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マンションの建替えが進まない日本と容積率緩和の進捗

長嶋修さん_画像 第192話

「 マンションの建て替え 」がなかなか進みません。日本全国には650万戸以上のマンションがありますが、建て替えが実現したのはいまだ250事例程度にとどまります。

建て替えられたマンションのほとんどは「 容積率が余っていたから 」。つまり、従前より大きな建物を建て、余剰分を市場で売却することで建て替え資金を捻出できたというケースです。

これができない場合、各住戸の所有者が100%耳を揃えて2,500万〜3,000万円の現金を出すか融資を組む必要があります。

しかし、老朽化したマンションに限って高齢化率も高く、資金に余裕のない方も多かったり、今さら建て替えなど必要ないと考える向きもあることが、多くのケースで建て替えができない理由になっています。

「 日本全国の容積率をUPしてマンション建て替えを促進すればいいではないか 」という議論もあります。

しかし、そうしたボーナスを与え、全てのマンションが建替えられることになったら、人口・世帯数減少が明白な我が国において、いったいどれだけの住宅が余ってしまうのでしょう。

住宅数はすでに飽和し、都市部においてすらむしろ空き家対策に本腰を入れなければならない局面です。そもそもいったんマンションが建った場所に、永遠にマンションが建替えられ続ける必要もなく、別の用途に転換される可能性を残すほうが自然です。

■ヨーロッパやアメリカには「 多数決で建替え 」という概念がない

そもそも「 マンション建替え促進 」というのは、日本独特の考え方といえます。特別多数決議で建替えができるという概念は、ヨーロッパ大陸法やイギリス法、アメリカ法にも存在しません。

フランスでは、建て替えはもちろん、区分所有権解消を多数決で行うという概念もありません。ドイツでは建て替えに全員の合意が必要なために事実上建て替えが起こらず、ずっと修繕し続けるのが前提です。一方では管理が適切に行われるよう、管理費滞納者には所有権の剥奪規定を設けるなどの工夫をしています。

お隣りの韓国ではかなり頻繁にマンション建替えが行われています。すでに1,400棟超、ソウル市内だけで1,000棟以上が建て替え。ただし、あちらの区分所有法は、日本の区分所有法をモデルにして1984年に制定されたもので、市場や法の整備に関する成熟度は日本のほうが上です。

マンション建替えを促進するなら、まずコンパクトシティ化を進め、地域を限定して建て替え促進を行うとか、空き家問題とセットで住宅総量を勘案しながら、という事ならまだ理解できますが、国はいまだそうした有効な建て替え方策案を見いだせていないのが実情です。

■ 東京都が地域限定で容積率を最大100%UP

そんな中、数年前に「 マンション建替法 」が改正されたことを受け、東京都は地域限定で容積率を最大100%UPすると発表しています。区市がまちづくり計画を定め、それに基づいて都が対象地区を指定すると言った方式です。

効果の程は未知数ですが、対象区域に入るかどうかで雲泥の差。いずれにせよ「 容積率=マネー 」ですので続報を待ちましょう。またこうした緩和策は現在、複数の自治体で進行していますので注目してください。

□ 容積率の緩和特例について( 国土交通省 )
マンションの建替え等の円滑化に関する法律第105条第1項関係

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プロフィール

■ 長嶋 修さん

長嶋 修さん

不動産コンサルタント
さくら事務所 会長

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不動産デベロッパーで支店長として幅広く不動産売買業務全般を経験後、1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である、不動産の達人 株式会社さくら事務所を設立、現会長。

以降、様々な活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築く。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任。

2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度をめざし、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立、初代理事長に就任。

また、TV等メディア出演 、講演、出版・執筆活動等でも活躍中。

現在、「東洋経済オンライン」、「Forbes JAPAN WEB」等で連載コラムを執筆中。業界・政策提言や社会問題全般にも言及。

主な著書に、『空き家が蝕む日本』(ポプラ社)、『不動産格差』(日本経済新聞社)、『5年後に笑う不動産』(ビジネス社)等。

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