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日本は「円高」「株安」「デフレ」へ。トランプ大統領と日米関係の行方

長嶋修さん_画像 第215話

景気や株価・金利はこれからどうなるのか。そして不動産市場はどうなるか。こうしたマクロ動向を理解する際に、私たち日本人は特に注意する必要があります。なぜなら、端的に言うと私たちが日本語で得ている情報は、グローバルにみれば多分に偏っているからです。

例えば日本に入る米国発の情報といえば主にCNNですが、あれはブッシュ・オバマ・クリントン的な流れを組むもの。一方でFOXなどは主にトランプ的な主張ですが、こちらは全くと言っていいほど日本には入ってきません。すると私たちは常にトランプ批判的なアナウンスを聞くことになります。



■ トランプ大統領が目指すアメリカ

しかし、おそらく多くの日本人が持つイメージより、トランプ大統領は賢い人だと思います。 外交の進め方を見ても非常に緻密に見えますし、大統領就任前に出版された自伝によれば、彼が何らかの交渉に臨む際には、最低限6通りの手法や落としどころをシミュレーションしたうえで臨むそうです。

彼がよく口にする「 フェイクニュース 」というのは、自分の主張を歪めて伝える、要は「 アンチトランプメディア 」に対するもので、それはある意味その通りなのです。

トランプ大統領がやりたいことは明白で「 アメリカを、一ローカル国家に戻す 」ということです。その一環として「 ドルと米軍の世界からの撤退 」があるのです。ドルを世界の基軸通貨の地位から降ろし、軍を世界の警察的な役割から降ろすということなのです。こうした簡単な構図が、多くの日本人には見えていないのではないでしょうか。

かつて通貨覇権は英ポンドが握っていました。しかし第一次・二時大戦を経るうちに、また1929年の世界大恐慌の過程で裏付けとなる金( ゴールド )を大量流出し、その役割を果しえなくなります。

そこで44年に、以降の通貨体制をどうするかといった検討の中で、2つの体制が検討されます。一つは現在のドル基軸体制。もう一つは世界共通通貨を発行するといった体制。これは経済学者のケインズが検討したものです。結局選ばれたのは、金1トロイオンス=35ドルとした金ドル本位制で、IMF( 国際通貨基金 )が設立されました。

しかしこの後、世界経済が急速に拡大する中で、ドルを供すればするほどアメリカの国際収支は赤字をならざるを得ず米ドルの信頼を失うといったいわゆる「 流動性のジレンマ 」に陥ることとなり、ついに71年、ニクソン大統領は金とドルの兌換を停止。73年には現在のような変動相場制に移行しドルは大きく切り下げられます。

次に敷かれたのは「 原油本位制 」です。サウジアラビアなどの産油国において、その決済をドルで行うといった体制です。こうなると、原油が欲しい国は必ずドルが必要になります。原油が金に代わってドルの裏付けとなるわけです。

■ 日米関係とアメリカ産業の衰退

こうした中でアメリカの双子の赤字は垂れ流し続けられるわけです。しかしこの、一見持続不可能な体制がこれまで続けられてきたのはなぜか。このあたりのことは、日本人のみならず、多くの人が気づいていないところ。

日米関係でいえば、日本が大幅な貿易黒字、アメリカが大幅な貿易赤字といった体制を、なぜ続けることができたのか。本来なら、関税をかけるなどの交渉があってしかるべきです。

実は、90年代に入ると、世界に放出したドルがアメリカ本国に還流する仕組みが構築されていきます。日本では90年代後半にいわゆる「 規制緩和 」の流れが押し寄せましたが、あれです。簡単に言うとこういうことです。

日本は自動車の輸出などで対米黒字を積み上げる。一方アメリカはモノづくりで日本に勝てないと踏み、金融を育てることにしたのです。日本の黒字は米国債をはじめとする米金融商品に還流する仕組みです。そして金融の裏にはそれを守る軍備があり、金融と軍事力で覇権国の地位を維持してきたというわけです。

90年後半から、とりわけ小泉内閣以降はこの流れが一段と強化されました。そしてこの構図は、両国でそれぞれ既得権益化していきます。この間、アメリカの産業は衰退し、格差は広がり多くの米国民が疲弊しました。

この流れに反するのがトランプ政権なのです。だから「 ドルと軍の撤退 」なのです。「 アメリカファースト 」というのはそういう意味です。

■ 日本は「 円高 」「 株安 」「 デフレ 」へ

こうした情勢の変化について、多くの国がものすごい勢いで動き始めているものの、まったく動けていない国が世界に3つあります。それは「 サウジアラビア 」「 イスラエル」 そして「 日本 」です。

サウジはご存じの通り王国であり、アメリカとの原油ドル体制の蜜月の中でこの世の春を謳歌してきました。イスラエルは軍事的にアメリカとの協力体制の中で密接に結びついてきました。日本はといえば、主に経済・金融的に一体化といってもいいような体制だったのです。

こうした状況のなか日本の行く末はほぼ決まりで「 円高 」「 株安 」「 デフレ 」です。そしてターニングポイントは「 金利動向 」となります。なぜそうなるのか。そして不動産市場はどうなるのか。長くなりましたので次回に譲ります。



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プロフィール

■ 長嶋 修さん

長嶋 修さん

不動産コンサルタント
さくら事務所 会長

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不動産デベロッパーで支店長として幅広く不動産売買業務全般を経験後、1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である、不動産の達人 株式会社さくら事務所を設立、現会長。

以降、様々な活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築く。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任。

2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度をめざし、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立、初代理事長に就任。

また、TV等メディア出演 、講演、出版・執筆活動等でも活躍中。

現在、「東洋経済オンライン」、「Forbes JAPAN WEB」等で連載コラムを執筆中。業界・政策提言や社会問題全般にも言及。

主な著書に、『空き家が蝕む日本』(ポプラ社)、『不動産格差』(日本経済新聞社)、『5年後に笑う不動産』(ビジネス社)等。

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