こんにちは、ぺんたです。
数年前に印象的な出来事がありました。学生と社会人が半分ずつ入居されているアパートで、ある理由からテレビアンテナが機能しなくなりました。
ところが20人ほどの入居者からクレームは全くありませんでした。ところが別のアパートでネット無料サービスの通信障害が起こった時には「 いつ復旧するんだ? 」という問い合わせが次々にありました。
恐らく最初のアパートの入居者さんは地上波テレビをほとんど見ておらず、YouTubeなどの動画サービスを楽しむライフスタイルが主流なのでしょう。そういえばうちの長男が大学に入学したときテレビを買い与えようとしたら断られた経験があります。
テレビよりもネットなんですね(^_^;
そういう体験から賃貸物件のネット無料サービスは、テレビ放送や固定電話などよりもずっと重要な生活インフラになっていると考え、15棟の全所有物件にネット無料サービスを導入しています。
今回のコラムでは無数にあるネット無料サービス業者の中から、私がどんな視点でサービスを選定しているかをまとめてみたいと思います。
■ 1本の光ファイバーを全戸でシェアする方式が主流
大前提として最初に申しあげたいのは、ほとんどのネット無料サービスは、アパートに光ファイバーを1本だけ引き込みそれを全戸で共有するという「 シェア型 」であるということです。
光回線が1本だけですので、各戸あたりではそれなりのスピードしか出ませんが、動画視聴程度の使い方であれば充分だと判断しています。
これに対して各戸に1本づつ光ファイバーを引き込むサービスをNTTさんがやっておられます。西日本では「 フレッツ光全戸加入プラン 」という名称で展開されています。いわば「 光回線専有型 」ですね(^^ )
参照:NTT西日本
1戸に光が1回線ですから最高レベルの通信速度が実現できます。しかし、費用が高いうえプロバイダーはNTTと別に契約しなければならないなど運用上のデメリットもあり、まだ採用には至っておりません。
高家賃が取れる新築物件を手がけたときなどに使おうかな? と思っております。
■ 有線LANか無線LAN( Wi-Fi )か
ここから以降はすべて「 シェア型 」についての記述です。ネット無料サービスの黎明期にはパソコンとLANコネクターをケーブルで接続するサービスが多かったと思います。有線LAN接続ですね。
(LANケーブル:サンワサプライHPより)
当時は接続機器もパソコンぐらいのもので、無線LANが欲しければ入居者自身で無線ルーターを用意してください・・・という考え方だったと思います。
ところが現在はスマホやタブレット全盛期で、そのほとんどがWi-Fi接続を前提にしていますので、私は全てのアパートで無線LAN( Wi-Fi )接続できる環境にしています。( 有線LANのみのサービスは一棟もありません )
■ 無線LANアクセスポイントの屋外設置式を2棟に採用
無線LANを必須サービスとした場合、アクセスポイントの設置箇所を屋内( 居室内 )にするか、屋外にするかという2択が生まれます。
うちがネット無料サービスを提供している15棟のうち2棟だけは、屋外にアクセスポイントがあるタイプにしました。つまり室内のスマホなどから屋外の壁に取り付けてあるアクセスポイントにアクセスしてネットに接続するタイプです。
ビジネスホテルなどで、共用廊下の天井に無線LANのアンテナがついていることがありますよね。あれと基本的には同じサービスです。
屋外設置型の最大のメリットは、なんといっても宅内工事が不要なことです。満室であっても宅内に立ち入る必要がありません。外壁にこのようなボックス↓を取り付け、内部にアクセスポイントを設置すれば即サービス開始できます。
(宅内工事が不要になる分、工事費はちょっぴりお安くなるのももうひとつのメリットです)
デメリットとしては建物の構造や、居室面積によっては導入できない場合があることです。建物の外から電波を発信する関係から、RC構造だと壁が邪魔になって電波の透過性がよくありませんし、ファミリー物件だとアクセスポイントへの距離が遠くなって電波が弱くなってしまうんです。
また、ログインするためのパスワードは全入居者が同一のものを使うので、個別のパスワードよりはセキュリティが甘くなってしまう可能性も指摘されています。
そこでうちでは軽量鉄骨造と重量鉄骨造の単身物件2棟に限って、この屋外型を導入しました。工事を担当してくれたバッファローITソリューションズさんは見積段階でお部屋内の電界強度を測定してくれるので、導入したものの通信できないといったトラブルは未然に防ぐことができました。
参照:バッファローITソリューションズさん「アパートWi-Fi」
■ RCやファミリー物件には屋内設置式
残る13棟には各戸に専用のアクセスポイントを設置するサービスを導入しています。このような↓無線ルーターが各戸に設置されます。
宅内にアクセスポイントがあるので広いファミリー物件でも隅々まで電波が飛びますし、セキュリティも万全です。
この方式のデメリットは、各部屋の内部までLANケーブルを引き込む必要があるので費用が少しお高めになること、入居済みのお部屋に後から導入しようとすると入居者との日程調整が面倒になること・・・という2点だけがデメリットです。このタイプはイーブロードさんにいつもお願いしています。
参照:e-Broad光マンション
■ 技術力のない業者は除外??
