こんにちは、ぺんたです。最近は新型コロナの影響で減っていますが、以前は懇親会などで出会った方から、「 日本は人口が減るので賃貸経営には未来がないのでは 」とか、「 いま参入して将来大丈夫なのかと心配 」といった声をよく聞きました。
間違いとは思いませんが、そういう大雑把な見方だけではなくもっと個別・具体的に考える必要がある・・・と思っています。今回は人口減に対する雑感をいくつか書いてみますね(^^ )
■ 30年前からの変化
まずは簡単な頭の体操から・・・。私が社会人になった不動産バブル期の人口ピラミッドはこんなに立派でした。
( 出典:国立社会保障・人口問題研究所HPより )
賃貸物件のターゲットなる年齢層を20歳から70歳と仮定すると、その年齢層が分厚くいた時代です。
次にちょうど現在、2020年の人口ピラミッドはかなりスリムになっています。
( 出典:国立社会保障・人口問題研究所HPより )
1990年よりもターゲット層の人口がかなり減っていることが視覚的にわかりますね。
冒頭の議論に戻ると「 人口が減ると不動産投資で成功できない 」という考えが明らかに間違いであるとわかります。だって2020年までの30年でターゲット人口は減っているのに、メガ大家さんはワンサカ出現しておられます。
要するに成功する要因は人口の増減だけでは説明できないのです。にもかかわらず人口減を気にして参入しなければ、将来の成功の芽を自ら摘んでしまうことになります。まあライバルが減ればシメシメなので声高には言いませんが・・・( 笑 )
ついでに2040年の人口ピラミッドも見ておきましょう。
( 出典:国立社会保障・人口問題研究所HPより )
2020年よりも更にターゲット人口が痩せていきます。青い矢印は人口の多い団塊ジュニア世代なのですが、その世代以降は一直線に人口が減って行きます。これを見て「もうやっていけない??」と思うか、「 頑張って生き残ろう! 」と思うかが分かれ道なのです。
もちろん、私は他の大家さんとの競争にずっと勝ち続けるつもりで経営しています。
■人口減のなかみ
いうまでもありませんが人口減というのは、お亡くなりになる方の数が新生児数よりも多くなる状態です。これを単純化して書くと次のようになります。
「 死亡者数 > 出生数 」
2019年の死亡者数は約138万人である一方、出生数は約87万人となっており差し引き約50万人の人口が減っている勘定になります。ところが総務省の発表によると、2019年の総人口減は27万6千人だそうです( 総務省:人口推計(2019年(令和元年)10月1日現在の結果の要約 )。
20万人以上も差があるのはなんだろうか? と思って調べてみると、外国からの新規居住者増が原因でした。
下のグラフはみずほ総研が総務省の統計データを元にグラフ化したものですが、日本人が50万人ほど減少するのに対し外国人居住者増がそれを部分的に打ち消していることがよくわかります。
( 出典:みずほ総研「 2019 年の外国人人口は過去最高 」より )
そう考えると、外国人居住者という新しいセグメントは成長しつつあり、恐らく今後も続きます。そういう市場環境の変化に対応せず、「 うちは外国人お断りだから 」と従来通りの経営を続けていると割を食うことになります。
大家さんは、外国人への対応を今後強化していく必要があると思います。
■「 少子化 」と「 多死化 」が同時進行
次に死亡者の年齢構成を見てみましょう。以下の図は人口動態調査の数字を私が加工しました。
( 総務省統計局e-stat 人口動態調査 )
元データはe-statという国のデータベースで誰でも参照できますのでご興味のある方は覗いてみてください。ご覧頂いてわかる通り、死亡者のほとんどを占めるのが赤い縦棒グラフで描いた70代以上のお年寄りです。( 2019年実績で約117万人 )
実はこの数字を2009年と比較してみると、30万人近く増加しています。10年前と比較して、それだけ70代以上の死亡者数が増えているということはつまり、「 少子化 」の裏で「 多死化 」が進行して人口が減っているのです。これってあまり知られていませんよね(^_^;
でも70歳以上の方となるともともと大家のターゲット層から外れているので、いくら人口が減っていても経営に大きなインパクトは与えませんよね。むしろ赤尾宣幸さんが取り組んでおられるような「 高齢者住宅 」に取り組むことで、従前よりもターゲット層を拡大できる可能性があるとも考えています。
参照:赤尾宜幸さんのコラム
■ 持ち家比率の低下で賃貸マーケットが拡大
ここまでの議論は総人口ベースのお話でしたが、その内訳は持ち家派も賃貸派も両方いらっしゃいますよね。
「 ある程度の年齢になったら、みんな持ち家を買うんじゃないか!? 」と思われる方もいると思いますが持ち家取得の流れはここ30年でどんどん変わって来ているんですよ。
年代別に持ち家比率の推移を取った政府統計( 総務省統計局「 住宅・土地統計調査 」 )では、ここ30年の間に10%から15%程度も持ち家比率が低下しています。
( 出典:大和ハウス 「 土地活用ラボfor Owner 」より )
この現象には「 サラリーマンの収入が減少した 」とか「 非正規雇用が増加した 」など、複雑な要因が働いていると思いますが、持ち家比率が低下したら賃貸比率は逆に増え、賃貸利用人口は増加します。総人口の減少を打ち消す方向に働くのです。
ですから今後も継続的に持ち家比率が下がっていったら、総人口の減少ほどは大家業は悪影響を受けないで済む・・・と考えられます。あ、ちなみに持ち家比率は地域間のバラつきが非常に大きいのでご自身のエリア特性をいちど確認して戦略を練ってくださいね。
■「 ポツンと一軒家 」と狭小物件
こんな山奥の中にポツンと建っている一軒家に誰が住んでいるんだろう? と実際に行ってみる番組が高視聴率をとっていますよね。
( 出典:テレビ朝日系「 ポツンと一軒家 」より )
私もよく見るのですが、あんな僻地に住んでおられる方は例外なく高齢者です。先祖代々の家を守りたいと頑張っておられる姿にはほっこりさせられるのですが、その一方で「 この方が亡くなった後は誰も住まないだろうな?? 」とも思います。
そう、人口減少は全域でまんべんなく起こるのではなく、不便な郊外から起こるのです。地方都市でも市の中心部はまだまだ人気がある一方で郊外の田園地帯や山間の集落などは、我々の想定以上に人口減少が進んでいます。要するに人口減はマダラ模様を描くのです。
また間取りや広さもどんどんニーズが変わっていくと思います。バブル期によく見られた「 15㎡ワンルーム・三点ユニットバス 」などがいい例ですが、いまでは見向きもされず、福岡市天神地区では9,800円の家賃で募集されていました。
人口が減っていくとより広い部屋が好まれ、狭小物件は淘汰されていくと思います。つまり今後は、郊外物件や狭小物件を避けるという、人口減時代の目利きが求められます。
■ まとめ
いかがでしたか? 人口が減っていくなかで、昭和のような左うちわの経営は出来なくなっているのは事実です。でもしっかりマーケットに順応していけば生き残れる確率は高い・・・というのが私の立場です。しっかり経営力を身につけて変化に対応しましょうね!(^^ )