• 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集
  • 収益物件 売却査定

8,951アクセス

需要は「広さ」から「近さ」へ。世界の不動産価格下落で日本はどうなる?

長嶋修さん_画像 第207話

あらゆる物件種別のうち、不動産市場の先行的指標となるのは「 東京都心部の中古マンション価格 」です。すべてはここから始まります。都心部とは「 中央・千代田・港区 」の3区、「 新宿・渋谷区 」を加えて5区、「 目黒・品川区 」を加えて7区程度と覚えておけばよいでしょう。

こうした地区の中古マンション成約単価は、見事に日経平均株価と連動しています。その理由は主に3つ考えられ、一つはもちろん「 景気は気から 」というように「 気分 」の問題。

次に、都心マンションは相対的に高額で、購入層は高学歴・高収入の傾向にあり、株式投資をしている比率が高いと予想されること。最後に、マンション購入資金贈与の比率も高めであると想定でき、その親なども株式投資をしている比率が高く、経済動向に敏感であると思われること、などです。

この日経平均株価は昨年、一時2万4,000円台を示していましたが後半に変調、現在は2万円前後で推移しています( 1月10日現在 )。この株価水準だと、前述した都心部の中古マンション価格は15〜20%程度高いといえそうです。

1億のマンションが8,000万〜8,500万円ということです。なお、新築マンションは売主事業者が販売価格をコントロールしているため、株価とはリニアに連動しません。



さて都心部マンションから始まる不動産価格の動きは、皇居を中心として城南地区から世田谷・杉並区などの城西地区へ波及、そして城北・城東地区へ及びます。

もう少し大きくとらえると、まず東京に動きがあり、次に神奈川・埼玉・千葉という順番です。札幌・名古屋・大阪・福岡など地方都市には早くて半年程度で影響が及びます。

ただしこの波及効果は次第に弱まっており、例えば1990年バブル時には、東京銀座4丁目の交差点あたりの地価公示は平米あたり3,850万円に対し、大阪の最高価格は3,500万円と東京に迫る勢いでした。

ところが昨年度は、東京が5,550万円と90年バブル期をはるかに上回る地価水準であったにもかかわらず、大阪は伸び率こそ高かったものの1,580万円と、かつての水準には遠く及びません。

いかに東京一極集中で不動産価格が高いか、そしてその波及効果が地方都市に行きつくころにはいかに小さい波となっているかわかります。

実はこうした現象は東京都心部でも起きています。例えば先述した都心7区の中古マンション価格において、駅から1分離れるとその成約単価は平米あたり約8,000円ずつ下落するといった状況でしたが、昨年5月時点では、駅から1分離れると平米あたり1万8,000円ずつの下落を示しているのです。

いかに「 駅からの距離 」が求められているかがわかります。都心部では昨今、駅近ではあるものの専有面積わずか9平米といった賃貸住宅が人気だったりします。

昨今の単身者は、クルマはもちろんテレビを持たず、家に人を招くわけでもなく料理もしない、コーヒーを飲みたいなら近くのカフェでといった向きが増加、駅から遠い20平米より、駅近の9平米を選好するといったもの。

増加の一途をたどる共働き世帯も、通勤や買い物などの利便性を優先し駅からの距離にこだわり、といった具合です。要は「 空間 」や「 居住快適性 」よりも「 時間 」に高い優先順位があるわけです。この傾向は都心部でも、都市郊外でも原則は一緒です。



不動産価格水準に話を戻しましょう。そもそも、日本の不動産価格の先端である東京の不動産価格は世界的にどのような位置づけか。簡単にいうと、実は東京の不動産は世界的に見れば、日本の地方都市のような位置づけです。

世界の主要都市の不動産市場にまず変調が起き、それがやがて東京に波及するといった流れです。つまり主要各国の不動産市場を見ていれば、東京の、ひいては日本の不動産市場の未来はある程度予測が可能です。そして実は昨今、大きな変化の兆しが見えているのです。

複合要因によって世界的に不動産価格が下落しています。バンクーバー・ロンドン・香港・シンガポール・シドニー・米主要都市・北京・上海など、東京より不動産価格の高い、あるいは同等な不動産市場は価格頭打ちから軒並み下落に転じています。

ブレグジットに揺れるロンドンでは、銀行や保険会社、資産運用会社が合計で約8,000億ポンド( 約110兆7,000億円 )相当の資産を英国からEU他地域に移す計画があり、このところ頭打ち感のあった不動産価格下落は必至。

上海では新築販売不調を補うため「 新築買うとBMWプレゼント 」「 頭金30%のところ5%でOK 」といった特典を付けてマンションが売られています。

各都市ともそれぞれ個別要因あるものの共通するのは「 株式市場の変動性 」「 金利上昇 」「 金融引き締め 」「 マネーロンダリングへの取り締まり強化 」「 政府の規制強化 」「 新興国からの資金流出 」「 米中貿易戦争などで出金制限から中国人投資の減少 」といったものです。

こうした要因の中には、経済的な要因に「 政治的要因 」が大きな影響を与えていることがわかるでしょう。次回コラムでは、そのあたりも踏まえながらの市場解説と、19年以降の市場動向を占ってみたいと思います。


健美家サイト会員登録で最新コラムやニュースをチェック!

健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 長嶋 修さん

長嶋 修さん

不動産コンサルタント
さくら事務所 会長

長嶋修さんのブログ

不動産デベロッパーで支店長として幅広く不動産売買業務全般を経験後、1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である、不動産の達人 株式会社さくら事務所を設立、現会長。

以降、様々な活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築く。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任。

2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度をめざし、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立、初代理事長に就任。

また、TV等メディア出演 、講演、出版・執筆活動等でも活躍中。

現在、「東洋経済オンライン」、「Forbes JAPAN WEB」等で連載コラムを執筆中。業界・政策提言や社会問題全般にも言及。

主な著書に、『空き家が蝕む日本』(ポプラ社)、『不動産格差』(日本経済新聞社)、『5年後に笑う不動産』(ビジネス社)等。

【連載中のコラム】


【著書一例】



ページの
トップへ