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大家業界で静かにはやるマルチ商法の考察ー人間関係を換金する人たちー

ぺんたさん_画像 ぺんたさん 第18話 著者のプロフィールを見る

2018/9/20 掲載

ここ数年、大家業界でマルチ商法の話を見聞きする機会が増えてきました。最初に聞いたのは某有名大家さんについての話です。

短期間で大きな資産を築いたわけでもなく、大家としての手腕にもそれほど秀逸さを感じなかったのですが、非常に積極的にセミナーやメディア露出を繰り返していました。

「 どうしてこんなに名前を売る必要があるのだろう!? 」と素朴な疑問を持っていたのですが、大家仲間から裏事情を教えてもらって納得しました。

その人はセミナー集客した人をマルチ商法の見込み客として活用しているそうです。もしかしたら不動産業が副業で、マルチ商法が本業なのかもしれません( 苦笑 )。

■ 大家の「 不労所得意識 」を狙い撃ち!?

大家業とマルチ商法はまったく別のビジネス形態なのは言うまでもありませんが、唯一共通しているのが、「 楽して儲かる"かも”しれない 」という期待感がある点だと思います。

最近はさすがに鳴りを潜めていますが数年前まで「 不動産投資で毎月らくらく〇〇万円 」的なネーミングの投資本が幅を利かせていました。

いまでも大家の会などに顔を出すと、真顔で「 不労所得を手にして楽な生活を送りたい 」などと言う若者に出会います。こういう人には「 そんなに楽なもんじゃないよ 」と私のブログを読むようにおすすめしています( 笑 )

マルチ商法は自分の下に代理店をたくさん作って、その代理店がさらに孫の代理店を作って…ということを繰り返せば、上位に立つ自分に不労所得が入る、という期待感があるようです。

楽してお金を儲けたいと思う大家さん( と大家さん予備軍 )には、その点で親和性があるのかもしれません。

■ マルチ商法とは

ここで少し整理したいと思います。いわゆるマルチ商法とは、

・商品やサービスを
・対面販売を通じて無限連鎖的に販売する商法

と定義づけることができます。


消費者庁の特定商取引法のガイドページより

意外かもしれませんが、多くの人が嫌っているマルチ商法は、特定商取引法という法律でかなり厳格に規制されていて、その規制を守っている限り合法的なビジネスです。

※お金だけ出資させて、年率20%の配当が付く…などと勧誘するのは「 ネズミ講 」とか「 無限連鎖講 」と呼ばれて、そっちは非合法です。

ただし、合法だからといって全面的に信頼できるとは限りません。特定商取引法は「 商法の枠で規制できないものを特別法で取り締まる 」という考え方でできた法律ですが、マルチ商法を危ないビジネスとしてとらえ、封じ込めようとしています。

マルチ商法の事業者側も規制ができると抜け道を探し、それを封じる規制ができると、また新たなやり方をみつけるというイタチごっこが続いているのです。

たとえば知人から急に「 会いたい 」と誘われて喫茶店に行ったら、マルチの勧誘だったという経験がある方も多いのではないでしょうか?

あれは特定商取引法で「 マルチ商法の勧誘だと告げないまま事務所に呼ぶのは禁止 」という規制があるため、事務所ではない場所を使って規制を免れているということなんです。

ですから、現在の法規制に照らせば合法でも、新たな被害者を生み出していないとは言い切れないと考えたほうがいいでしょう。

■ 利益の源泉はどこか・・・

商品を販売するタイプのマルチ商法は、利益の源泉が比較的わかりやすい構造になっています。全代理店が販売する商品の粗利をチェーンの上流も含めて分配する構造になっています。

ところが、法規制を免れるためか利益の源泉がどこにあるのかわからないようにしているマルチ商法が多くなっているようです。

さいきん大家業界で流行っているマルチ商法のひとつに、「 電力の販売マルチ 」というのがあるのですが、それがいい事例かもしれません。

数年前から電力の小売りが自由化されたので、都市ガス会社が電力の小売りを始めたりしていますよね。一般的に「 新電力 」とよばれていますが、あれと同じようにマルチ商法を通じて電力の小売りをしようとする事業者が数社あります。

そういうチェーンでは、大家同士の付き合いを通じて上流の大家が知り合いの大家を勧誘します。代理店として加入した大家は、自分のアパートの入居者に「 電気の契約を切り替えませんか? 料金が安くなりますよ! 」と勧誘します。

