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900万円が300万円に!?中古物件にオートロックを後付けする際の、実務的な検討事例

ぺんたさん_画像 ぺんたさん 第60話 著者のプロフィールを見る

2020/7/6 掲載

こんにちは、ぺんたです。
何度かコラムでも紹介した元市営住宅だった所有物件は、田舎町では珍しい中層階物件です( RC9階建て )。市内にこれぐらい背の高い物件は分譲物件しか見当たらないので、賃貸物件としてはかなりの稀少性があります。

実はこの物件を購入する前からオートロック化は必須だな・・・と思っておりました。市営住宅時代に不審者が建物内をうろついていた事例があったこと。また、別の高層賃貸住宅で外部侵入者の飛び降り自殺(!)があったことなどが理由です。

そこで今回は中古マンションにオートロックを後から導入する際に、どのような点に注意して検討したかをご紹介したいと思います。具体的には、以下の2点がカギとなりました。

①どのようなオートロックシステムを採用するか?という機器選定の視点
②どの位置でセキュリティをかけるか?という動線に関する視点


■ 大手メーカー品は高い!!

オートロックに関しては一から勉強しました。ざっくり言ってしまうとオートロックシステムは、以下の3つの機器から構成されます。( ※注:実際には様々な種類の外部ユニットが必要になります )

①オートロック制御盤( イメージです )



②室内親機( イメージです )



③玄関子機( イメージです )



大手メーカーさんの機器はもともとの価格が非常に高いうえ、機器同士の接続工事も非常に高くつきます。

オートロック制御盤と室内親機は1対戸数の接続になりますので、このマンションでは全30室に対して30本のケーブルを新たに通さないといけません。配管スペースに余裕がなければケーブルを通せないこともあります。

最初に相談した業者さんからそのことは聞いていたので、見積依頼の段階で既設の電話線を利用して工事費を安く上げるシステムで提案してもらいました。ところがその見積を見てびっくりしました。オートロックシステムだけで680万円もします!

その中には非常階段に新設しなければならない防犯扉や、集合ポスト、電気錠などの付帯工事は含まれていませんので恐らく総額は900万円程度になると思われます…。

ブログ読者の方によると工事費総額1,000万を軽く超えることもあるそうなので、やっぱり大手メーカーのシステムは高いのだと痛感しました。

■ 簡易型システムを選定

代わりのシステムを探しているうち「 簡易型オートロック 」を見つけました。そういえば以前ブログ読者さんから教えてもらったことのあるシステムです。



マトリックス電子という福岡の企業が作っているオートロックなのですが、デモを見せてもらってウチにはこれで十分だと思い、採用することにしました。

実は、このシステムにはスマホが1台組み込まれています。来訪者が部屋番号を押して呼び出しボタンを押すと、予め登録された入居者のスマホや固定電話宛に電話をかけるんです。

入居者が電話で応答すると来訪者と会話ができ、不審者でないことを確認したうえでスマホからトーン信号を送ると( ピッポッパッという音です )、エントランスが解錠されます。

また、カメラを内蔵している機種を選べばスマホに画像を飛ばして顔まで確認することができるスグレモノです。

入居者は予めお渡しするカードキーやタグキーをICカードリーダーにかざせばすぐに解錠できます(^^ )。ご興味を持たれた方は、詳しい情報をマトリックス電子のHPでご確認ください。

参照:マトリックス電子TeleOpenerのHP
https://mtrx.jp/products/xdp82x.html

■ 大幅なコストダウンに成功

このシステムの2大メリットは、携帯電話網を使うので各部屋との間に通線工事を行う必要がないこと、そして入居者のスマホや固定電話を利用するので上でご紹介した室内親機を新たに購入する必要がないことです。そのため、大幅に安い価格で導入することができます。



ちなみに今回のお見積もりは総額170万円でした。大手メーカーが680万円の見積でしたから約500万円ものコストダウンになります。

もっとも、このオートロックシステム内のスマホには電話料金がかかります。マトリックス電子から指示されてイオンモバイルで格安SIMカードを調達してきました。

通信量500MBプラン・10分間かけ放題オプション付きで毎月2,300円程度の出費です。この程度の出費であれば私は500万円のコストダウンを選びます( 笑 )

■ 予め「 防衛ライン 」を決める

話が前後しますが、こういうオートロックを後付けする場合、エントランスのどこの部分で外部者の侵入を食い止めるか。

いわば「 防衛ライン 」を大家さんが最初に考えておく必要があります。食い止める箇所の数や形状によって、必要になる工事内容が変わってくるからです。

うちの場合、エントランスまわりはこういう↓形状になっています。赤線のところが普通に考えた場合の「 防衛ライン 」です。合計5箇所を塞がないと不審者の侵入は防げません。



