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手抜き工事業者を回避する4つの方法

岡元公夫さん_画像 岡元公夫さん 第130話 著者のプロフィールを見る

2021/6/8 掲載

前回のコラムでは、八王子アパート階段崩落死亡事故について取り上げました。その後の国土交通省の調査によると、この物件を手掛けた則武地所がほかに施工した共同住宅は240棟以上。このうち6件で、屋外階段の劣化等による危険性がみられたとのことです。

そして、国土交通省は、それらの物件の所有者等に対し、以下の対応を求めています。

@建築士等による詳細調査
A屋外階段( 自立する鉄骨造であるものを除く )の改修計画の提出及び改修の実施
B改修( 恒久措置 )完了までの間、当該屋外階段の定期的な点検及び自治体への報告

施工業者が倒産してしまったので、大家は自己負担で、対応せざるを得ません。前回述べたように、大家の責任は重いのです。では、今回の事故の原因となった「 手抜き工事 」を避けるために、大家は何をすればよいのでしょうか?

■ 適正価格の把握

建築費について、大家・不動産投資家は安さを追求します。それは事業として営んでいるのですから、他業種と同様当然のことです。しかし、安すぎるということは、何かしらにしわ寄せがいっています。

建築費は、「 労務費+材料費+諸経費+妥当な利潤の合計 」と≒の関係です。出てくる価格がこの合計よりも低ければ、手抜き工事が行われたり、建築中に施工業者が倒産したりするリスクが高まります。

公共工事の入札においても、「 最低制限価格制度 」というものがあります。この制度は、公共工事等の請負の契約の入札において、契約内容に適合した履行を確保するため、あらかじめ最低制限価格を設けるというものです。

予定価格の範囲内で最低の価格をもって入札した者であっても、最低制限価格を下回る場合には、これを落札者とせず、最低制限価格以上で最低の価格をもって入札した者を落札者とします。この制度がある理由のひとつに、手抜き工事を防ぐことがあります。

個人の大家・不動産投資家の場合でも、その時のざっくりした建築費の相場を把握して、それより極端に安かったら、なぜ安いのか気をつけたほうが良いでしょう。

もっとも安くても、手抜き工事をしない良い施工業者さんもあります。安くできる理由は、以下のようなものが挙げられます。

・大量仕入れによる仕入れコスト削減
・現場への資材の搬入を上手くコントロールしていて職人を手持無沙汰にさせない
・効率化により人件費や諸経費を削減

つまり、経営努力です。ただし、くだんの則武地所も自社ウェブサイトで「 工程の全てを自社で行うことで、驚きの低価格でご提供 」と掲載していますので、素人が真偽を判断するのは難しいこともあります。

■ 設計と施工を分離、工事監理やインスペクションを導入

建物を建築する場合、大きく「 設計 」と「 施工 」という二つの工程に分かれます。設計は、建築士が設計図面を作成し、役所等で建築確認申請などの許可申請を受ける作業です。そして施工は、設計図面等から工事金額の見積りを作成し、実際に工事をする作業です。

アパートメーカーや工務店の大半は、設計と施工を同じ会社が手掛けていたり、施工会社が設計を外注したりしています。両者はいわば身内ですので、ここで何か問題があっても施主に伝えられることはありません。施主である大家も、建築現場を逐次見ても、手抜き工事をされているかどうかの見分けはつかない人が大半です。

対策としては、設計と施工を分離し、更に設計してもらった建築士や設計事務所に工事監理をしてもらう方法があります。工事監理とは、工事を設計図書と照合・確認することをいいます。

また、設計施工が同じ会社でも、「 インスペクション 」を導入することで中立的な指摘を受けることができます。下期は、長嶋修さんが経営するさくら事務所の投資用一棟アパート新築工事チェックのサイトです。

参照:投資用一棟アパート新築工事チェック( 建築途中検査・完成検査 )

工事監理やインスペクションを行うことを施工会社が知っていれば、悪意の手抜き工事を避けられる可能性は高いでしょう。また実際のチェックにより、うっかりミスなどもリカバリーできるでしょう。