切り替えてくれた入居者から生じる粗利がチェーンの利益になる形です。ところがそれは実態を隠すための隠れ蓑でしかありません。

というのも、電力の仕入れコストは高いので、電力販売から得られる粗利は本当に微々たるものでしかありません。多分、1契約者あたり毎月数十円から百円程度の粗利しか得られないでしょう。

そう思っていろいろ調べてみると、そうした「 新電力マルチ 」は、加入する際に高額なテキスト代金や毎月の会費を払うようになっていることがわかりました。

たぶん、そちらのほうが電力の販売よりも格段に大きな収益源になっているはずで、法律で禁止されているネズミ講の要素を巧妙に取り入れた手法だと断じざるを得ません。

今は法律で規制されていなくても、遅かれ早かれ規制が入るだろうと予測しています。

■ 人間関係を換金しますか??

マルチ商法は人間関係をお金に換えるビジネスだといえます。身近な人間に声をかけるビジネスだからです。

私はマルチに勧誘されたとき、「 この人の目には自分がエサにしか映っていないだろうな… 」と思って悲しくなりました。たぶん多くの方が同じ思いをしているでしょうし、勧誘してきた人とは疎遠になっていると思います。

つまり自分の人間関係が破壊されてもかまわないからお金儲けがしたいと思える人でないとマルチでの成功は見込めないわけで、そういう資質は大家業の足かせにしかなりませんよね。

以前、人気ブロガーである狼さんと電話で話した際、「 共食い大家 」の話になりました。「 不動産賃貸業ってまじめにやればちゃんと儲かるのに、なんでそんなことをやるのかね~ 」という狼さんの言葉に、100%同意しました。

今回取り上げたマルチ商法もしかりです。判断は人それぞれですが、大家の本業に邁進したほうがよほど利益は上がると私は思いますし、これからもそうしていくつもりです(^_^)

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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

ぺんたさん

ぺんたさんぺんた

不動産賃貸業
平日は物件のある山口県、週末は家族のいる福岡県在住
家族は妻と二人の息子

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □1966年
    福岡県北九州市で誕生
  • □1989年
    大阪大学人間科学部卒業
    東京の大手電機メーカーに就職
  • □2000年
    3才の長男に発達障害があることがわかり、妻と「この子が20才になるまでにファミリービジネスを作っておこう」と決める
  • □2005年
    義両親の介護のために長年勤めた会社を退社し、福岡へUターン
    退職金で生活しながら、義両親の介護と長男の療育の体制を整える
    そののち、福岡市内の球団に就職する
  • □2009年
    福岡の球団を辞め、東京に単身赴任
    数社の事業再生にかかわり全て業績改善を達成
  • □2014年
    不動産賃貸業で起業(サラリーマンを卒業)
  • □2015年
    物件のある山口県と家族の住む福岡県の二重生活を始める
不動産投資歴
  • □2000年
    『金持ち父さん・貧乏父さん』を読み、不動産投資に興味を持つ
  • □2004年
    千葉県九十九里に中古アパートを購入するも空室が続き、持ち出し状態に
  • □2007年
    千葉県九十九里のアパートを売却し、いったん撤退
  • □2008年~
    福岡の区分マンションを現金で購入
    福岡の中古戸建を現金で購入
    千葉県山武市の中古戸建を現金で購入
  • □2012年
    福岡県内に2LDK×8戸で1,150万円の中古木造アパートを購入(利回り29%)
  • □2013年
    岐阜県恵那市に3DK×16戸で4,000万円の中古RCマンションを購入(利回り24%)
  • □2014年
    不動産賃貸業で起業。サラリーマン時代の経験を活かし、空室の多い物件の再生に的を絞る。

    岐阜県恵那市に3DK×12戸の中古S造マンションを購入(利回り21%)

    三重県松阪市に1R×40戸で1億円の中古RCマンションを購入(利回り17%)
  • □2015年
    山口県宇部市に中古S造アパ―トを初購入(利回り27%)
    平日は宇部市、週末は福岡県という二重生活がスタート
  • □2016年~
    山口県宇部市で物件を買い進める
    恵那市の2棟のマンションと松阪市のマンションを売却し、山口県を主戦場と決める
  • □2022年
    山口県宇部市でドミナント化を進め、所有物件22棟・217室はすべて宇部市で購入。
    満室時の家賃年収は1億2,000万円程度。借入れは約8億円(返済比率38%)

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