このうち非常階段は物理的に塞がないと自由に出入り出来てしまうので、防犯扉を新たに付けて塞ぎました。



この防犯扉は、内部からは鍵を使わずに開けられ、外部からは鍵がないと開けられない・・・いわゆるホテル錠を付けてもらいました。( ※ちなみに扉の設置に関しては消防署に事前確認済みです )

残るは入口ドア3箇所ですが、ここをオートロックでコントロールする場合、オートロックの制御盤と集中ポストはエントランスホールの外部に取り付けることになります↓



この場合、入口ドア①~③には電気錠を取り付けることになります。制御盤からの解錠信号を受けて、モーターで開閉するデバイスです。


(美和ロックHPより)

オートロックを解錠したときに「 ウィ~ン、ガチャ 」と動くあれですが、この電気錠が3つもあることにひっかかりを感じていました。というのも、電気錠は可動部があるので長く使っていると故障する可能性が高いのです。

そこで、いろんなパターンをあれこれ考えた結果、ビジネスホテルのエレベーターと同じようにできないか? というアイディアが浮かびました。

最近のビジネスホテルではカードキーを使うところが多いですが、そのカードキーで認証しないとエレベーターが動作しないようにもなっていますよね。あれと同じように出来ないかな?と考えたのです。

もしそれが可能だった場合、構成は以下のようになります。



入口ドア①~③は開放したままで集中ポストもホール内に置くことができます。エレベーターの扉が「防衛線」になるので、そのすぐそばにオートロック制御盤を配置し、エレベーターの操作パネルを制御することになります。

「 そういうことが出来ますか? 」とマトリックス電子に問い合わせたところ、わずかな費用で実現できる・・・という回答が来たのもマトリックス電子を採用する決定打になりました。

具体的にはオートロック制御盤で認証を行い、1階EVの操作パネルに解錠信号を送ると▲ボタンが押せるようになるそうです( 日立ビルシステムさんにもこのような改造を承認していただきました )。このやり方であれば可動部がないので信頼性が高くなると思います。結局「 EV防衛線 」方式で発注しました。

これにより3箇所の電気錠が不要になり、その分さらにコストダウンが可能になりました。総工費は約300万円で、大手メーカーシステムより約600万円も安く上がります。簡易システムといっても考えようによっては使えますよね(^^ )

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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

ぺんたさん

ぺんたさんぺんた

不動産賃貸業
平日は物件のある山口県、週末は家族のいる福岡県在住
家族は妻と二人の息子

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □1966年
    福岡県北九州市で誕生
  • □1989年
    大阪大学人間科学部卒業
    東京の大手電機メーカーに就職
  • □2000年
    3才の長男に発達障害があることがわかり、妻と「この子が20才になるまでにファミリービジネスを作っておこう」と決める
  • □2005年
    義両親の介護のために長年勤めた会社を退社し、福岡へUターン
    退職金で生活しながら、義両親の介護と長男の療育の体制を整える
    そののち、福岡市内の球団に就職する
  • □2009年
    福岡の球団を辞め、東京に単身赴任
    数社の事業再生にかかわり全て業績改善を達成
  • □2014年
    不動産賃貸業で起業(サラリーマンを卒業)
  • □2015年
    物件のある山口県と家族の住む福岡県の二重生活を始める
不動産投資歴
  • □2000年
    『金持ち父さん・貧乏父さん』を読み、不動産投資に興味を持つ
  • □2004年
    千葉県九十九里に中古アパートを購入するも空室が続き、持ち出し状態に
  • □2007年
    千葉県九十九里のアパートを売却し、いったん撤退
  • □2008年~
    福岡の区分マンションを現金で購入
    福岡の中古戸建を現金で購入
    千葉県山武市の中古戸建を現金で購入
  • □2012年
    福岡県内に2LDK×8戸で1,150万円の中古木造アパートを購入(利回り29%)
  • □2013年
    岐阜県恵那市に3DK×16戸で4,000万円の中古RCマンションを購入(利回り24%)
  • □2014年
    不動産賃貸業で起業。サラリーマン時代の経験を活かし、空室の多い物件の再生に的を絞る。

    岐阜県恵那市に3DK×12戸の中古S造マンションを購入(利回り21%)

    三重県松阪市に1R×40戸で1億円の中古RCマンションを購入(利回り17%)
  • □2015年
    山口県宇部市に中古S造アパ―トを初購入(利回り27%)
    平日は宇部市、週末は福岡県という二重生活がスタート
  • □2016年~
    山口県宇部市で物件を買い進める
    恵那市の2棟のマンションと松阪市のマンションを売却し、山口県を主戦場と決める
  • □2022年
    山口県宇部市でドミナント化を進め、所有物件22棟・217室はすべて宇部市で購入。
    満室時の家賃年収は1億2,000万円程度。借入れは約8億円(返済比率38%)

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