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コロナ後に再び「 バブル化 」というシナリオの現実味

長嶋修さん_画像 長嶋修さん 第222話

2020/4/21 掲載

世界は新型コロナ一色。日本の不動産市場は一気にしぼみ、REIT( 不動産投資信託 )は理論値が通用せず半値。

国内外の観光需要を見込んだホテルは閑古鳥、民泊やマンスリーマンションなどもほぼ全滅。貸会議室はもちろんアウト。飲食などのテナントを抱えるビルも足元おぼつかずといった状態。

オフィス系はリモートワークの進展でこれまでのような床面積の需要は望むべくもなく、筆者調べでは各所で賃料などの条件交渉が始まっているようで、賃料下落圧力は避けられないでしょう。

さくら事務所ではかねてからリモートワークを推進していましたが、コロナでさらに出社する人員が減り、また会議室も空くため、現在借りている渋谷のオフィス減床ないしは賃料減をオーナーと交渉しているところです。場合によっては転居するかもしれません。

こうした状況にあって、もっとも耐性のある「 居住用賃貸 」だけが大クラッシュからは逃れています。理由はもちろん、どんな状況であっても住まいは必要だからで、とはいえ新規契約は大きくしぼんでおり、コロナ禍が長引けば賃料に影響が出るのは避けられないでしょう。

90年バブル崩壊後と異なるのは、金融機関による強烈な「 貸しはがし 」といった姿勢が見られないこと。また08年リーマン・ショック後と異なるのは、当時のように「 金融システムが崩壊したわけではない 」ということ。一方、売買物件は全面的に様子見の傾向が強く、結局は株価次第でしょう。

■ 再び「 バブル化 」という第一のシナリオの現実味

この後どうなるか。今回のケースがこれまでのどんな事象とも異なるのは、史上最大にマネーがあふれていること。

日銀の資産はアベノミクススタート時に140兆円程度だったのが、3月末時点で600兆円越えと、450兆円も膨張しています。FRB( アメリカ )やECB( 欧州 )も程度の差こそあれ金利を低下させながら資産を膨らませています。

そして原油安。世界の協調が崩れ、1バレル20ドル台と、日本にとっては実はものすごい恩恵です。この状況は、87年のブラックマンデー後と韻を踏んでいるのではないかというのが私の見立て。

これが正しいとすると、日本は再び資産バブル化する可能性があるのではないかというのが、私の第一シナリオです。

まさかそんなと思うかもしれませんが、80年代後半の日本は、高度経済成長が終わった感がある中で85年のプラザ合意によって不況が叫ばれていたところ、低金利・金融緩和・原油安・円高といった条件の下であのバブルが、日本だけが独歩高のような形で進展していったのです。

世の中がバブルというか好景気を認識しだすのは88年くらいからで、浮かれまくっていたのは80年後半からバブル崩壊した2年後くらいまで。バブルの象徴として有名なディスコ「 ジュリアナ東京 」「 ヴェルファーレ 」などは91年以降にできたものです。

第2のシナリオは、コロナが収束せず、日本のような債権国は円高が続きダラダラとデフレ不況、他の債務国はインフレ。デフレというのは相対的にマネーの価値が上がるため、目先的には生活に困りませんが、給与は上がらず失業率はジワリと増加し、といった状況が続きます。

第3のシナリオは、ここからいきなり金融システムがダウン。きっかけは何でもいいのだと思います。こうなると一気に金利上昇で日本経済アウト。

世界中の負債は現在2京円程度ではないかと推定されており、これはもちろんリーマン時をはるかに上回る数字であり、さらにデリバティブ商品を加えたら途方もない額で、リーマン時のように中央銀行が救える規模ではありません。

こうしたシナリオのうち、
「 第1シナリオ:60% 」
「 第2シナリオ:30% 」
「 第3シナリオ:10% 」
といった程度の想定をしています。さてどうなるでしょうか。

■ 今後のプロセスに注目

「 歴史は繰り返さないが、韻を踏む 」( 米作家マーク・トウェイン )

現在の資本主義経済体制がスタートしたのは1914〜15年の「 ウイーン会議 」。その後「 ブレトン・ウッズ体制 」「 ニクソンショック 」などの変更が加わり「 リーマン・ショック 」で金融システムがフリーズしてしまったものの、各国の中央銀行が介入することで破綻回避。今回は中央銀行がどうにかできるサイズではありません。

だからこそかつてのコラムでお話しした「 合成覇権通貨 」が検討されているのでしょう。ソフトランディングか、ハードランディングか。またそのプロセスはどう推移するか、じっくりと見極めましょう。


プロフィール

■ 長嶋 修さん

長嶋 修さん

不動産コンサルタント
さくら事務所 会長

長嶋修さんのブログ

不動産デベロッパーで支店長として幅広く不動産売買業務全般を経験後、1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である、不動産の達人 株式会社さくら事務所を設立、現会長。

以降、様々な活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築く。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任。

2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度をめざし、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立、初代理事長に就任。

また、TV等メディア出演 、講演、出版・執筆活動等でも活躍中。

現在、「東洋経済オンライン」、「Forbes JAPAN WEB」等で連載コラムを執筆中。業界・政策提言や社会問題全般にも言及。

主な著書に、『空き家が蝕む日本』(ポプラ社)、『不動産格差』(日本経済新聞社)、『5年後に笑う不動産』(ビジネス社)等。

【連載中のコラム】


【著書一例】



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