とは全く異なりますし、分譲マンションの管理といった概念がないことも多いのです。

実は日本の住宅情報データベースも、歴史はそんなに長くありません。最初にレインズ( REINS )を作創ったのは「 大京 」。1980年にモデル事業で、国から補助金をもらいながら運営しました。その後、1988年までに106のREINSができます。

つまり各事業者ごとにデータベースを運営していたわけです。それ以前は、業者同士が対面で情報を持ち寄り「 物件情報交換会 」みたいな事をやっていたのです。新興国の多くは今こういった状態です。

建築基準も当然ながら日本とは異なります。例えばフィリピンの耐震基準はざっくりいうと、日本の旧耐震くらい。そして最も問題なのは「 現場によって工事の品質が全く異なること 」です。

これは日本でも起きることですが、そのばらつきは日本の比ではありません。だから私は、建設プロセスを確認できない中古は、新興国では怖くて買えません。日本の中古住宅市場だって、よくよく見極めないと買えないのですから。

かつて高度成長期からバブル崩壊くらいまでの日本では「 マンション工事現場の所長を数年やれば家が建つ 」と言われました。要するに、資材や仕事の発注に権限を持つ責任者に、何かと便宜の供与があったわけです。

こんなことが新興国で起きていても全く不思議ではありませんね。社会の成熟度合いに応じて、職業倫理にも違いがあります。

日本の高度成長期は1960年代あたりから始まりますが、あのころ、欧米先進国から見れば日本の不動産市場は全く整備されておらず、怖く恐ろしいものに見えたはずです。それでもあの頃に不動産を買った人たちはその資産を数倍に膨らませました。

「 新興国投資はキケン 」と、ただ怖がっているのは、みすみすチャンスを逃すようなもの。かといってよく調べずに飛びつけばやけどをします。様々な課題を乗り越えてはじめて、大きな果実を得ることができるのが新興国投資です。


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プロフィール

■ 長嶋 修さん

長嶋 修さん

不動産コンサルタント
さくら事務所 会長

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不動産デベロッパーで支店長として幅広く不動産売買業務全般を経験後、1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である、不動産の達人 株式会社さくら事務所を設立、現会長。

以降、様々な活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築く。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任。

2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度をめざし、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立、初代理事長に就任。

また、TV等メディア出演 、講演、出版・執筆活動等でも活躍中。

現在、「東洋経済オンライン」、「Forbes JAPAN WEB」等で連載コラムを執筆中。業界・政策提言や社会問題全般にも言及。

主な著書に、『空き家が蝕む日本』(ポプラ社)、『不動産格差』(日本経済新聞社)、『5年後に笑う不動産』(ビジネス社)等。

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