• 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集
  • 収益物件 売却査定

7,519アクセス

120件の取材と横浜傾斜マンション問題

長嶋修さん_画像 第168話

いわゆる「 横浜マンション傾斜問題 」では、実に120件もの取材をお受けしました。ピーク時には朝7時から夜中の2時まで電話が鳴り続ける日もあり、他の仕事が全く手につかず、かなり疲弊しました。

当事者の住民のみなさんは大変な思いをしていらっしゃるうえ、事態の本質がなかなか見えないままで、こうしたナイーブな取材をお受けするのは、かなり神経を使います。

何かと理由をつけて断る手もありました。しかしあえてそうせずに、あえて来るものを拒まず出来る限りの取材に対応したのには理由があります。それは「 この件に関する報道・言論を、より良い方向に導きたかったから 」です。

メディアはその性質上、どうしても原因追求・究明に走ります。今回の件では、売主である三井不動産や建設工事の元請けである三井住友建設を通り越して、二次下請けである旭化成建材、しかもそこで働いていた現場の個人に焦点があたりました。

しかしこれはやや危険な状態です。実際には組織ぐるみかもしれないし、命令を下した向きがあったかもしれないのに、現場の個人をスケープゴートにしてしまった場合、後にその個人が原因ではなかったら、一体どういうことになるでしょう。

仮に個人だけに問題があったとしても、メディアで過剰に取り上げることによって実質的な、しかも強烈な社会的制裁を与えることに、その個人は精神的に堪えられるでしょうか。

また、そもそも現場個人はもちろん、旭化成建材も元請けも、マンション所有者とは直接の契約関係にありません。所有者から見た契約の相手方はあくまで「 売主 」である三井不動産であり、他は関係がないのです

厄介なのは、取材に答えて大げさなことを言う人たちです。

「 あんなものは氷山の一角だ 」
「 あれくらい業界ではみんなやっている 」


など、全体像を知りもしないでよく言えるものだと思います。皆というのは具体的に何パーセントを指すのか、聞いてみたいものです。

日本で行われている杭打ち現場の全貌を把握している人など、この世に一人もいません。したがってそれぞれ、自分が知っている範囲の話でしかないはずです。

しかし、ひとたびこうした論調が広がると、社会に過度な不安を与えることとなります。私が取材を受けないと、こうした過剰な言論が蔓延する可能性があるなと考えました。

私の基本的スタンスは「 こういうときこそ、あくまでも冷静に 」です。当事者のマンション所有者の皆さんが冷静でいられないのは当然のことですが、それをとりまく、報道する側、発信する側は、あくまで事実を伝えること。

健全なレベルの注意喚起ならまだしも、無用な不安を煽り立てるようなことは決してしないこと。出来る限り建設的な言論を心がけることです。

それでも発言の一部を切り取られたりして、発言の意図・意味がやや違った形で露出してしまうこともあります。こうしたことも踏まえながら発言や文章には気をつけているつもりですが、全ては防げません。

こうした限界と向き合いながらも、今後もさまざまな場面で発信を続けていくつもりです。「 日本の人と不動産の関係がよりよいものとなること 」を願います。

健美家サイト会員登録で最新コラムやニュースをチェック!

健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 長嶋 修さん

長嶋 修さん

不動産コンサルタント
さくら事務所 会長

長嶋修さんのブログ

不動産デベロッパーで支店長として幅広く不動産売買業務全般を経験後、1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である、不動産の達人 株式会社さくら事務所を設立、現会長。

以降、様々な活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築く。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任。

2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度をめざし、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立、初代理事長に就任。

また、TV等メディア出演 、講演、出版・執筆活動等でも活躍中。

現在、「東洋経済オンライン」、「Forbes JAPAN WEB」等で連載コラムを執筆中。業界・政策提言や社会問題全般にも言及。

主な著書に、『空き家が蝕む日本』(ポプラ社)、『不動産格差』(日本経済新聞社)、『5年後に笑う不動産』(ビジネス社)等。

【連載中のコラム】


【著書一例】



ページの
トップへ