• 完全無料の健美家の売却査定で、できるだけ速く・高く売却

×

  • 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集

42才で退職、43才でタイに移住したバンコク大家さんの「何もしない生き方」【前編】

大家列伝/バンコク大家さん_画像 大家列伝/バンコク大家さん 著者のプロフィールを見る

2019/7/4 掲載


今回の大家列伝は、42才で会社員を卒業し、43才でタイに移住したバンコク大家さんにお話をうかがいます。青年時代からバックパッカーで旅好きだったバンコク大家さんが、誰にも相談せず、一人でタイ移住を決めた理由とは? タイで生活しながら、現地の物件を買い、家賃収入を得るようになったきっかけって? 一時帰国中の日本にて、様々なお話をうかがいました。


■ 40才まで勤めて、「 もう、いいかな 」と思った

華子
自己紹介をお願いします。


バンコク大家さん
タイのバンコクに住んでいるバンコク大家といいます。私は日本に不動産を持っているわけではなく、タイに移住した後で分譲マンションの区分所有という形で不動産にかかわっています。本当に小規模なので、今日はお役に立てるお話ができるか心配です( 笑 )

著名な不動産投資家の方々とは比較になるようなスケールではありませんし、辿ってきた人生の道筋が思い切りアウトローなので、番外編のまた番外ということで、ご勘弁ください。

華子
いえいえ、タイへの移住やロングステイに興味のある方は多いので、ぜひお話をきかせてください。ところで、タイとはどんなご縁があったのでしょう?


バンコク大家さん
大学時代、アルバイトをやりまくってバックパッカーとして旅行に出かけるという生活を送っていました。エジプト、トルコ、ギリシャなど、たくさんの国を訪ねましたが、食事はアジアが一番おいしくて、タイは特に好きな国の一つでした。

大学卒業後は東京の会社で広告・広報・編集といった仕事に就いたのですが、社会人になってからも、年に2~3回は旅に出ていて、20代、30代はそれを楽しみに働いていた感じです。


1986年にビルマ旅行中に遭遇した結婚式の花嫁さん

華子
旅がお好きだったんですね。そこから移住に踏み切ったのはなぜですか?


バンコク大家さん
40才になったころ、「 もう、いいかな 」と思ったんです。自由な会社で、髭ボーボーで、スーツを着る必要もなく、成績を求められるわけでもなく、不満があったわけではないんです。3回か4回、辞表を出して、そのたびに引き留めてもらいました。

でも、もともと、組織的なことや集団行動が苦手で、子供時代も学校行事に夢中になれず、会社の飲み会に誘われても、「 毎日、会社で会っているじゃないですか 」と笑って逃げていました。

移住というと、「 すごい決断ですね 」といわれますが、そうではなくて、「 日本のカルチャーに適応できなかった 」という方が近いかもしれません。

華子
特別な理由があったわけではなくて、積み重ねの結果なのですね。


バンコク大家さん
それで、42才のとき、会社を辞めました。それからまた旅行熱が復活して、タイにも行くようになりました。移住のきっかけは、当時、外国人でも一生タイにいることが許される「 タイランドエリートカード 」という制度ができたことです。

メンバーフィーは当時約300万円で、毎日ゴルフとスパを楽しめるという触れ込みでした。そのカードを取得したとき、「 ああ、これで自由に外国で暮らせるかもしれない 」と思い、2006年、43才の時にタイに渡りました。

この制度は現在価格が2倍以上になり、かつ大幅に特典も減らされましたので、良いタイミングだったかもしれません。ただ向こうで何かをしようとか、具体的な計画はありませんでした。


バンコク市街

■ 音楽や本や映画を楽しむための時間が必要だった

華子
タイに渡った時はおひとりだったんですか?


バンコク大家さん
そうです。若い時分一度結婚したこともありますが、長続きしませんでした。私は音楽とか本とか映画がすごく好きで、毎日、そのための時間が必ず必要なんです。ある種の中毒かと思うんですが、どうしてもやめられませんでした。

音楽はソウルとかジャズとかロックとか、色々な曲を聴きます。日本に居た頃はWAVEとかタワーレコードとかに行くたびにCDを買っていました。誰かと暮らすより、そっちの方が自分には合っていたんですね。タイに行くことも一人で決めました。

華子
42才で会社を辞めてから1年間働いておらず、43才から住むタイでも働く予定はないわけですよね。資金はどうされたんでしょうか?


