おはようございます。ぺんたです。西日本の秋は台風が頻繁にやってきます。今年は9月の台風14号で3物件に被害が出ました。そんなに重たい被害ではありませんでしたが、なかなかバラエティに富んでいましたw
その中で強く印象に残ったのが、ある戸建物件のフェンスが支柱から脱落してしまった件です。( えっ! そんな些細なことが今回のネタなの?? )と思われたかもしれませんが、けっこう重要な問題をはらんでいます。
というのも、私の見立てと管理会社の見立てで工事代金に42倍の差が開いてしまったのです。なぜ、そんなことが起きたのか? その背景と結末を紹介します。
■ フェンスが脱落しただけ・・・
私は一棟ものだけではなく戸建物件も数軒所有しています。この時の台風ではうち1戸に被害が出ました。といってもごく軽微なもので、フェンスが支柱から脱落していました。
管理会社からの一報を受け、さっそく現場を見に行くと上↑のような状況でした。ふつうフェンスは台風の風だけではこのようにならないのですが、どうやら経年劣化で痛んでいたようです。
このフェンスの構造は支柱の下のほうにツメが出ていて、フェンス下部をツメにひっかけて上部の金具で固定する構造なのですが、下のツメが経年劣化で折れている箇所が多かったため、突風に揺られて脱落したようです。気付きませんでした。
しかし、ご覧の通りフェンスも支柱も特に壊れていなかったため、「 再度固定し直せば良いだけの簡単な修繕 」と判断して、管理会社さんに修繕手配をお願いしました。私の感覚ではせいぜい2~3万です。
数日後に見積もりが届きました。2~3万円だろうと思いながら金額を見てビックリ。なんと42万円です!! 腰を抜かしそうになりました。( ↓実際の見積もりです )
ぺんた「 ど、どうしてこんな金額になるんですか?? 」
管理会社「 業者さんによるとブロックを一段積み増して新しい支柱を立てる必要があるからだというご説明でした 」
ぺんた「 支柱はしっかりしているのに、なぜ新しい支柱にする必要があるんですか?? 」
管理会社「 業者さんがそう判断されたので、私にはそれ以上のことは・・・ 」
そうおっしゃるばかりで埒があきません。私も動転していたのでいったん終話しました。
■ 再見積を依頼するも
もしかしたら今回担当した業者さんがやたらと工事金額をツリ上げたがるところだったのかもしれない! と思って管理会社に前回とは別の業者さんの見積もりを出してもらいました。
すると、若干工事範囲を狭めるカタチで33万円。まだまだ高い・・・。ケタがひとつ違う。
2回見積もってもらって2回とも2ケタ万円だったことから、だんだん自分自身の見立てが間違っていたのかも・・・という気がしてきました。あぁどうしよう~(><)
■ 直接外構業者さんを呼ぶと♪
数日間自分を疑っていましたが、悩んでいても仕方ないので知り合いの外構業者さんを直接呼んで見てもらうことにしました。現場で私の見立ては何も伝えず、あえて社長の言葉を待ちました。
すると社長は5分ほど現場を見たうえで、「 こんなのすぐ直せるんで、1万円だけもらっていいですか? いや、もらいすぎかな~(笑)」とおっしゃいます。
やはり私の相場観は正しかった~♪ でもたった1万円では申し訳ないので、修繕範囲を少し広げさせてもらったうえで3万円をお支払いするとお伝えしました。
社長はホクホク顔で、「 ホントにそんなにもらっていいんですか?? 」と喜んでおられますし、私も40万円近くコストダウンできてホクホクです。翌日には修繕が終わっていました。
工法は私が思った通り、上を金具で吊って、下のフックが折れている部分はドリルビスで固定するというものでした。私が期待していたのはこれです、これ~!
