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不動産投資家が破綻・倒産する時-元メガバンク融資担当者は見た!part2-

岡元公夫さん_画像 岡元公夫さん 第124話

2020/12/15 掲載

前回の続きです。

■ 銀行は自己査定の結果を、支援するかしないかの判断材料にする

銀行は、半年から1年毎に「 自己査定 」という債務者( =大家さん )の評価を行っています。自己査定の手順は、以下のような流れで行われます。

1)財務データのコンピューターへの入力
銀行は、決算書・確定申告書等の資料を融資先・融資希望者から受け取ると、その内容をコンピューターに入力します。
 ↓
2)定量判定
入力されたデータを銀行が決めたルールに基づいて分析し、点数化すると、「債務者区分」が提示されます。これを「 定量判定 」と言います。
 ↓
3)定性判定
次に、「 定量判定 」の結果として出された「 債務者区分 」に修正を加えます。これを「定性判定」と言います。なぜ、修正を加えるかというと、決算書等の財務データのみで、融資先や融資希望者の状態を的確に判定できるわけではないからです。

定性判定の結果、債務者区分が確定します。これを「 格付け付与 」と言います。

■ 格付けの査定のポイント

「 自己査定 」の結果が出ると、債務者は次の5段階の格付けに区分されます。

@正常先
A要注意先( 含む要管理先 )
B破綻懸念先
C実質破綻先
D破綻先

格付けの判定でポイントになるのは、以下の4つです。

・前期の確定申告・決算が赤字か
・繰越損失があるかないか
・債務超過であるかないか
・延滞があるかないか。ある場合には、3カ月以上の延滞か、リスケジュール( 返済条件の緩和 )をしているかどうか

このいずれかの項目で、一つでも内容が悪ければ、金融機関は定量判定の結果を「 正常先 」ではなく、「 要注意先 」以下とします。ただ、赤字についてはコロナ渦や大地震・水害などによる突発的なものや一過性の要因によるものもあります。

ですので、赤字の場合は全ての会社が即「 要注意先 」になることはありません。その上で、赤字・繰越損失・債務超過・延滞を解消できるか否か、そして解消できそうな場合には、どれぐらいの期間が掛かりそうかによって、格付けが決められていきます。

格付けの区分で不動産投資家が新規に融資を受けられるのは「 正常先 」に区分された時です。「 要注意先( 除く要管理先 ) 」でも、銀行は融資することはありますが、その場合は既存融資先で今回のコロナショックのような、特段の事情がある場合に限られることが多いです。

■ 不良債権の入り口・管理先

いわゆる「 不良債権 」とされるのは、「 要管理先 」以下の区分となります。

「 要管理先 」とは、要注意先のうち、3カ月以上延滞していたり、貸出条件の緩和( 債務者の経営再建又は支援を図ることを目的として、金利の減免、利息の支払猶予、元本の返済猶予、債権放棄その他の債務者に有利となる取決めを行った貸出金 」 )」をした債務者を言います。

返済猶予等のリスケを受ければ、貸出条件緩和債権となり、その融資先は原則として「 要管理先 」になるのです。

借入を他行に肩代わりしてもらう際に、返済期間を肩代わり前の残存期間より長くしてほしいと頼むと、金融機関は難色を示します。それは、自己査定のチェック項目に引っ掛かるからです。

上記で「 債務者の経営再建又は支援を図ることを目的として 」とあるように、財務内容が健全で目的としていなければ問題ないのですが、現場では、「 問題ないならば返済期間を延ばす必要はないでしょ 」といった禅問答のようなやりとりが生じます。

肩代わりする支店は、審査時に銀行の審査部、金融庁検査時に検査官としなければならないこともあり、支店は難色を示すのです。

「 要管理先 」は、その言葉通り「 管理を要する先 」です。銀行としては、要管理先になると貸倒引当金を大幅に積み増さなければならないので、融資額を減らしたいものの、諸々の手段によって積極的に債権回収を図る段階ではありません。

■ 銀行が回収を強化する「 破綻懸念先 」

「 要管理先 」の次の区分に、「 破綻懸念先 」があります。破綻懸念先とは現状、経営破綻の状況にはないものの、経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者を言います。

具体的には、現状、事業を継続しているものの、実質債務超過の状態に陥っており、業況が著しく低調で貸出金が延滞状態にあるなど元本及び利息の最終の回収について重大な懸念があり、従って損失の発生の可能性が高い状況で、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者のことです。

ここで、ポイントになるのが、実質債務超過ということ。銀行は、自己査定時に土地や建物、機械設備等の資産を簿価から時価に評価替えします。

バランスシート( 貸借対照表 )上の簿価では債務超過でなくても、時価評価すると債務超過になることがあります。これを「 実質債務超過 」と言います。

ここ数年、一部の不動産投資家や不動産業者の間で二重売買契約( =かきあげ )が行われていました。二重売買契約で不動産を取得すると、バランスシート上には時価より割高な簿価で土地・建物価格が計上されることになります。

もし、二重売買契約を繰り返して不動産投資を拡大していたら、その投資家は自己査定で大幅な実質債務超過になる可能性は高いでしょう。

実質債務超過では、所有不動産を処分しても借金を返済できないことになります。また、建物は経年劣化して価値が減価していきます。銀行としては、元本の返済猶予を続けていると、今より更に融資を回収できない可能性が高くなります。

まとめとして、返済条件の緩和等で銀行の支援を受けられる方と受けられない方の違いは、以下のようになります。

〇実質債務超過でないこと。実質債務超過であっても数年で解消の見込みであること
〇返済条件の緩和をしても、最終的に融資を回収できる見込みであること

融資を使い、規模を拡大しながら不動産投資を進めていきたい方は、上記を意識して物件を買い進めることが重要と言えます。

プロフィール

■ 岡元公夫さん

岡元さん

岡元公夫さんのブログ

亡き父と2代続けての元メガバンカー。
銀行員時代は、東証一部上場の大手不動産会社から 個人の大家さんまで、融資主体に幅広く担当。 実家は祖父の代からの小規模ながらの大家さん。

■ 経歴

□2004年
実家の跡を継ぎ、東京城北エリアでマンション・アパート・戸建を取得開始。

□2008年2月
不動産賃貸業の修行の為、不動産開発・運営会社に転職し、プロパティマネジメントの責任者となる。

□2009年10月
不動産収入が年間6千万円ほどになり、デッドクロスもクリアできる目途がついたことから、サラリーマンを卒業。

□2011年
東京エステートバンク株式会社(東京房屋®)を設立。国内・台湾・中国の投資家・会社経営者の方にコンサルティングを行っている。

■ 所有物件

□築44年RCマンション
 1LDK×4戸、2K×8戸

□築28年RCマンション
 1R×10戸

□築21年鉄骨マンション
 2LDK×6戸、2DK×6戸

□築14年木造アパート
 1R×5戸、2DK×2戸

□登記上築60年(実態は新築同様)
 木造戸建 2LDK×1戸

□木造戸建てリノベシェアハウス
 2棟×10室

□区分所有マンション 2LDK×1戸 
 
□駐車場12台
 バイクガレージ26台

□再開発予定木造戸建
 3棟

■ 保有資格

・宅地建物取引主任者
・ファイナンシャルプランナー
・その他生損保等金融関連諸々

■ 税理士試験科目合格
 (簿・財・相・固)

■ 著書

岡元さん
元手100万円から! 気軽で手ごろなマンション投資で年800万円稼ぐ方法(明日香出版社)

岡元さん
はじめての不動産投資1年生 儲かるしくみと損する理由(わけ)がわかる本 (明日香出版社)

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