今回の大家列伝は、海外駐在歴の長い転勤族サラリーマン大家のまっちゃんさんです。7年間のドバイ駐在から帰国して不動産投資を開始、愛媛に転勤になってからも買い進めて行かれた遍歴を中心にお伺いしていきます。
■ 転勤先のドバイから帰国後、息子をインターに通わせるお金が足りなかった
華子
自己紹介をお願いします。
まっちゃんさん
初めまして。まっちゃんと申します。長崎出身の43歳、サラリーマン大家です。大学卒業後、東京の会社に就職しましたが、転勤のため現在愛媛県に単身赴任中です。
家族は横浜にいまして、妻と高2の息子と小6の娘がおります。規模としてはアパート4棟25室。満室想定で年間の売り上げが900万ぐらいです。現在愛媛大家の会に入っています。
愛媛に来る前は東京に2年いて、その前はドバイに7年間いました。海外駐在の経験が長かったので、それが大家を目指すための素地みたいなものになっていると思います。
ドバイ駐在時のまっちゃんさんファミリー(左)、ドバイといえばブルジュ・ハリファ!(右)
華子
不動産の勉強を始められたのはいつ頃からですか?
まっちゃんさん
2018年の4月にドバイから帰国したんですが、まず感じたのは日本の税金はすごく高いということでした。でもよく考えたら税金はおろか、お金のことを何も知らないなと気づいたんです。
それがスタートになった感じですね。それまでほとんど読書の習慣がなかったんですが、そこから勉強しなければと思って、いろいろな本を読み出しました。
子供の教育費についても思うところがありました。息子は小学1年生から6年生まで現地で7年間、幼稚園を含めずっとインターナショナルスクールに通っていたので、日本でも英語の学校に通わせたいと思ったんですが、調べたら会社の給料では全然足りないというのがわかって。
このままだと、子供の学費も出してあげられないうえに税金もたくさん払うような状態になるのかと思ったら、これは現状を変えないといけないなと思いました。
最初は株式投資関係の本などを読んで勉強していました。そのうち「 お金持ち 」というキーワードで本を色々探していたら、その中に『 金持ち父さん 貧乏父さん 』があって。それを読んで、もしかしたら不動産が1つのヒントかもしれないと思ったんです。
そこから不動産関係の本をもう手当たり次第に読みました。たくさん本を読んでいくうちに、書籍の後ろにあった勉強会や無料セミナーに行くようになり、不動産業者さんとも話すようになったという流れです。
2019年ぐらいで、ちょうどカボチャの馬車の問題があった直後でした。ドラスティックに融資状況が変わったからか、融資が出ると思っていたのに出なかったというのが何回かありましたね。幸か不幸か、それでちょっと高値掴みを免れたともいえます。
■ 資金が足りない!最初の1棟目は800万を売主からも借りてスタート
華子
最初の物件はどのようにして買われたのでしょうか?
まっちゃんさん
4月に帰国して、その年の7月ぐらいから物件探しを始めたんですが、1年ぐらいずっと物件が買えなかった時期が続きました。
勉強しながらいろんなセミナーに出ていると、ある業者さんが比較的安い物件があると紹介してくれたんです。それが2,200万、利回り15%くらいの横須賀の築30年の10室の木造アパートでした。
華子
最初の1棟に良さそうな価格帯ですね!
まっちゃんさん
ただ最初なので自分ではどうしていいかわからなくて、金融機関探しを自分でできなかったんですよ。それで業者さんに日本政策金融公庫さんに繋いでもらったんですが、公庫さんも当時厳しくなっていたので、融資がつけられませんでした。
あそこでしっかり自分でもいろんな銀行に足を運んでいれば、もうちょっと違う結果になったのかもしれず、悔やまれるんですが、結局、業者さんが「 ノンバンクなら1,000万の融資が出る 」という話を持って来てくれたんです。
華子
それで行くと結構頭金が大きくなりますね。
まっちゃんさん
そうなんです。売値が2,200万に対し、融資は1,000万で期間が30年、金利が3.95%です。自己資金が全然足りませんでした。その時に、売主さんが「 値引きはできないけど、お金なら貸せる 」と救いの手を差し伸べてくれたんです。
今はちょっと後悔しているんですけど、とにかく当時は融資も出ないし、全然買えない状況が続いていたので、800万貸していただくことにしました。こうして自己資金を500万ちょっと出して、なんとか1棟目を買うことができました。
華子
ちょっと変則的ですが、とにかくスタートを切れたという感じですね。
まっちゃんさん
そうですね。物件は横須賀の駅から歩いて20分弱で、坂の上にありました。買った時は満室でしたが、半年ぐらいで4部屋退去になってしまいまして、これはえらいことになったと思いました。
思えばそれまではずっと、消費者感覚だったんですよ。そこからモーガンさんのブログなど、空室対策系のことが書いてある記事や書籍などをいろいろ読んで、地場の仲介会社に営業回りをしました。
そもそも管理会社さんは東京の会社で、あまり動かず客付けもFAXを流すだけで済ましているような状況でした。そこで、営業回りと同時に新しい管理会社も探しました。そうしているうちに、まだ全然埋まらないのに、愛媛に転勤になることが決まりました。その時に、これはいわゆる「 投資 」じゃなくて、もう本当にしっかり時間と足とお金を使って取り組まなくてはいけない「 事業 」なんだというマインドに切り替わったんです。
結局、愛媛に行く直前に新しく見つけた管理会社さんのおかげで、満室にすることができました。
■ DIYにも挑戦。先に融資を自分で決めてから買いの交渉をした2棟目
華子
その後、どういう物件を買われたんでしょうか?
