しかし、昨今は国が中古住宅・リフォーム市場に力を入れ始めたこと、リフォーム・リノベーションの将来性に多くの業界人が気付き始めたことなどから、以前に比べればだいぶ洗練されてきました。
とはいえ、中にはまだ悪質や無知に基づくおかしな工事が散見されます。今回はさくら事務所のホームインスペクション( 住宅診断 )現場の実例をいくつかご紹介します。
画像1は工事後の中古住宅。床下になぜか木材が。本来ベニヤ板を貼るところなのですが、工事を行う際にリフォーム業者さんがはがした床材をベニヤの代わりにここに貼った模様。
廃材を利用して、コストの削減を狙ったのでしょうか?

これには問題が2つ。1つは「 断熱材をはがしてしまっていること 」。下から冷気が上がってきて、冬はおそらくものすごく寒いでしょう。
2つ目は、「 このような工事内容を、オーナーが知らないこと 」。業者さんは良かれと思ってなのかもしれませんが、だとしても断熱の知識がないからこのような工事ができてしまうわけです。
画像2もやはり床下ですが、土台と建物の間になにやら木片が挟まっています。このこともオーナーはご存知ないのです。
配管の水漏れと木部の腐食を業者さんんが修繕した際、隙間があったから、やはり、良かれと思って( ? )木片を差し込んだ様子。
地盤に問題があるのか、建物構造の問題なのか、原因を調べて本格的な対処をしないと、このままでは非常に危険です。

画像3は、かつて水まわりを移動するリフォームを行った際、リフォーム業者さんが勝手にコンクリート基礎を削り取ってしまったようです。
おそらくこれもそんなに悪気はないのでしょうが、耐震性など建物の知識がないゆえにできることです。

リフォーム業( 建設業 )は、500万円未満の工事なら無許可でも請け負えます。これは、小額な大工工事を個人の大工さんが請け負うことを考慮してのことです。
リフォーム・修繕は極力コストを抑え、費用対効果を最大にしたいところですが、依頼先を間違えると今回のケースのように「 安かろう、悪かろう 」となってしまうこともあります。
どれもこれも、DIYを得意とする大家さんが見れば、鼻で笑ってしまうような工事ですが、こうした事例はいまだ多数あるのが実情です。
リフォーム業者や職人さんなどとお付き合いする場合は、大家さん仲間に評判を聞くなど、事前のリサーチが欠かせませんね。