賃貸住宅フェアなどでいろんなネット無料サービス業者さんと会話してきましたが、あの業界は契約を取ることだけに特化した営業会社さんがけっこう多い業界なのだと思います。
シロウトの私が投げかける質問に答えられず、マゴマゴする業者さんが案外多いんですよね(^_^;
あと、商談の際に「 こんなこともできるんですよ!」とアピールされたので具体的に見積を依頼すると、「 先日申しあげたXXは、やっぱり出来ませんでした・・・ 」と腰砕けになった業者さんが二社ありました。
これは社内のエンジニアリング体制がきちんとできていないことが原因だと思います。営業に特化した会社さんは社内に技術者がいないので実戦的な知識がどうしても浅薄になってしまうのに対し、技術者をきちんと抱えている会社さんはかなり突っ込んだ議論にも対応出来ます。
そういう意味から、技術者をちゃんと雇用しているかどうかを聞いてみるのも業者選定の判断には役立つと思います。その点、私がお付き合いしている2社さんは技術力に何の問題もありません。
■ できればこだわりたい2点
ちょっと難しい議論になりますが、私なりのこだわりが2点あります。
一般的に、無線LANで使う電波の周波数帯は2.4GHz帯と5GHz帯の2つがあります。このうち2.4GHz帯のほうが電波が届きやすい特性を持っているのでよく使われています。
しかし、この電波は電子レンジと干渉してしまうため、ネット動画をWi-Fi経由で見ている時に電子レンジを稼働させると動画が止まってしまいます。
ネット無料サービスのほとんどは2.4GHz帯だけを使っているので電子レンジを使うたびにイライラすることになります。ところがバッファローさんはさすが機器メーカーだけあって5GHz帯までサポートしています。その意味で電子レンジ対策はバッチリです(^^)v
もうひとつのこだわりはIPv6サービスへの対応です。これを細かく説明し出すと1回分のコラム分量になってしまうので割愛しますが、IPv6サービスをやっている接続業者さんがまだ少ないのでネット接続の混雑度が低いのです。
高速に乗るときの料金所を思い出してください。ETCという新サービスが世に出たころはETCレーンはガラガラで、通常レーンは通行券を取らないといけないので混み合いがちでしたね。
あれと同じで、IPv6サービスはまだ普及していないのでスピードが出やすいのです。IPv6サービスはイーブロードさんが対応しています(^^)v
(出典:ラジオライフ.comより)
■ まとめ
馴染みのない方には難しい話になったかもしれません。まとめると、私は以下の6つの視点を通して業者選定を行っている次第です(^^ )
1.光回線シェア型か専有型か
2.有線LANか無線LANか
3.アクセスポイントの設置が屋内か屋外か
4.技術力があるかないか
5.5GHz帯に対応するか
6.IPv6に対応するか
皆様の参考になれば幸いです。