こんにちは。大家で税理士の渡邊浩滋です。
いよいよ確定申告の季節がやってきました。
今回から3回にわたって、大家さんの確定申告について、知っておいてもらいたいことや知らないと損をすることを書いていきます。
初回は、「 お尋ねされない確定申告書の書き方 」です。
1.お尋ねとは? お尋ねには回答した方がよい?
平成25年7~8月頃に大家さんに対して、税務署から「 決算書の内容についてのお尋ね 」が大量に送られました。
これは確定申告書に添付する決算書の数字の内訳を問う文書照会で、例えば「 雑費の内訳は何か? 」という質問についての答えを書いて提出させるものです。
あくまでも税務調査ではなく、行政指導として行われました。
行政指導は、任意で行われるもので、かつ、行政指導に従わなくても罰則などはありません。ただし、任意だからといって、回答しなくてもよいというものでは、ありません。
お尋ねには絶対に回答してください!
お尋ねに回答しないとどうなるか・・・
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税務調査になります!
なぜそんなことがいえるかというと、私が実験台になって確かめたからです( 笑 )。
実家に送られてきたお尋ねに回答しなかったら、税務調査になりました。
※罰則がないといっても、税務調査が罰則とはいい切れないですし、たまたま税務調査を行うことになったといわれてしまえばそれまでです。
2.お尋ねされない確定申告書の作り方
私は、大家さん専門税理士として活動しているため、お尋ねに関する相談を数多く受けてきました。そこで、どのような方にお尋ねが送られてきているのか共通点が見えてきました。
○ 一つの科目について、100万円を超えるようなものがある場合
たとえば、「 その他の経費 」に全部計上して、100万円を超えてしまっているような方に送られてきている傾向にありました。
○ 特定の科目について金額が多い場合
「 旅費交通費 」で30万円を超えている方に送られてきたケースがありました。「 旅費交通費 」のほかに、「 接待交際費 」も注目されている傾向にありました(あくまでも私が経験した上での話ですが)
これを踏まえて、どうすれば「お尋ね」が来る可能性を下げられるか、私なりに考えてみました。
( 1 )一つの科目に金額が集中しないように、科目を分ける
決算書に印字されている科目として、租税公課、損害保険料、修繕費、借入金利子があります。それ以外の経費を、「 その他の経費 」に入れるのではなく、下記のような科目に分類してはいかがでしょうか。
・管理費:管理を委託している管理会社へ支払う費用など
・水道光熱費:賃貸物件の共用部分の電気代や水道代など
・通信費:賃貸物件のインターネット回線費用など
・消耗品費:10万円未満の設備代など
・広告宣伝費:入居募集にかかる広告費など
しかし、白色申告にしていると、そもそも決算書の欄が用意されていないため、雑費に入れるしかなくなります。
つまり、白色申告の方は、必然的に雑費が多くなってしまいます。
実際に、「 お尋ね 」が来たのは、白色申告の方が多かったように感じます。
白色の方は、是非、青色申告に変更しましょう。
青色申告の決算書は、空欄が5つあり、自分で科目を入れられるようになっています。
これまで白色で深刻されていた方は、今回の確定申告では青色にはできません。来年の申告で青色にするためには、3月15日まで( 平成26年は3月17日まで )に、「 青色申告承認申請 」を税務署に提出する必要があります。
○ 青色申告承認申請書( 国税庁HPより )
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/09.pdf
( 2 )科目を工夫する
勘定科目には、特に決まりはありません。
上記に科目の例を挙げましたが、自分で新たな科目を作っても問題ありません。
例えば、入居を決めてくれた不動産会社の担当者に、謝礼として商品券などを渡すケースもあると思いますが、その商品券代を「 接待交際費 」に入れてしまうと、接待交際費が大きく膨れ上がってしまいます。
そこで、謝礼については、「 接待交際費 」にいれず、新たに「 入居促進費 」という科目を作って、そこに計上してしまいます。そうすることで、「 接待交際費 」の金額を抑えることができます。
3.今後もお尋ねは増える?
昨年のお尋ねは、東京国税局を中心に行われました。今年はもっと全国的に広がると予想されます。
なぜならば、平成25年より税務調査の手続きが法整備化されたことにより、税務職員の事務負担が増えたため、税務調査の件数が減少( 昨年度比30%減少 )し、その代わりとして、「 お尋ね 」などの文書照会を通じて、自主的に見直してもらうという意図があちら側にあるからです。
その試験運用として昨年行われたのが、東京国税局だったと思われます。
お尋ねが来ないような確定申告を作成し、お尋ねが来ても大丈夫というような準備をしておきましょう。
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よろしければ参考になさってください。