バンコク大家さん
都内のマンションに住んでいたのですが、タイに行く前にそれを売却して現金化しました。大量にあった本やCDも処分しました。そのお金を当面の生活費にしようと思ったんです。

書籍や各種音源、かなり持っていましたんで、業者さんに引き取りにきてもらったり、ショップに袋抱えて持ち込んだり。そういえばLPレコードの買い取り額だけで、随分タイでの生活費になりましたね( 笑 )その先のことは考えていません。無鉄砲なんです。

華子
タイの暮らしにはすぐ慣れましたか?


バンコク大家さん
はい、バックパッカー時代にも1~2カ月単位で暮らしていましたから。最初、タイ人がオーナーの分譲マンションの賃貸物件に住みました。バンコク市内で、広さは30平米くらい、家賃は2万5千円でした。外国人の住む部屋としては安い方です。

それからは毎日、街歩きをしたり、音楽を聴いたり、映画を観たり、本を読んだりという生活です。バンコクは日本の商社マンの駐在員が多くって、彼らが読み終わった本をドサッと置いていくので、古本屋にいくと本はいくらでも手に入ります。

タイにはいくつも日本人コミュニティがありますが、私は大人数の集まりとかが苦手なので、タイでは普段、日本語をまったく話しません。気の合うタイ人や外国人の友人は勿論居ますけれど。

華子
タイ語は勉強されたのですか?


バンコク大家さん
いいえ( 苦笑 )。タイは英語が通じる場面が多いですから、大体それで済んでしまうんです。必要に応じてタイ語も使っていく感じでしょうか。


バンコクの賃貸アパート。40平米で家賃は4万円ほど

■ タイで区分マンションを購入して大家になる

華子
そんなバンコク大家さんが、タイで不動産を買ったのはなぜですか?


バンコク大家さん
やることがないのでマンションの管理室のスタッフの人とよく話をしていたんですが、ひっきりなしに部屋を見学する人が来るんですよ。理由を尋ねると、「 部屋を借りたい人が非常に多い 」ことがわかりました。

それで、こんなに需要があるなら買ってみよう思ったんです。タイでは外国人は土地は買えませんが、区分マンションを買うのは非常に簡単です。それで、同じ建物内で売りに出た30平米で300万円( 約90万バーツ )の部屋を買ってみました。

華子
それで大家さんになったのですね。


バンコク大家さん
それが、買ったはいいものの、入居者を募集する方法がわからなくて困りました。タイでは売買も賃貸も、個人間で直接契約を結ぶケースが多いんです。

仲介業者もありますが、頼むとお金がかかるので、見よう見まねで私も日本人向けのフリーペーパーやスーパーの掲示板で募集してみました。するとすぐに、9,000バーツで借り手が決まりました。

借主は日本から来たロングステイ希望の方で、利回りはネットで10%以上になりました。これがまあまあうまくいったので、その後も区分をロケーションや物件を変えて5室くらい買いました。

タイでは外国人はローンが組めないので、現金買いです。その後も、タイに日本料理屋を開きにきた方とか、タイ語の勉強に来た方とか、色々な方に部屋を貸しました。



華子
日本人以外の入居者さんもいましたか?


バンコク大家さん
はい。海外の方は個人の違いだけでなく、宗教の違いもあって、驚くことも多かったです。自主管理でしたが、中にはウソをついて敷金の返還をごねる人や、やたらと排水をつまらす人、いつの間にか複数で住んでいる人などもいて、この辺は日本で大家業やられている方以上に、柔軟に取り組む必要があるかもです。

タイ人のテナントさんならタイ語で、外国人とは英語でやりあわなくてはいけませんし。

華子
物件は今も所有されているのですか?


バンコク大家さん
売ったり買ったりして、今は自分が住む部屋以外は売却してしまいました。安い築古物件が多かったので、長く持つつもりはなかったんです。4~5年所有して、だいたい買った時と同じ値段か少し高い程度で売れたので、インカム分が利益になりました。

■ 日本で心を病んだ人も、タイに来れば回復すると思う

華子
家賃が入るとはいえ、貯金が減っていく生活は怖くなかったですか?


バンコク大家さん
普通の人は怖いんでしょうね。でも、私は平気なんですよ。バックパッカーをしていたのも、何が起きるかわからないのが面白かったからです。ただ、他の人にもこういう生き方をすすめるつもりはありません、というか真似しちゃいけません( 笑 )。まあ、する人はそもそも居ないでしょうけれど。

それに、タイでは地元の人と同じレストランに行けば、日本の3分の1から4分の1の価格ですみます。タクシーも100円からです。お酒も安く飲めます。きれいなビアホールみたいな場所がたくさんあって、生バンドもいて楽しいんです。


バンコクで一般的なお惣菜。二食分で約250円

華子
一人で何もしない生活の楽しさが、正直、イメージできません…。つい生産性等を考えてしまいます。資本主義社会に洗脳されているのかもしれない、と今、気づきました。


