• 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集
  • 収益物件 売却査定

16,271アクセス

2020年以降、不動産価格や建築費は本当に下がるのか?

長嶋修さん_画像 第201話

「 2020年以降は不動産価格や建築費が下がるのでは? 」
最近はどこで講演しても、こんな質問をお受けします。

マイホーム購入セミナーでも、不動産投資家向けでも、不動産・建設業界人向けセミナーでも同様です。みなさん漠然と、2020年が何か一区切りのようなイメージをお持ちのようです。

しかし結論を言えば、それはただのイメージに過ぎず、特段根拠のないもの。おそらく、定期的に各種メディアから繰り出される「 不動産市場はバブルだ! だからもうすぐ崩壊する! 」といった論調の記事などを読んで洗脳されているのかもしれません。

メディアというものはその性格上、どうしても衝撃的でエモーショナルなタイトルや記事内容に傾きがち。たいていの場合、どんな論調でもやや行き過ぎることがあるものだと捉えておいたほうがいいでしょう。

また、私たちの業界にはそうした記事に便乗して煽りを入れる「 暴落芸人 」と呼ばれる人たちもいます。それはそういう芸風であって、本当にそう思っているのかどうかはわかりません。

■ 東京オリンピック・パラリンピックの影響はあるのか?

「 2020年 」がなぜ独り歩きしているのかといえば、まず思いつくのは「 東京オリンピック・パラリンピック 」。確かに、過去の五輪開催国における実績を調べると、五輪前後で経済が上がったり下がったり、不動産価格が上がったり下がったりしています。

しかしこれを「 経済の小さい国・新興国 」と「 経済に大きい国・先進国 」とに分けて調べると、前者にはそうしたアップダウンが見られますが、後者にはほとんど動きはありません。

前回の東京オリンピックでは、日本は高度経済成長の真っただ中で、五輪に間に合わせるべく競技場や首都高などの道路、新幹線などのインフラを猛烈に整備、経済の高揚とその後の落ち込みを経験しました。

しかし、現在の日本はすでに経済のパイが大きい先進国であり、成熟国です。例えばロンドンオリンピックについては英国政府が「 オリンピックが不動産市場に与えた影響は、なかった 」とレポートを公表しています。

今回の東京オリンピックもおそらく、その前後で経済動向に大きなうねりや、ましてや不動産市場に大きな動きはなく、変化が起こるとしても、選手村ができる中央区晴海など一部に限られるでしょう。



■ 2020年以降も建築費は下がらない?

もう一つ連想できるのは「 建設需要 」です。建築費は2013年以降20〜30%程度上昇しており、現在も下げ止まりの兆候はありませんが、2020年のオリンピックが終われば建築費高騰の波も収まるのではないかといった連想です。

実際にそのように予想して、建築や、マンションの大規模修繕を2020年以降に先延ばしする向きも相当数みられます。しかし、おそらく実際には2020年以降も建築費は下がらないどころか、むしろ上昇圧力があるはずです。

なぜなら、前述の建設需要に加え、高齢化に伴う折からの建設職人不足で、2018年時点ですでに多くの建設会社が2022〜23年程度まで受注見込みを抱えており、すでにどの建設現場も工期の遅れが目立っているためです。

例えば新築一戸建ては通常3カ月もあれば完成しますが、これが4カ月、5カ月、時には6カ月と後ろ倒しになっています。オフィスビルなども同様です。

工事現場の機械化など、ほぼ無人で工事が行えるほどのテクノロジーの進展はこの状況を一般させる可能性がありますが、2020年時点ではそうした状況はまだ訪れないでしょう。

2008年のリーマンショックは、そこまでなんとか生き延びてきた建設業者に大打撃を与えました。さらに2009年には政権交代が起こり、鳩山政権は「 コンクリートから人へ 」を掲げて公共事業の削減を目指しました。

建設業者にとっては、リーマンショックで資金繰りが悪くなったところに仕事も激減、その結果、建設業者の廃業が相次ぎました。

そして2011年の東日本大震災。関東圏の建設職人の多くは復興のため東北に行き、関東圏の建設現場は関西圏から建設職人を集めるなど、慌ただしい状況が続きました。

2012年には安倍政権が発足、それまでの民主党政権の方針を転換して公共事業の拡大を宣言。これで人手不足がさらに加速します。

2013年には東京オリンピックの誘致が決まりますが、この時には建設業者の間で「 オリンピックに向けていったい誰が工事をするのか 」といった声すら聞かれました。

おりから建設職人の高齢化が問題視されていた建設業界では、リーマンショックで引退した高齢の職人たちが、再び現場に戻ることはありませんでした。

若手も3K( きつい・汚い・危険 )とされ、給与も決して高いとはいえない建設業に魅力を感じないためか流入がなく、恒常的な人手不足が続いています。



■ 減り続ける建設業の就業者数

建設業の就業者数は1997年の685万人をピークに、2017年には498万人と3割弱も減少。2020年にはさらに減少しているはずで、その傾向は今後もしばらく続きます。

人手不足は工事の量や質の低下・劣化を生み、建設会社にとっては大きな頭痛のたね。東京商工リサーチがまとめた5月の「 人手不足 」関連倒産は、建設業と製造業がともに8件で最多でした。

建設職人の高齢化や若年層の不足、リーマンショックやアベノミクスで人手が不足してきた経緯は、五輪は要素の一つに過ぎず、建設費の高止まりの大きな要因となり、住宅やオフィスの建設、大規模修繕工事などに今後も大きな影響を与え続ける見込み。

さらに2019年10月には消費増税が予定されています。実現するかは未知数ですが、増税となればむろん建築費はコストアップします。

そんなわけで、2020年という区切りには何の根拠もありません。しかし実はその前後に、市場が一定の節目を迎えるかもしれないイベントがいくつか控えています。

それは何か? その影響はどのくらいか? 9月1日( 土 )に行われる「 健美家投資家交流会2018in東京 」でお話しします。

https://www.kenbiya.com/sm/s/tokyo/t-g/pt-0/dt_29243ysq/

健美家サイト会員登録で最新コラムやニュースをチェック!

健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 長嶋 修さん

長嶋 修さん

不動産コンサルタント
さくら事務所 会長

長嶋修さんのブログ

不動産デベロッパーで支店長として幅広く不動産売買業務全般を経験後、1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である、不動産の達人 株式会社さくら事務所を設立、現会長。

以降、様々な活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築く。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任。

2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度をめざし、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立、初代理事長に就任。

また、TV等メディア出演 、講演、出版・執筆活動等でも活躍中。

現在、「東洋経済オンライン」、「Forbes JAPAN WEB」等で連載コラムを執筆中。業界・政策提言や社会問題全般にも言及。

主な著書に、『空き家が蝕む日本』(ポプラ社)、『不動産格差』(日本経済新聞社)、『5年後に笑う不動産』(ビジネス社)等。

【連載中のコラム】


【著書一例】



ページの
トップへ