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コロナ禍でこれから起きること。管理会社から大家さんへのお願い

その道のプロ/伊部尚子さん_画像 その道のプロ/伊部尚子さん

2020/4/14 掲載

前回の続きです。
リーマンショック当時は家賃債務保証会社の利用も今ほど多くありませんでした。しかし、実はリーマンショックの影響で家賃滞納が増える前から、管理業界には大きな事件が起こっていました。

2008年9月に家賃債務保証会社最大手だったリプラスが、不動産市況の悪化が原因で倒産してしまったのです。倒産の数ヶ月前から管理会社への収納代行分の家賃支払いが遅れ、業界的に大きなニュースになっていました。

危機を感じた管理会社の中には、入居者へ連絡して口座を残高不足にしてもらい、家賃が引き落としされないようにした上で、管理会社の口座に直接振り込んでもらうなどの措置を行なっていたところもありました。

今思い出しても異常な状態で、管理会社からの電話を受けた入居者さんも驚いたことと思います。倒産後には連帯保証人が立てられる人には立ててもらいましたが、全員がそうできるわけもなく、結果として保証会社も保証人も無しの賃貸借契約が大量発生してしまいました。

その後、リーマンショックの影響で景気が悪化するにつれて家賃滞納が増え、それを原因として経営が悪化し、事業をやめる家賃債務保証会社が出てきました。家賃債務保証契約を別の会社が引き継ぐなどの話が多くなり、管理の現場は手続きに追われて大変でした。

大家さんの中で、「 家賃債務保証会社 」を利用されている契約がある場合は、その会社がどういう会社なのか、また契約の内容が代位弁済なのか収納代行なのかを調べて整理しておくと良いと思います。

2017年10月に国土交通省が創設した家賃債務保証業者の登録制度がありますので、参考として登録業者かどうかも調べておきましょう。

この制度では安定的に業務を運営するための財産的基礎( 純資産額1,000万円以上 )が登録要件になっており、毎事業年度ごとに要件の再確認がなされ、万一要件を満たさなくなった場合には登録が取消となります。

登録業者には、受領した家賃等について自己の財産と分別管理するルールも課されています。当時の経験があるので、家賃債務保証会社の登録制度が創設され、業務の適正化が図られることはとても良いことだと思っています。

ただ、この制度は家賃債務保証業務の適正化を図ることを目的としていますが、登録は任意であり、登録していても国が何かを保証するわけではありません。家賃債務保証会社を選定する際の判断材料として活用するための制度ですので、あくまでも情報の一つとしてご利用下さい。



■ 相次いだ外資系、金融系の企業の社宅解約

その他、リーマンショック後の影響で起こったこととしては、外資系、金融系の会社の社宅の解約があります。法人契約を解約し、個人契約に切り替えて従業員の給与に住宅手当を支給するという会社が増えました。

入居者さんにはそのまま個人契約に切り替えて住み続けてもらえるよう提案していましたが、個人負担が多くなることから、大半の方がより安い物件に引っ越して行かれました。

今回のコロナショックはウイルスが原因ですので、リーマンショックの時のように特定業種の方ではなく、幅広い業界で働く方に影響が出ています。

コロナウイルス感染拡大の影響で引っ越しを延期する方も多く、お部屋探しの問い合わせも減っている状況ですので、今退去が出てしまうと次の入居者さんを見つけるのは結構大変だと思います。

今の入居者さんから家賃について相談があった場合には、大家さんの状況が許すならば、半年などの期間限定で家賃値下げの覚書を交わすなどをしてでも、入居を継続して頂いた方が良いかもしれません。

サブリースの場合はそれらの判断は管理会社が行いますが、そうなると先々保証賃料の値下げ交渉があり得るということになります。

管理会社と大家さんで痛みを分け合う形になるので、そういった状況を大家さんも知っておくべきです。サブリースの場合は、管理会社の担当者が大家さんに状況を報告しやすい雰囲気を作って頂きたいと思います。

リーマンショックから数年は、退去があると値下げをして募集することが当たり前の状態でした。しかし、その後日本経済は持ち直し、当時私が大家さんに値下げ交渉したお部屋の家賃は、数年かけてちゃんとリーマンショック前の水準に戻りました。

今回のコロナショックについても、今は大変ですが落ち着いたら必ず日本経済は回復し、家賃が下がったとしてもいずれは回復するものと信じています。

また、2008年と言えば、日本でiPhoneが始めて発売された年です。当時は今のように誰もが情報発信したり、スピーディに情報を得られる状況ではなかったので、国の支援制度があってもなかなか情報を得られず、一人で悩んでいるうちに大変な状況になってしまった方が多かったと思います。

今であれば、「 コロナ 家賃 払えない 」などと検索すれば多くの情報が手に入るので、困る前に手が打てる人が多いはずです。



■ 管理会社から大家さんたちへのお願い

そして、最後に管理会社で働く社員を代表して、大家さんたちにお願いしたいことがあります。新型コロナウイルス感染拡大の防止策として在宅勤務が増えたことで、私たち管理会社への電話が増えています。

「 家で仕事をしているのに近隣の子供の声がうるさい 」などというクレームや、「 ずっと連絡していなかった室内設備の修繕をお願いしたい 」などという緊急性のない修繕依頼等のお電話も少なくありません。中には外出できないためかストレスの溜まっていそうなお客様もいらっしゃいます。

管理会社は暮らしを守る仕事をしています。当然ですが緊急性のあるトラブルには対応しなければならず、通常の勤務体制では働けない不自由な中で、管理の現場の社員は感染の危険にさらされながら対応に追われています。

今は平時とは違うということで、大家さんの皆さんにおかれましても、緊急性のないご依頼に関してはなるべく控えて下さると助かります。

そのことが、この間に緊急事態が起こっている別の大家さんを助けることに繋がります。それはこれを読んでいる大家さん自身の物件かもしれません。

住まいは生きるための基盤です。入居者のピンチを救うことが、巡り巡って大家さんの賃貸経営を救い、日本を救うことになると思います。私たち管理会社もしっかり頑張っていきます。

大家さんも入居者さんも管理する我々も一丸となって、みんなでこの難局を乗り越えましょう!



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プロフィール

■ 伊部尚子(いべなおこ)さん

morisan

株式会社ハウスメイトマネジメント
ソリューション事業本部 課長

■ 経歴

独立系の賃貸管理会社ハウスメイトグループで働くこと20年。

仲介営業、仲介店長、管理の現場担当、同社女性初の管理支店長、管理契約の提案営業を経て、現在は賃貸住宅をお持ちの大家さんのお悩みを解決する部署で働く。

金融機関・業界団体・大家さんの会等での講演多数。

大家さん・入居者さん・不動産会社の3方良しを目指して今日も現場で働いています。

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