■ 帝国データバンク・商工リサーチ・取引銀行での確認

建設会社は、仕入れ・外注での手形取引が多い業種柄、帝国データバンクや商工リサーチ等の民間の企業信用調査会社の調査を受けていることが多いです。

調査会社は、その建設会社の取引先等より信用調査の依頼を受け、調査します。調査の結果を記した調査報告書には、会社の概要や登記情報、資産、株主、役員構成、代表者経歴、主要取引先( 仕入れ先・得意先共 )、取引銀行、財務諸表、財務諸表分析に加え、調査会社独自基準に照らした評点、文章による総評などが記載されています。


<帝国データバンク調査報告書見本抜粋>

簡単な企業概要データなら、千円から2千円程度で見られます。調査報告書は3万円から5万円程度で取得できます。大家が施工を依頼する時は企業概要データだけ取得して、評点が極端に低い会社は避けるぐらいの利用法でも良いでしょう。

また、企業概要データには、その施工会社の取引先銀行と支店名が記載されています。大家が建築費の融資を受ける場合、その施工会社と取引がある場合には、融資候補の銀行に問い合わせるのも有効な手法です。

企業信用調査会社の評点や銀行への問い合わせだけで、その会社が手抜き工事するとわかるわけではありません。ただし、調査会社や銀行の評価が低い会社は経営に問題があり、手抜き工事をしたり、工事の途中で倒産する可能性が高いことは否定できません。

■ 大家仲間の評判と実際の物件見学

最後に、手抜き工事を避けるために参考になることの一つに、いわゆる「 業界内情報 」があります。実際に新築して賃貸している大家さんからの生の情報は、とても有用です。物件を見学させてもらえれば、さらに良いでしょう。

そして、大家仲間のみならず、施工会社を通して、施工した物件を見学させてもらうのもおすすめです。手抜き工事や品質をチェックするのには、新築物件より、ある程度築年数が経過した物件のほうが分かりやすいので、リクエストしてみてください。

余談ですが、大家仲間に協力してもらう時は「 クレクレ君 」にならないことが重要です。私も機会があれば、物件見学会を主催したり、情報提供をしたりしていますが、情報を貰うだけで、提供しない人がいます。それが続くと、そのうち相手にされなくなりますから気を付けてくださいね。

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プロフィール

■ 岡元公夫さん

岡元公夫さん

岡元公夫さんのブログ


亡き父と2代続けての元メガバンカー。
銀行員時代は、東証一部上場の大手不動産会社から個人の大家さんまで、融資主体に幅広く担当。
実家は祖父の代からの小規模ながらの大家さん。


■ 経歴

□2004年
実家の跡を継ぎ、東京城北エリアでマンション・アパート・戸建を取得開始。

□2008年2月
不動産賃貸業の修行の為、不動産開発・運営会社に転職し、プロパティマネジメントの責任者となる。

□2009年10月
不動産収入が年間6千万円ほどになり、デッドクロスもクリアできる目途がついたことから、サラリーマンを卒業。

□2011年
東京エステートバンク株式会社(東京房屋®)を設立。国内・台湾・中国の投資家・会社経営者の方にコンサルティングを行っている。


■ 所有物件

□築44年RCマンション
 1LDK×4戸、2K×8戸

□築28年RCマンション
 1R×10戸

□築21年鉄骨マンション
 2LDK×6戸、2DK×6戸

□築14年木造アパート
 1R×5戸、2DK×2戸

□登記上築60年 木造戸建(実態は新築同様)
 2LDK×1戸

□木造戸建てリノベシェアハウス
 2棟×10室

□区分所有マンション
 2LDK×1戸

□駐車場12台
 バイクガレージ26台

□再開発予定木造戸建
 3棟


■ 保有資格

  • 宅地建物取引主任者
  • ファイナンシャルプランナー
  • その他生損保等金融関連諸々
  • 税理士試験科目合格
    (簿・財・相・固)

■ 著書

岡元公夫さん:著書-1
元手100万円から! 気軽で手ごろなマンション投資で年800万円稼ぐ方法(明日香出版社)

岡元公夫さん:著書-2
はじめての不動産投資1年生 儲かるしくみと損する理由(わけ)がわかる本 (明日香出版社)

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