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経費を否認されないための確定申告の作り方

その道のプロ/渡邊浩滋さん_画像

こんにちは。大家さん専門税理士の渡邊浩滋です。大家さんの確定申告について、知っておいてもらいたいことや知らないと損をすることを3回にわたって紹介します。

第1回目:「 お尋ね 」されない確定申告の書き方
第2回目:「 節税するための確定申告の作り方 」
第3回目は、「 経費を否認されないための確定申告の作り方 」です。

1.経費はどこまで入れられる?

大家さんからの質問で一番多いのが「 どこまで経費に入れられますか? 」
明らかに経費ではないでしょうといい切れるものはいいのですが、中には経費とならないとはいい切れないような微妙なものもあります。

例えば、プライベートでも使用するし、業務でも使用するような経費です。これを専門用語では「 家事関連費 」といいます。

「 家事関連費 」でよくあるのが、自宅の一部を事務所として、家賃などの一部を経費にするような場合です。これについて、平成25年10月17日東京地裁で納税者が敗訴した事案があります。

保険代理店事業を行っていた個人が、自宅兼事務所の家賃のうち、1階のリビングダイニング( 25u )と2階の洋間3室のうち1室( 9u )を事務所分として、これらの面積に相当する家賃を必要経費にしていたが、認められませんでした。

裁判所は、「 建物の構造上、住宅の一部を居住用部分と事業用部分とに明確に区分することができる状態にないことは明らかである 」ことから必要経費にはならないと判断しました。

この裁判によって、すべての自宅兼事務所が否認されることにはならないと思いますが、そもそも家事関連費については、必要経費にできるのでしょうか?
家事関連費が必要経費にできる要件は、以下のように規定されています。

< 白色申告の場合 >
@ 主たる部分が業務の遂行上必要であること、かつ、
A その部分が明らかにできること


< 青色申告の場合 >
取引の記録等に基づいて業務の遂行上必要であったことが明らかにされること

細かい解説は置いておいて、ここで重要なのは、青色申告でも白色申告でも、「 業務に必要という部分が明らか 」にされていないと経費にはできないということです。

具体的には、請求書や領収書、帳簿などで業務に必要かどうかを明確にできるかということです。

2.大家さんが知っておくべき裁決事例

これに関連した裁決事例で、不動産所得の必要経費が大部分認められなかった事案を紹介します。こちらは国税不服審判所で公開されていますので、ご興味ある方はこちらをご覧ください。

○ 不動産所得の必要経費が大部分認められなかった裁判事例
http://www.kfs.go.jp/service/JP/82/05/index.html

これは、不動産収入の約2倍から3倍にものぼる金額の必要経費を入れていたという極端な事例ですが、主に家事関連費について争われました。以下が判断ポイントです。

○ 車両費( 租税公課、損害保険料、減価償却費 )
不動産物件の取得のための現地調査について、いつ、どこの物件の調査を行ったかなどの具体的内容を証拠上明らかにしていない。
所有物件についても、不動産管理業者に管理を委託しており、物件の現況確認等のために車両を用いて現地を訪れなければならなかった事情は見当たらず、実際に現地確認等を行ったことがうかがえる証拠もない。

○ 住宅に係る経費( 家賃、水道光熱費 )
住宅のうち2部屋部分40uもの空間を、常時、事務所として使用して行うべき不動産所得に係る事務があったとは認められない。

○ インターネット利用料及び電話代
取引の記録等に基づき、業務上必要であった部分を明らかにする証拠がない。

○ その他経費( スーツ代、自転車代、コンタクトレンズ代など )
不動産賃貸業との関連性を示す証拠は何ら見当たらない。

○ 青色事業専従者給与
妻が行う電話の取次ぎや郵便物の発送及び受渡しは、社会通念上、夫婦の相互扶助の範囲内の行為あるいは日常生活の一環として行われている行為にすぎず、不動産事業に専ら従事していることを合理的に裏付ける証拠の提出はない。

このように、かなり厳しい判断がなされています。これでは、何も経費として認められないのでは・・・と心配に思うかもしれません。

ただし、特定の経費がダメだと判断されているわけではなく、不動産賃貸業との関連が客観的に示されていないからダメだということです。不動産賃貸業と関連性を示せれば、経費になると考えられますので、必要以上に不安になる必要はありません。

3.なぜ大家さんにお尋ねが来たのか?

第1回目のコラムで、昨年、大家さんがお尋ねで狙い撃ちされたと書きました。なぜ、他の事業ではなく、大家さんなのか?

不思議に思っていましたが、いろいろな方の相談を受けているうちに、ある事実に直面しました。明らかなプライベートな経費、架空の旅費を計上するなど、一部の不動産所得者の方が、悪質な申告をしているということです。

さすがに税務署も目に余ったのでしょう。このような悪質な方は、お尋ねされても当然だと思います。

しかし、お尋ねが大量に送付され、真っ当に申告している大家さんにまで影響を受けたことは残念でなりません。悪質な申告がなければ、大家さんが狙われることもなかったのではないでしょうか?

正当な経費は当然認められるべきですし、妥協する必要もありません。しかし、一人一人が適正な申告をすることが、不動産所得者全員の利益につながることも知っておいてもらいたいと思います。

最後になりますが、大家業は経営です。節税だけ考えていても上手くいきません。正当に経営し、正当に節税することが、賃貸経営を発展させることになります。
今回で短期連載は終わりです。お読みいただき、ありがとうございました。


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プロフィール

渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

ブログ「がけっぷち大家の挑戦」
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※メルマガでの税務相談は3月末まで無料

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務する

2011年12月、独立開業

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人節税大家さんの青色申告会」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演等、幅広い分野で活動中

■ 著書


「大家さんのための超簡単!青色申告」


「税理士が教える 節税Q&A」

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