バンコク大家さん
いえいえ、私が変人なだけです。親も私がなぜタイに住むのか理解できず、私が同性愛者だと信じることにしたようです( 笑 )。バラエティー系の海外情報番組とかテレビで見たんでしょうかね。

確かにそういう方、多いので。説明するのも面倒なので、特に否定していません。あっ、私は違いますよ、念のため。

華子
理屈ではなく、感性の問題なのでしょうね。


バンコク大家さん
そうかもしれませんね。ちょっと話は変わりますが、日本では今も年間2万人くらいが自殺しています。行方不明者や生き残った人はカウントされないので、実質はその数倍でしょう。

彼らは心を病んで命を絶ちますが、私はそういう人がタイにくればほとんど回復すると思っています。タイの人はおおらかでプラス思考です。気候や街の風景にも癒しの効果があります。年間に4千万人近く訪れる観光客も、タイに癒されに来るんだと思います。

タイは人目を気にせず、生きられる場所です。前にタイに来られた50代の知人の日本人男性が、海辺でひざをついて、「 くそー! もっと早くタイに来るべきだった! 」と何度も砂浜にこぶしを振り下ろしていました。日本で不動産を含め商売で大成功した方でしたが、今でも脳裏に焼き付いています。




華子の編集後記
日焼けした肌から東南アジアの空気を感じるバンコク大家さんですが、メールでのやりとりや取材時の対応は非常にきっちり、それでいて柔らかく、「 もともとはできる会社員だったのだろうな 」と感じました。「 心を病んだ日本人もタイに来たら回復すると思う 」という発言には、考えさせられるものがあります。明日の後編では、富裕層がタイを移住先に選ぶ理由や、供給過剰のタイ不動産について伺います。お楽しみに。
無料会員登録

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

アクセスランキング

  • 今日
  • 週間
  • 月間

プロフィール

■ バンコク大家さん

bankokusan

タイ・バンコク在住
「タイ不動産生活ガイド」運営者

サイト:「タイ不動産生活ガイド」
※サイト内での名前は「カルナ―音山」
ブログ:バンコクマインド

■ 主な経歴

□1962年

神奈川県で生まれる

高校在学中に初の海外旅行でケニアとインドへ。
以後、海外への関心が高まる。

大学卒業後、東京の企業に就職。
出版・広報・広告等の事業を担当。
仕事やプライベートで多くの国々を訪れる。


□2005年(42才)

会社を辞める

□2006年(43才)

外国人でもタイに永住できるタイランドエリートカードを取得し、タイへ移住

タイ不動産に将来性を感じ、コンドミニアムの購入や売却、賃貸などを試行錯誤しながら実際に経験、その過程でタイのディベロッパーやタイ人オーナーなどに多くの知己を得る

プライベートの趣味は音楽鑑賞でジャンルはジャズ、ソウル、ロック、ブロードウェイのミュージカルナンバー、タイポップスなど幅広い。

バンコクの自室にはBrian Wilson, Burt Bacharach, Wayne Shorter, Doopees, Niece などお気に入りのディスクが並んでいる

■ 著書

book1
はじめてのタイ不動産投資

book2
MOOKワイワイタイランド『タイ不動産特集』を全面監修

■ タイで暮らして良かったことベスト3

□第1位、人の優しさ

タイの人は基本、自分は自分、人は人。ですので外国人にも寛容です。それが居心地の良さに繋がっているのでしょう。電車や街なかで笑顔に出くわす確率がとても高い。

言葉の壁は多少ありますが、タイの人との会話って楽しいですよ。ユーモア好きでジョーク連発です。「なかなか日本語が上手いね、君は。どこで習ったの?」なんていつもからかわれています。

□第2位、食の豊富さ

日本でもタイ料理、人気がかなりあると思いますが何といっても本場で食べるのが一番です。スパイシーな味付けが好きな自分には最高としか言いようがありません。

日本食のチョイスも豊富でイタリアンや中華の名店も多いので、まさに食天国です。最近はお洒落なカフェやバーもいっぱいありますので女性にもお勧めです。

□第3位、住居の快適さ

購入でも賃貸でも、外国人だから手続きが難しいということがありません。共用施設も充実しているし、個性のある建物が多いので物件比較だけでも楽しい。過去何百件と実地に足を運んだかと思います。

自分が今住んでいるのは10年前に購入した築古コンドミニアムですが、居心地が良くて大変気に入ってます。外出していても、早く部屋に帰りたくなったりしますから。

誰かが待っているというわけでもないのですが、「音楽」と「本」と「映画」という付き合いの長い3人の素敵な彼女が居ますので。

ページの
トップへ