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不動産市場は「バブル」か。崩壊はあり得るのか。

長嶋修さん_画像 第179話

2012年12月の自民党への政権交代以降、アベノミクス、黒田バズーカで快調に飛ばしてきた日本の不動産市場ですが、昨年後半のチャイナショックあたりから変調をきたし、全体として芳しくないままおよそ1年が経過しました。

不動産経済研究所によれば、2016年8月の首都圏マンション市場は発売戸数が24.7%減、契約率は66.6%と、好不調の目安とされる70%を3か月連続で割り込んでいます。一部の販売現場では適宜「 値引き 」も行われているようです。

こうした昨今の市場の不調を受け「 不動産市場はバブルだ! 崩壊する! 」といった論調がしばしばメディアにおいて散見されるようになりました。しかし結論をいえば現時点の不動産市場はまだバブルと呼ぶには言い過ぎですし、ドカーーン! と崩壊するような予兆もありません。

例えば新築マンション市場では、かなりの程度で「 大手寡占 」が進んでいます。リーマンショック前は中小デベロッパーが乱立、かつ新築マンション分譲にその事業シェアを思い切り傾斜していたうえ、都心部から30キロを超えた郊外や、駅から10分以上離れたところで用地取得・販売を行うなど、兵たんが伸び切った状態でした。

現在はこうした状況にはなく、中小デベは、新築マンションのほか、高齢者向け住宅、リノベーション、戸建て販売、地方都市の県庁所在地で事業を行うなど、その事業ポートフォリオは多様です。

現在、新築マンション市場における在庫はその多くが大手のもの。しばらく売れなくても大勢に影響ありません。

そもそも新規発売戸数が激減しているのは、売れ行きが芳しくないと判断した彼らが「 供給調整 」を行っているのです。そういう意味では、かつてと比べれば非常に健全といえます。

※こうした見立てについて、詳細はこちらをご覧ください(PDF)
 ⇒http://www.nagashima.in/2016-10.pdf

では、ここから先はどうなるでしょうか。まず「 オリンピック開催の影響 」ですが、これも世の中が期待するほど上にも下にもさしたる影響はないでしょう。

むろん、これから一定の投資が行われることで経済に好影響を与えるといった側面はありますが、過去の事例を紐解けば、現在の日本のような経済大国、先進国では、オリンピックの開催前後において、そうそう大きな経済的影響は見られません。

一方で、経済規模の小さい国や新興国などでは、オリンピック開催までは如実に経済がよくなり、そのあといったん落ち込むといった動きが見られました。1964年の東京オリンピック時の日本がまさにそういった状況だったわけです。

次に「 経済や政策が与える影響 」について。政権交代以降、アベノミクスは「 三本の矢 」と称し第一の矢( 大胆な金融政策 )、第二の矢( 機動的な財政政策 )を放ち、結果的に株価や不動産などの資産価格を下げることとなった民主党政権時代から、株価や不動産価格は一定の回復をみました。

ところが、第三の矢( 民間投資を喚起する成長戦略 )についてはどうでしょうか? この点においては、不十分だと評価する向きが大半でしょう。いくら金融をいじっても、それだけで経済が健全に回りだすはずもなく、むしろやり過ぎれば弊害も出ます。規制改革や成長戦略が機能しません。

金融政策にだけ頼ってここから先GDPが成長し、株価や不動産価格が上昇するといったことにはなりえないでしょうし、仮にそうなったとしたらそれは行き過ぎでしょう。

これ以上、不動産価格が実力を超えて上昇し続けることになれば、それは「 バブル 」と呼んでいいかもしれません。というわけで、結論は次のようになります。

「 このあたりまでの不動産をはじめとする資産価格の上げは、リーマンショックや東日本大震災、民主党政権の失敗などの要素を含んだ大底から脱したところ。しかし、その上げ基調にもそろそろ限界が来た。

今後さらに伸長するためには、規制改革や構造改革が行われ、本格的かつ健全な経済成長軌道に乗り、家計の所得が増加し、より、家賃や不動産価格に対する支払い能力が増大することが必要 」。

落ち着いていきましょう。

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プロフィール

■ 長嶋 修さん

長嶋 修さん

不動産コンサルタント
さくら事務所 会長

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不動産デベロッパーで支店長として幅広く不動産売買業務全般を経験後、1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である、不動産の達人 株式会社さくら事務所を設立、現会長。

以降、様々な活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築く。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任。

2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度をめざし、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立、初代理事長に就任。

また、TV等メディア出演 、講演、出版・執筆活動等でも活躍中。

現在、「東洋経済オンライン」、「Forbes JAPAN WEB」等で連載コラムを執筆中。業界・政策提言や社会問題全般にも言及。

主な著書に、『空き家が蝕む日本』(ポプラ社)、『不動産格差』(日本経済新聞社)、『5年後に笑う不動産』(ビジネス社)等。

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