■ 工事「 取次 」は管理会社の収益源のひとつ
経緯の説明はこれぐらいにして、ここから説明パートです。
管理会社さんというのはアパートに不具合が起こった時に業者さんと大家さんの間に立って、工事の「 取次 」業務を行います。工事業者さんの言い分と大家さんの言い分を調整してうまくマッチングさせる業務です。
調整がうまく行った場合、管理会社さんは業者さんの見積もり金額にいくらか乗っけて大家さんに請求する・・・というのが一般的な慣習で、乗っける金額は見積もりの10%から20%程度というのが常識的な線ではないでしょうか?
いま当社は7社の管理会社さんとお付き合いしていますが、うち6社さんは工事業者さんの見積書をそのまま転送してくれます。ということはその6社さんは何も乗っけていないことになります。
もしかすると私から見えないところで業者さんからバックマージンを受け取っているのかもしれませんが、だとしても10%とか20%程度であれば全く問題ないと考えています。
管理会社さんの信用を利用させていただいているうえ、当社の工数を削減できるのです。見積もり金額が安すぎる場合には「 ちゃんとマージン乗っけてます?」と確認することもあります。
■ 常に数倍高い提案額に「 黒 」判定
7社のうち残る1社さんが今回の管理会社さんです。ここは業者さんの見積もりを決して見せてくれず、わざわざ自社で打ち替えて提示してきます。そしてこの管理会社さんの提案は常に予想よりも数倍高いのです。
以前、本コラム第75話で詳しく書いたのですが、過去にも次のようなことがありました。
参照:高すぎる見積もり、長引く空室にどう対処する?「 管理会社さんを管理する 」という当たり前のこと
〇エントランスドアのフロアヒンジ交換
提案が18万円→直接手配して5万円に
〇雨漏りでふやけた開き戸4枚の修繕
提案が17万円→工法を変更するよう指示して8万円に
〇駐車場の砂利入れ
提案は12万円→私が自分でやって1万2千円に( 業者さんに直接発注してもたぶん2~3万 )
これらに加えて、今回のフェンス修繕で「 42倍の価格差 」が出たものですから、私の中では「 黒 」。すなわち意図的にやっている・・・と判定しました。
管理会社側は「 業者の言い分をそのままお伝えしてしまって申し訳ありません 」と工事業者さんに責任転嫁をしていましたが・・・。
しかし、今回フェンスの見積もりのために来てもらった業者さんに、「 XX社さんの見積もりがいつも私の相場観より数倍も高くて困っているんです 」と愚痴をこぼしたところ、こんなことを言われました。
「 うちも以前は付き合いがあったんですけど、うちが8万で出した見積もりを20万以上にフカして大家さんに請求しているのを知って、付き合いを断ちました 」
「 黒 」判定が的外れでないことの有力証言です。まさか取次手数料の範疇を超える請求はしないと信じたい気持ちだったのが、裏切られた気分でした。
■ 無知な大家は収益源
自戒を込めて申しあげると、修繕工事に関する大家さんの相場観は、単価がはっきりしているクロス工事にはやたらとシビアなのに、それ以外の工事にはかなり無頓着であることが多いと思います。
そのために、「 どうせ大家さんは無知なので見積もりをフカしても注文してくれるだろう 」と足許を見る管理会社が出て来てしまうのでしょう。
言うまでもありませんが、我々大家は収益事業を営んでいるわけで、いくらお付き合いのある管理会社さんだからといって、「 法外な金額の工事を発注する 」義務はありません。
こうした管理会社に食い物にされないためには、「 大家業を続けるなかでいろんな修繕工事の経験を積むこと 」が自己防衛の最短距離ですが、第81話でご紹介したように、管理会社を複数に分散することも非常に有効だと思います。
参照:管理会社は一社か複数社か!?「 複数に分散で入居が進む 」という私の仮説と経験談
同種工事なのに管理会社によって大きな価格差があれば目立ちますからね。
ほとんどの管理会社さんが真面目に取次業務をやってくれているわけで、こういうお行儀の悪いところとは付き合いを見直さなければならないと思案しているところです。