こんにちは、ぺんたです。
何度かコラムでも紹介した元市営住宅だった所有物件は、田舎町では珍しい中層階物件です( RC9階建て )。市内にこれぐらい背の高い物件は分譲物件しか見当たらないので、賃貸物件としてはかなりの稀少性があります。
実はこの物件を購入する前からオートロック化は必須だな・・・と思っておりました。市営住宅時代に不審者が建物内をうろついていた事例があったこと。また、別の高層賃貸住宅で外部侵入者の飛び降り自殺(!)があったことなどが理由です。
そこで今回は中古マンションにオートロックを後から導入する際に、どのような点に注意して検討したかをご紹介したいと思います。具体的には、以下の2点がカギとなりました。
①どのようなオートロックシステムを採用するか?という機器選定の視点
②どの位置でセキュリティをかけるか?という動線に関する視点
■ 大手メーカー品は高い!!
オートロックに関しては一から勉強しました。ざっくり言ってしまうとオートロックシステムは、以下の3つの機器から構成されます。( ※注:実際には様々な種類の外部ユニットが必要になります )
①オートロック制御盤( イメージです )
②室内親機( イメージです )
③玄関子機( イメージです )
大手メーカーさんの機器はもともとの価格が非常に高いうえ、機器同士の接続工事も非常に高くつきます。
オートロック制御盤と室内親機は1対戸数の接続になりますので、このマンションでは全30室に対して30本のケーブルを新たに通さないといけません。配管スペースに余裕がなければケーブルを通せないこともあります。
最初に相談した業者さんからそのことは聞いていたので、見積依頼の段階で既設の電話線を利用して工事費を安く上げるシステムで提案してもらいました。ところがその見積を見てびっくりしました。オートロックシステムだけで680万円もします!
その中には非常階段に新設しなければならない防犯扉や、集合ポスト、電気錠などの付帯工事は含まれていませんので恐らく総額は900万円程度になると思われます…。
ブログ読者の方によると工事費総額1,000万を軽く超えることもあるそうなので、やっぱり大手メーカーのシステムは高いのだと痛感しました。
■ 簡易型システムを選定
代わりのシステムを探しているうち「 簡易型オートロック 」を見つけました。そういえば以前ブログ読者さんから教えてもらったことのあるシステムです。
マトリックス電子という福岡の企業が作っているオートロックなのですが、デモを見せてもらってウチにはこれで十分だと思い、採用することにしました。
実は、このシステムにはスマホが1台組み込まれています。来訪者が部屋番号を押して呼び出しボタンを押すと、予め登録された入居者のスマホや固定電話宛に電話をかけるんです。
入居者が電話で応答すると来訪者と会話ができ、不審者でないことを確認したうえでスマホからトーン信号を送ると( ピッポッパッという音です )、エントランスが解錠されます。
また、カメラを内蔵している機種を選べばスマホに画像を飛ばして顔まで確認することができるスグレモノです。
入居者は予めお渡しするカードキーやタグキーをICカードリーダーにかざせばすぐに解錠できます(^^ )。ご興味を持たれた方は、詳しい情報をマトリックス電子のHPでご確認ください。
参照:マトリックス電子TeleOpenerのHP
⇒https://mtrx.jp/products/xdp82x.html
■ 大幅なコストダウンに成功
このシステムの2大メリットは、携帯電話網を使うので各部屋との間に通線工事を行う必要がないこと、そして入居者のスマホや固定電話を利用するので上でご紹介した室内親機を新たに購入する必要がないことです。そのため、大幅に安い価格で導入することができます。
ちなみに今回のお見積もりは総額170万円でした。大手メーカーが680万円の見積でしたから約500万円ものコストダウンになります。
もっとも、このオートロックシステム内のスマホには電話料金がかかります。マトリックス電子から指示されてイオンモバイルで格安SIMカードを調達してきました。
通信量500MBプラン・10分間かけ放題オプション付きで毎月2,300円程度の出費です。この程度の出費であれば私は500万円のコストダウンを選びます( 笑 )
■ 予め「 防衛ライン 」を決める
話が前後しますが、こういうオートロックを後付けする場合、エントランスのどこの部分で外部者の侵入を食い止めるか。
いわば「 防衛ライン 」を大家さんが最初に考えておく必要があります。食い止める箇所の数や形状によって、必要になる工事内容が変わってくるからです。
うちの場合、エントランスまわりはこういう↓形状になっています。赤線のところが普通に考えた場合の「 防衛ライン 」です。合計5箇所を塞がないと不審者の侵入は防げません。
このうち非常階段は物理的に塞がないと自由に出入り出来てしまうので、防犯扉を新たに付けて塞ぎました。
この防犯扉は、内部からは鍵を使わずに開けられ、外部からは鍵がないと開けられない・・・いわゆるホテル錠を付けてもらいました。( ※ちなみに扉の設置に関しては消防署に事前確認済みです )
残るは入口ドア3箇所ですが、ここをオートロックでコントロールする場合、オートロックの制御盤と集中ポストはエントランスホールの外部に取り付けることになります↓
この場合、入口ドア①~③には電気錠を取り付けることになります。制御盤からの解錠信号を受けて、モーターで開閉するデバイスです。
(美和ロックHPより)
オートロックを解錠したときに「 ウィ~ン、ガチャ 」と動くあれですが、この電気錠が3つもあることにひっかかりを感じていました。というのも、電気錠は可動部があるので長く使っていると故障する可能性が高いのです。
そこで、いろんなパターンをあれこれ考えた結果、ビジネスホテルのエレベーターと同じようにできないか? というアイディアが浮かびました。
最近のビジネスホテルではカードキーを使うところが多いですが、そのカードキーで認証しないとエレベーターが動作しないようにもなっていますよね。あれと同じように出来ないかな?と考えたのです。
もしそれが可能だった場合、構成は以下のようになります。
入口ドア①~③は開放したままで集中ポストもホール内に置くことができます。エレベーターの扉が「防衛線」になるので、そのすぐそばにオートロック制御盤を配置し、エレベーターの操作パネルを制御することになります。
「 そういうことが出来ますか? 」とマトリックス電子に問い合わせたところ、わずかな費用で実現できる・・・という回答が来たのもマトリックス電子を採用する決定打になりました。
具体的にはオートロック制御盤で認証を行い、1階EVの操作パネルに解錠信号を送ると▲ボタンが押せるようになるそうです( 日立ビルシステムさんにもこのような改造を承認していただきました )。このやり方であれば可動部がないので信頼性が高くなると思います。結局「 EV防衛線 」方式で発注しました。
これにより3箇所の電気錠が不要になり、その分さらにコストダウンが可能になりました。総工費は約300万円で、大手メーカーシステムより約600万円も安く上がります。簡易システムといっても考えようによっては使えますよね(^^ )