今回の大家列伝は、横浜在住の専業大家、大家のプーさんにお話を伺います。32才で家賃年収1,500万円、しかも借入は無担保の1,000万円のみというプーさんはなぜ、関東圏で平均利回り25%という割安物件を購入できたのか?
学生時代から「 好きな事だけやって暮らしたい 」「 やりたくないことをやらずに生きていたい 」と思っていたプーさんが、その願いを叶えるために実践してきたこととは? 前編の今日は格安物件の買い方、直し方、埋め方を中心にうかがいます。
■ 大家を目指した理由は「 好きな事だけやって暮らしたい 」から
華子
自己紹介をお願いします。
大家のプーさん
大家のプーさんといいます。週休7日のプー太郎のような生活なので、この名前を名乗っています( 笑 )。32才の専業大家で、家賃年収は約1,500万円。横浜の自宅から車で2時間以内のエリアに高利回りの中古物件を購入し、運営しています。平均利回りは25%以上。借金は公庫の無担保枠の1,000万円のみです。
華子
大家になる前は何をされていたのでしょう?
大家のプーさん
小学校5年生の時に捨ててあったギターを譲ってもらったのを機に楽器を始め、中学生の頃からライブ活動をしていました。高校からはベースにはまり、プロを目指していた時期もあります。でも、トッププロとして活躍する先輩の話を聞き、「 やりたくないこともやる必要がある仕事なんだ 」と思い、大学卒業後は金融機関に就職しました。
あまり堂々と言うことでもないのですが、昔から「 好きな事だけやって暮らしたい 」「 やりたくないことはやらずに生きていきたい 」と思っていたんです。そのためには効率良くお金を稼ぐことが重要だと感じ、金融機関でお金について学ぼうと思いました。
華子
徹底していますね。
大家のプーさん
金融機関には3年勤めました。1年目は固定給で年収400万円弱でしたが、途中で交渉して歩合給に変えてもらうとどんどん増えました。ただ、当時はとにかく働きたくなかったので、それなら不動産投資がいいと思い、25才の時に収益物件を扱う不動産会社に転職したんです。
華子
不動産会社に入ってから大家業を知ったのではなく、大家業を学ぶために不動産会社に入ったのですか。
大家のプーさん
そうです。新人でも色々な経験をさせてもらえる小規模の会社で、様々なジャンルの収益物件を扱うところを選びました。ここで収益物件の買い方がわかったので、自分でも物件を買い始めました。そして27才終盤の時に不動産会社を起業し、31才でそれも辞めて専業大家になりました。
■ エースは2棟で1000万円の利回り80%アパート
華子
家賃年収は1,500万円弱で、借金は無担保の1,000万円のみということですが、どんな物件をお持ちなのでしょう?
大家のプーさん
不動産投資を始めた当初は、一都三県でそこそこの利回りの物件を中期的に保有し、売却して入れ替えていくというやり方でした。でも去年、加藤ひろゆきさんの本を読んで衝撃を受け、とにかく安く買うというやり方にシフトしました。

華子
そうなんですね。
大家のプーさん
今は長期で持つものと短期で持つものの2パターンの物件を買っています。長期保有用に持っているのは、茨城県のアパート4棟と戸建て3戸。エースは半年前に買った2棟一括で1,000万円のアパ―トです。
1Kと2DKのミックスの間取りで戸数は20あり、満室利回りは80%です。購入時は入居率が半分で利回り40%でしたが、50万程かけてリフォームして、今は60%くらいまで上がりました。1975年築ですが、古いのは気にしません。
この他に、2DK×6戸で1,000万円の利回り25%のアパートも活躍してくれています。他にも10万円で2戸の戸建てなど、実質利回りで50%を超えるものが複数あります。
華子
茨城県の物件が多いんですね。
大家のプーさん
はい。利回りの高いものを探すと、北関東の物件に辿り着きました(笑)。
華子
長期間保有しない前提の物件にはどんなものがありますか?
大家のプーさん
神奈川県内の区分マンション、千葉県内の一戸建てと土地、茨城県内の一棟マンションなどで、すべて利回りは25%以下です。それでも15%以上はありますが。これらは3年以内に売却する予定です。
■ 安い物件を買える理由とリフォーム、入居付けのコツ
華子
どうしてそんなに高利回りの物件を買えるのでしょう?
大家のプーさん
情報をもらったらすぐに見に行って、買い付けを入れています。確実に抑えるために、融資特約はつけません。初心者の方にはおすすめしませんが、ネットで物件情報を見つけてすぐにグーグルで調査して、問題なければ電話で買付を入れることもあります。
あとは、仲介業者の方に「 面倒なことを言わない客 」「 安ければ買う客 」と認識してもらうことです。僕は不動産投資は仕入れが9割だと思っているので、いい情報をくれる人にはそれなりの謝礼も渡しています。指値も入れますが、仲介業者に失礼のないよう気を付けています。
華子
高利回り物件は古くて空室が多いものが大半と思います。リフォームはどうされているのでしょう?
大家のプーさん
人が住めればいいというレベルで、最低限。クリーニングもせず、「このままでよければ借りてください」ということもあります。それでも家賃次第で借りたいという人は意外といるものです。
修繕が必要な場合は、業務委託をしている多能工さんにお願いしています。物件が遠方ということもあり、DIYはしません。この方には物件を一緒に見に行ってもらい、その場で見積もりを出してもらって、価格交渉の根拠にすることもあります。
リフォーム会社に発注することはないですね。コストを落とす意味でも、小回りを利かせる意味でも、職人さんと直接やりとりする方がメリットが大きいからです。僕が地方のボロ物件を買えるのは、こうしたチームの皆さんの協力があるからです。
華子
入居付けについてはどうですか?
大家のプーさん
仲介業者さんとの連携がポイントだと思います。僕は自分でチラシをまいたり空室案内をしたりしないので、埋まる条件を仲介業者さんと相談して、彼らが案内したくなる仕組みを作っています。ジモティも使っていますが、この辺りは今も試行錯誤というのが正直なところです。
■ 借金が少ないのは高利回り物件を買い進めた結果
華子
地方の高利回り物件は資産価値が低いことが多く、出口戦略が難しいと敬遠する投資家もいます。
大家のプーさん
利回りが高ければ投資額は数年で回収でき、すぐにプラスになるのでそこは割り切っています。それに、利回りが高いということは、売ればキャピタルゲインもついてくるということ。地方でも入居率が高くて一定の利回りがあれば売れますよ。
華子
家賃年収1,500万円弱に対して、借金が公庫の無担保枠の1,000万円のみというのは、かなり少ないと感じます。自己資金はどのくらいあったのでしょうか。
大家のプーさん
1,500万円弱の家賃を生むために使った現金は2,200万円です。不動産会社を経営している間に貯めました。別に借金が嫌いというわけではなく、高利回り物件を買おうとすると、融資付けを待っていられないので、借金の額が増えないというのが理由です。
今は積極的には探していませんが、将来的には土地を買って新築物件を建てることも考えています。土地からの新築はタッチの差で買付を争うものではないので、その時は融資を使って購入するつもりです。でも、それは年をとってからもできるので、今は高利回りを追いかけたいですね。
華子の編集後記
多くの人が憧れたことがある「 好きな事だけやって生きていきたい 」を自分の力で実現したプーさん。穏やかな口調から想像できない行動力と良い意味での頑固さに驚くばかりでした。明日の後編では不動産業者時代にプーさんが出会い、今の生き方にも影響を与えたという不動産で失敗して亡くなったサラリーマンの話等をお届けします。