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融資への影響も?「都市再生特別措置法」で浮かぶ街・沈む街

長嶋修さん_画像 第178話

「 活かす街 」と「 そうでない街 」を区分けする「 都市再生特別措置法 」については以前のコラムでお知らせしましたが、あれからずいぶんと進展があり、2016年7月末時点で全国1,741自治体のうち289が「 立地適正化計画 」の策定に取り組んでいます。

参照:買っていい町とダメな町が明確に!? 注目の「 都市再生特措法 」

これはいうまでもなく、今後本格化する人口・世帯数減少に備えるため「 集まって住む 」を実現させるための施策。一定の人口密度以下の都市では、上下水道のインフラ修繕やゴミ収集、北国での除雪などの行政サービス効率が極端に落ち、税のムダ使いを招きます。

また、空き家が一定以上増加すれば街は荒廃し、空き家を使った犯罪の温床ともなるなど、街の価値を著しく既存します。ひいては不動産所有者の資産性を失わせることになります。

人口・世帯数減少や自治体運営に対する危機感といえばかつては地方のものでしたが、今後リスクが浮かび上がってくるのはいわゆる「 都市郊外 」。

かつて都市中心部から30〜40キロ圏内、ドアツードアで1〜1.5時間の、かつて「 ベッドタウン 」と呼ばれたところです。団塊の世代を中心とする世代が一斉に住宅を求めて入ったこうした地域は、いなくなるのも一気です。

こうしたベッドタウンを抱える自治体の多くはそのことをわかっていて、例えば埼玉県ではさいたま市・川越市・志木市・戸田市・春日部市など。千葉県では松戸市・柏市・流山市、神奈川県では横須賀市・相模原市・藤沢市などがこうした計画の策定に乗り出しています。

各地の取り組みの中で面白いのは「 埼玉県毛呂山町 」。現在作成中の立地適正化計画では「 20年後に公示地価を10%以上上昇させる 」としているのです。

町の人口は20年で17.9%減少するものの、立地適正化政策によって人口密度を保ち、同時に投資を呼び込むことで地価上昇につなげようとしているわけです。

基礎自治体が地価を上げると宣言するなんて、これまでの日本では見られませんでしたが、欧米の多くの自治体がこうした意図で政策運営を行っています。

なぜなら、街の居住快適性を保ち、ひいては地価を維持・上昇させ所有者の資産性に配慮することは、そこに不動産を所有したくなるモチベーションを喚起するとともに、固定資産税収入を増加させることで、さらなる行政サービスの充実に努めたいため。

立地適正化計画区域から外れていても、直ちに建築や開発が制限されるわけではありません。しかし、例えば大阪府箕面市などは「 行政への届出というアクションを設け、緩やかな誘導を行なう、開発行為等が居住誘導に関し何らかの支障をきたすと判断できるときは、開発行為中止について調整、あるいは開発規模縮小などの勧告を行う 」としています。

また、こうした計画は「 不断の見直しを行う 」としているところがポイント。まちづくりは線引きさえ行えば一瞬にして終わるものではなく、10年タームの息の長い取り組み。

徐々にヒト・モノ・機能を一定地域に誘導し、ある何処かの段階に達したら区域外について更に厳しい規制がかかると見ておいたほうがいいでしょう。

さて、こうした取り組みについて、金融機関はどう反応するでしょうか?

まず、区域外には融資しない・融資しづらいといった事態が容易に想像されますね。逆に、自治体が人口密度を維持すると宣言したり、地価上昇を目指すとしているところでは積極的に融資できるでしょう。こうして融資価値にも差が付き、不動産の資産性にも如実な違いが出てくることになりそうです。

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プロフィール

■ 長嶋 修さん

長嶋 修さん

不動産コンサルタント
さくら事務所 会長

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不動産デベロッパーで支店長として幅広く不動産売買業務全般を経験後、1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である、不動産の達人 株式会社さくら事務所を設立、現会長。

以降、様々な活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築く。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任。

2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度をめざし、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立、初代理事長に就任。

また、TV等メディア出演 、講演、出版・執筆活動等でも活躍中。

現在、「東洋経済オンライン」、「Forbes JAPAN WEB」等で連載コラムを執筆中。業界・政策提言や社会問題全般にも言及。

主な著書に、『空き家が蝕む日本』(ポプラ社)、『不動産格差』(日本経済新聞社)、『5年後に笑う不動産』(ビジネス社)等。

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