■ アパート内の空き駐車場を活用して収入アップ
今回はアパートの空き駐車場を外部の人に貸し出したことでトラブルになった話を紹介します。
自宅の近所にある所有アパートは間取りはワンルームで、8世帯に対し8台分の駐車場があります。ところが半分が学生なので、満車になることはほとんどありません。
そこで空いている場所を近隣に貸し出そうかと考えました。ただし、全部貸してしまうと次の入居者が駐車場を使う場合に困るので、空き駐車場4台分のうち2台分だけ貸すことにしました。
アパートの住人の方からは1カ月3,300円( 税込み )いただいています。考えた末、駐車場のみの方の料金は一カ月4,400円( 税込み )に設定しました。そして、看板を設置して1カ月位たったころ、電話がかかってきました。
アパート近くに住む戸建ての方で、子供が車に乗るようになり家の駐車場が不足しているので借りたいとのこと。早速、現地で駐車場所の確認と金額の確認をして、「 賃貸借契約書 」の手続きを済ませました。支払いは銀行振り込みでお願いしました。
その後、毎月25日に4,400円を振り込んでくださり、看板代の1万円はすぐに回収できました。空けておいたら1円にもならなかったので本当に嬉しい収入です。この方は自宅前の庭をつぶして駐車場の増設をするまでの2年間、借りてくれました。
私は「 空いていれば0円だった場所を貸すことで、2年間で約10万円の収入を得ることができた 」という成功体験に味をしめました。
■ 問題は突然やってくる
それからも「 家の塗装をする間、自宅の駐車場が使えないから3カ月だけ貸してほしい 」、「 近所の借家に住んでいるのだけれど1台しか駐車場がないから貸してほしい 」という理由等で借りてくれる人がいました。
大きなトラブルもなく運営できていたのですが、ある時、Aさんの駐車場の家賃が振り込まれなくなりました。賃貸借契約書の電話番号に電話したのですが、何度かけても出ません。これは嫌な予感がします。
仕方がないので賃貸契約書に記載されていた住所( 借家 )に行ってみたものの誰も出てきません。ただ、住んでいる形跡はあったので何度も足を運んでチャイムを鳴らしました。しかし、3カ月経っても会えずじまいでした。
車は24時間駐車場に放置されているので、どんどん傷んできました。ドイツの高級セダンでしたが、半年経ったころにはタイヤが4本ともパンクしていて、いよいよ放置車両との戦いの幕開けです。
景観にも影響があります。車に張り紙を貼ろうかと思いましたが、「 高級車に傷がついた 」などのクレームになったら困ります。そこで、前方と後方の窓のワイパーに「 大至急移動して下さい 」というお願いの紙を挟んでおきました。
1年くらいその状態が続きました。車の助手席の窓にもヒビが入り、かなりやばい感じに仕上がってきました。相変わらず家に行っても誰にも会えないので警察に相談しましたが、「 どうすることもできない 」と言われてしまいました。
アパートの住人なら保証会社や保証人に連絡するところですが、駐車場なのでそこまでしていませんでした。放置車両を移動するにも本人がいないと無理ですし、かといってこのままだと何年も置きっぱなしにされそうです。
(写真はイメージです)
■ 放置車両を撤去する方法
そこで自分で放置車両を撤去する方法を調べ、実行してみました。
放置車両を撤去するためには、もしも相手から損害賠償を請求されたときに説明できるように「 記録 」を取っておく必要があります。記録に必要なものは以下の3点です。
①放置車両の写真( ナンバープレート、車検ステッカー、室内の写真、車体の損傷状態等 )
②放置されている現場の見取り図と放置場所
③放置されている期間の記録( メモで大丈夫 )
②放置されている現場の見取り図と放置場所
③放置されている期間の記録( メモで大丈夫 )
放置車両が普通車両の場合、不動産と同じで「 登録事項証明書 」を運輸支局で取得ができます。登録事項証明書には、所有者の名前や住所が記載されており、持ち主の特定が可能です。
登録事項証明書を申請するためには、交付申請する人の身分証明書、取得するための手数料( 300円 )、放置車両のナンバープレート番号が必要です。そこに先ほどの写真など、「 記録 」として上記3点を添付します。
車の所有者が特定できたら、内容証明郵便を送付して放置車両の撤去を求めます。( この時に損害賠償も求めます )。内容証明郵便で送付するのは第3者の郵便局にこれを送ったことを証明してもらうためです。
しかし、ここで問題が発生。内容証明郵便を先方が受け取ってくれず、戻ってきてしまいました。そこで、次の手を打つことにしました。
次の手とは、直接、私が相手の自宅の郵便受けに内容証明を届けるというものです。その証拠として、郵便受けに私が書類を入れている写真を撮影しました。その上で、司法判断をしてもらう準備を始めました。
司法判断とは撤去に応じない車両に対して訴訟を提起することです。勝訴となれば車の競売手続きを裁判所に申し立て、自分でその車を落札して撤去することができます。( 欠席裁判等で勝訴になることが多い )
放置車両の所有権を取得出来たら、すぐに撤去廃棄処分を行おうと、鍵のない車でもレッカー移動してくれる車屋さんを見つけておきました。そして、いよいよ訴訟を起こそうと思った日に、持ち主さんの親御さんから連絡がありました。
話を聞くと、私が投函した内容証明を見て慌てて電話してきたとのこと。そして、「 息子は行方不明で連絡がつかない 」と言い、「 迷惑をかけている車については撤去する 」と約束してくれました。
それから2週間後、壊れたドイツ車はレッカー移動されていきました。時間はかかりましたが、無事に解決できてホッとしました。
弁護士や警察に相談したり、必要書類を集めたりとなかなか大変でしたが良い経験ができました。アパートの空き駐車場を活用したい人は、このようなリスクにきちんと備えた上で募集することをお勧めします。
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