■ 借金は怖いのか?
不動産投資を始めたい方で、「 借金が怖いので安い戸建てを現金で買う 」という方が一定数おられます。私自身も「 借金=危険 」と思っていたので気持ちはよくわかります。今でも、不動産以外の借金はありません。
自宅より先に新築アパートを建てたので、大きな借金はそれが初めてでした。借金をするための書類に実印を押すときに、「 オレは3,750万円も借金をするのか 」と恐怖で手が震えたのは良い思い出です。
その時、恐怖を抑え込むために、以下の3つのことを自分に言い聞かせました。
@入居者が入らなかったらアパートの2部屋を自宅として使えばいい。( 自宅の借金をしている人はたくさんいるんだから、自宅を買ったと思えば怖くない )
A7部屋中3部屋埋まれば返せるんだから大丈夫だ。( 3,750万円の借入に対して金利2.6%、融資期間25年、元金均等返済で当初の支払いが206,250円だった )
B家賃設定が間違っていたとしても、半分の家賃で満室になれば借金の返済に困ることはないのだから、それほどリスクは高くない。
A7部屋中3部屋埋まれば返せるんだから大丈夫だ。( 3,750万円の借入に対して金利2.6%、融資期間25年、元金均等返済で当初の支払いが206,250円だった )
B家賃設定が間違っていたとしても、半分の家賃で満室になれば借金の返済に困ることはないのだから、それほどリスクは高くない。
結果として、アパートは完成と同時に満室になり、毎月約50万円の家賃収入を手にすることができるようになりました。そして、「 これが金持ち父さんの本で言っていた良い借金なのか 」と腑に落ちました。
※金持ち父さんの借金についての定義
「 良い借金とは、その借金をすることでお金を生む借金のことで、悪い借金とは、その借金をしてもお金を生まない借金のこと 」
「 良い借金とは、その借金をすることでお金を生む借金のことで、悪い借金とは、その借金をしてもお金を生まない借金のこと 」
それ以来、良い借金とだけ付き合おう、悪い借金とは付き合わないでおこうと決意しました。例えば先月、車を買ったのですが、車はお金を生まないので友達に業者オークションで5年落ちのセレナを落札してもらって現金で買いました。
「 車は命を守るものだから安全性の高い車に借金してでも乗るべきだ 」という考え方の人もいますし、利益が減価償却と相殺されて安く乗れるなら借金をして買ったほうが得という考え方もあります。
しかし、僕はお金を直接生まないものは今でも悪い借金だと思っています。そのため、家賃収入が増えた今でも、借金をしてまで車を買おうとは思いません。

■ 現金で買えば安全なのか?
話を冒頭に戻します。「 安価なボロ戸建て投資は借金せずにできるから安全 」という考え方があります。しかし、僕はそれほど単純な話ではないと考えています。
例えば現金100万円で過疎地の調整区域にある再建築不可の物件をオーナーチェンジで買ったとします。確かに、借金はないので返済資金が足りずに困るということはありません。
しかし、不動産投資では思わぬ出来事が色々と起きます。例えば、入居者の退去後にリフォーム費用がかかり、それまでの家賃収入が吹き飛ぶかもしれません。戸建ては広いことが強みですが、その分、リフォーム費用がかかります。
だったら売却しようかと思っても、調整区域でしかも再建築不可ですから次の人に融資はつきません。しかも、リフォームもされていなければ欲しい人は現れないかもしれません。そして、売れなくても固定資産税はかかります。
こういうときに大切になるのが、実勢価格です。つまり、「 いくらなら売れるのか? 」ということです。100万円の戸建てが買った時以上の価格で売れればいいのですが、売れないならば、含み損を抱えていることになります。
逆に、借金をして買った物件でも売ろうとした時にすぐに売れてプラスになるなら、それは含み益を抱えていることになり、安全度は高くなります。
何を言いたいかというと、現金で買っているからリスクがないと考えるのは危険であり、借金をしていなくても、お金が足りなくて困る事態になることは起こりえるということです。
■ 10年落ちのポルシェ2台と45年落ちのポルシェ1台
初めは借金を怖がっていた人も、借金の旨味を知ると考えが変わり、ローンの引きやすい積算価格や収益還元価値の高い物件に目が行くようになります。その時にも意識したいのは実勢価格です。
先日、北海道で友達のオールドポルシェを運転させていただきました。私と年齢が同い年くらいの2リッター空冷式水平対向6気筒エンジンの音は最高でした。このオールドポルシェは実勢価格で1,000万円くらいです。

40年以上たっているので減価償却は2年。2年で償却が終わると簿価は1円になります。そこから利益相殺できそうな年、例えば5年後に売りに出しても1,000万円くらいで売れます。つまり、含み益を1,000万円くらい持っていることになります。
逆に、10年くらい前のポルシェのカイエンを500万円で2台買ったとします。2年で償却して簿価1円×2台になった後で例えば5年後に売るとすると、実勢価格50万円×2=100万円くらいにしかならないでしょう。含み益は100万円くらいということです。
知らない人が見たら、45年前のボロボロのポルシェ1台を停めてある家と10年前のポルシェカイエンが2台並んで停めてある家を見たとき、どう考えても後者の家の方が裕福に見えるのではないでしょうか?
つまり、「 借金が大きいから危険 」ということではなく、「 借金がないから安全 」というような単純な話ではないということです。また、「 決算書の表面的な数字が良いから安全 」というわけでもありません。
見た目は筋肉質に見えて( 純資産が積みあがったように見える決算書 )、銀行から借金ができたとしても、実勢価格が低く売れない物件ばかり抱えていたら、不健康な内臓肥満経営なのかもしれません。
駅前立地のRCビル( 店舗メイン )が積算価格に対してかなり割安だったという理由で購入した友人がいます。満室に出来ればそれなりの利回りになる予定でしたが、もともと半数近くあった空室がコロナの影響でさらに増えています。
売りに出そうにも、ガラガラの状態なので誰も買い手がいません。まさに、貸せないし、売れないしの八方塞がりです。それでも、バランスシートでは純資産が積みあがっているように見えるのです。
もちろん、銀行からお金を借りるためには、積算価格や収益還元で決算書の見栄えを良くすることは大切です。しかし、物件が今売ったらいくらで売れるのか? の実勢価格を常に意識しておくことはもっと大切です。
そして、本当にリスクの少ない経営を求めるなら、借金の額だけにとらわれず、様々な切り口からその安全性を計ってみてほしいと思います。

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