まっちゃんさん
2020年に、4世帯の築43年のアパートを800万で買いました。表面利回りは19.6%です。DIYが流行っていたので私もやりたいと思って、自分で表層リフォームができそうな部屋を買うというのが物件探しの1つの条件でした。
2棟目に購入した物件
華子
どのようにして見つけたのですか?
まっちゃんさん
元々ポータルサイトで、1,150万でずっと放置されていたんですよ。1回見に行きまして、4部屋中1部屋だけ空きがあるという、自分で直すのにちょうどいい物件でした。
この1部屋は全然メンテをしておらず、募集すらかけていない状況でした。これをリフォームして入居者さんを見つけたら結構面白そうだなと思ったんですが、1,150万では全然計算が合わなかったんです。
そこで、ずっと放置されている物件だから、いきなりポータルから消えることはないだろうと思って、売主さんや仲介さんには何も言わずに、先に銀行さんに融資の話をしに行ったんです。私は900万で買いたいと思っていたので、先に地銀さんに700万の融資を打診しました。
そうしたら、「 融資、いけそうです 」って話をもらったんです。ここで初めて仲介さんに、700万の融資内諾は頂いている事を伝え、800万の買い付けをいれました。
すると仲介さんも早く手放したかったのか、売主さんを説得し買い付けを通してくれて、800万で売っていただけました。その後、DIYでリフォームをして、今は満室で回っているっていう感じです。
まっちゃんさんがDIYでリフォームした部屋
■ 資料を取り寄せるときには、フリーフォーム欄に希望イメージを書き込むべし
華子
3棟目はどんな物件ですか?
まっちゃんさん
600万の中古アパートで5部屋中3部屋空きがある状態でした。買ってすぐに300万ぐらいかけて大規模修繕をやると、すぐに埋まりました。
場所が良かったのと、前回のDIYとは違って業者さんにお願いして外壁塗装や内装のリフォームしてもらう再生案件を一度やってみたくてそうしたんですが、それがうまくはまった感じです。表面利回りは30%ですが、大規模修繕を入れたので、実質20%ぐらいで回っています。

3棟目に購入した物件
華子
場所はどんなところだったんですか?
まっちゃんさん
2棟目もそうなんですが、わりと松山市の町なかです。大きな商業施設が近くにあるような場所なので、立地はすごくいいと思っています。
華子
どうやって探したのでしょう?
まっちゃんさん
2棟目と同じように、ポータルサイトで物件資料を取り寄せて買いました。資料請求の時に、「 資金はこれぐらいなのでこれぐらいの規模のアパートが欲しい 」とコメント欄に書いていたら、ある業者さんが資料取り寄せ物件とは別の物件を勧めてくれたんです。
すぐに見に行ったら、状態はイマイチですが、場所がすごく良かったのですぐに動きました。だから資料を取り寄せる時にフリーフォームの欄に要望等を書くことは、今でもやっています。何か良い繋がりがくるかもしれないと思って。
実は売主さんはここを潰して土地で売ろうとしていたそうです。それで最初は路線価の700万で土地売りされていました。僕が600万で指値をしたところ、「 壊すのに100万ぐらいだから、600万でもいい 」みたいな話になったようです。融資はある地銀さんで600万の購入に対して800万貸していただきました。
■ 自物件の裏の旗竿地物件を買って90坪の整形地が完成!
華子
4棟目はどんな物件ですか?
まっちゃんさん
4棟目は今年の5月に買ったんですが、実はさきほどの3棟目の隣に同じようなアパートがあって、それをどうしても欲しいと思ったのが購入のきっかけなんです。
まっちゃんさんの4棟目。外壁塗装のために足場を組んでいます
3棟目がすぐ満室になったんで、立地の強さはわかっていました。でも持ち主も分からなくて。3棟目を買う時にちょっと仲良くなった業者さんにお願いして、物上げみたいなことをしてもらいました。
私の3棟目が道路側で、この4棟目が旗竿で3棟目の裏にある感じです。合わせると90坪ぐらいになり、大きい整形地になるんです。結局、1,050万で買わせてもらいました。その後、大規模修繕を400万弱かけてやったので、諸費用も入れて1,500万ぐらい。実質利回りで12%くらいの仕上がりです。
今までの物件に比べると利回りは低いんですが、土地がくっついて価値が上がるので多少高くても持っていたいと思いました。融資は3棟目と同じところで、物件価格1,050万に対して、大規模修繕費も合わせて1,300万のオーバーローンで貸していただきました。とにかく立地がいいんですよ。
今トータルの借り入れが4,000万ぐらいです。だから本当に他の大きな大家さんに比べると、まだまだという感じです。
華子
4,000万円の借入で、900万の家賃収入を生んでいるのは、優秀では?
まっちゃんさん
ありがとうございます。ただ、トータルの返済比率が63%と高いので、そんなに潤沢にキャッシュができているわけじゃないんです。月のキャッシュフローは今20万ぐらいです。
今思うと、最初のスタートの時に、もう少し大きな物件を法人を立てて買うとか、そういう綺麗なスタートを切っていたら、だいぶ違ったんだろうなと思っています。
ここまでの物件は全部個人で買っているので、近いうちに法人を立てるのが、今の課題です。その後は最初の横須賀のアパートを売却して、次から法人で買っていくというのが、一応今後のプランです。
編集後記
最初の一棟目の融資付けを業者任せにしてしまったのが悔やまれる、とおっしゃるまっちゃんさんですが、その後は安くて高利回りな物件を買い進められており、順調そうですね。明日夕方公開の後編もお楽しみに!(担当:T)