こんにちは、オロゴンです。
僕自身、自分の給料から引かれる項目について、サラリーマンの頃は無頓着・無関心でした。正直、何にいくらお金がひかれているかなんて考えたこともありませんでした。
それが、自分で経営する会社で経理や人件費を管理するにつれ、「 給料から天引きされるお金ってこんなに多いんだな・・ 」と気づくことになりました。
会社は法律や制度で、無理やり税金徴収の代理店をさせられています。 この源泉徴収をする側に立ってみて、徴収される側だと気づかない、見えないことが色々と見えるようになりました。
蚊は明確な意図を持って人の血を吸いますが、吸われる側の人間が気づくかどうかは人や環境によることと似ています。「 なんでこんな大事な仕組みを、学校では教えてくれないのだろう 」と疑問に思ったことが僕のマネ―リテラシーに関する発信、「 サイフの穴をふさぐには? 」という書籍の原点です。
昨年、新会社を設立し、ふたたび正社員に給料を支払う立場になったこともあり、そうした思いがまたもや再燃している今日この頃です。
今回は、毎月の僕の会社での給料計算の処理を、読者の皆さんにも見ていただき、社会保険料の高さに”気づく”プロセスを追体験していただこうと思います。
■ 会社側が行う給与計算の流れ
当社が使っている給料計算ソフトでは、給料額面の金額を入力して「 計算 」ボタンを押すと、あらかじめ決められた保険料率で、それぞれの社会保険料の金額がはじき出されます。
たとえば額面30万円のAさん( 40才以上=介護保険もあり )の給与明細・画面は次のようになります。
額面の30万から社会保険料の合計額47,070円+所得税+住民税 を差し引いた金額を当社では、給料日の10日に、Aさんの口座に振込します。そうすると、当たり前ですが、会社の口座からは給料ぶんのお金がドンと無くなります。
その給料日後、月末には、さきほど天引きした社員全員ぶんの社会保険料に、会社負担分を合わせた金額の引き落としが、会社の銀行口座にかかります。ここで給料日に続き、お金がまたドン!と無くなるわけです。
Aさんの分だけに限っても、47,070円のほぼ2倍の金額である、約94,000円が月末のタイミングで会社の口座から引かれていきます。
↑日本年金機構から毎月届く保険料支払額の通知書。決して少なくない金額が毎月引かれていきます
サラリーマンの立場だと、既に天引きされたものが手取りとして入金されるため、気づきにくいのですが、会社側としては、給料日ドン!社会保険料ドーン!という感じで、2度にわたり、お金が減るタイミングがある訳です。
こうなると通帳を眺めているだけでも、社会保険料の存在や金額をイヤでも意識してしまうんですよね。経営の重要事項、資金繰りにも直結します。
■ 保険料の「 折半負担 」とは?
またあわせて、保険料の「 折半負担 」という仕組みについても理解しておきたいところです。
社会保険料のうち、健康保険・介護保険・厚生年金は、社員と会社が折半( 50%ずつ )で負担することになっています。しかし、この会社負担となる折半分、さきほど見てもらったように毎月末の引落日に、支払を行っているのは会社の口座からです。
会社の立場からすれば、社員の給料でも社会保険料でも、自分の手元から出ていくお金( 人件費関連の出費 )であることは一緒です。本来 社会保険料で払うくらいなら、社員に給料として還元したいと考える経営者もかなり多いはずです。
そう考えれば、社会保険料の会社負担部分は、社員の給料の伸びしろ部分、もっとわかりやすくいうと、「 本来なら給料として受け取っていたお金 」であるという見方もできるわけです。
社会保険料の増加が、我が国で給料が上がりづらい要因のひとつになっていると指摘する方も多いですね。私はこのシステムは、会社と従業員に悲しいギャップを産み出していると考えています。
会社としては、月給30万のAさんに給料を払うことで、会社負担の社会保険料約5万もあわせて、毎月約35万円のお金が残高からなくなります。
一方で、Aさんは、約5万の社会保険料が引かれるため、手取りは25万円です。
35万と25万。差額の実に10万円が、社会保険料として徴収されてしまっているのですが、そこを意識せず自分の手元のお金だけ見ていると、
会社側は「 35万も給料払っているのだからもう少し頑張ってほしい 」
社員側は「 25万しかもらっていないのにやってられないよな 」
このような、不幸なすれ違いが起きてしまうことになるのです。
https://twitter.com/orogongon/status/1553965634559836160?s=20
月給30万円のAさんの事例に戻れば、毎月10万円、実に給料の3割近くが、毎月 国に徴収されていることになります。
よくよく考えてください。給料30万円のうちの10万円ですよ? 家賃よりも多くないですか? 改めて考えるとすごい金額ですよね。
サラリーマンの方ができる対抗策としては、税金についてはふるさと納税などで少しばかりの抵抗ができるとは思いますが、社会保険料についてはあまり思いつきません。
強いて言うなら、病院や歯医者に通って、少しでも元を取ろうとするくらいでしょうか。しかし、それでも自己負担もありますし、病院が儲かるだけの気もします。
給与所得を得て生活しているだけで、30%の手数料を国に取られているようなもの。この現実と制度を正しく理解し、給与所得以外の収入源も切り開こうとするチャレンジ精神を持つことが、現代日本で豊かに生活をしていくための最低条件だと思っています。