昨日の前編に続き、富山市内を中心に新築アパートや新築戸建て等15棟69室を所有する波乗りニーノさんこと西野浩樹さんに登場いただきます。組合の書記長をしていた会社員時代に感じたサラリーマンへの違和感、お金がない人の共通点、セミリタイアしてみての感想と家族の反応、目標を達成するための秘訣等をうかがいました。
■ 心を病んだ人も多かったサラリーマン時代
華子
西野さんは現在、ファイナンシャルプランナー( 以下FP )として活動されているそうですが、きっかけは何ですか? 投資の勉強の一環でしょうか?
ニーノさん
FPになったきっかけは、今年の夏まで勤めていた会社で長く組合の書記長をしており、組合の求心力を高めるために企画したセミナーでお金の話の反応がよかったからです。
書記長の仕事のひとつに組合員の悩み相談があり、これまで、たくさんの人のお金の悩みに乗ってきました。FPとして身に着けた知識はその時にも役に立ちました。
華子
大変なお仕事ですね。
ニーノさん
普通の会社員の中にも、実は多重債務を抱えている人は多いんです。借金を抱えた当人は通常、頭の中がぐちゃぐちゃなので、それを紐解いて選択肢を示すようにしていました。ギャンブルで作った借金をどうしても返せず、自己破産する人もいました。
働きすぎでメンタルを病んでしまった人も多かったです。例えば、単身赴任の40代の男性が鬱病になり、「 会社が忙しい時に迷惑をかけて申し訳ない 」と深夜のファミレスで泣いたことがありました。そんな風に、マジメすぎて苦しくなる人を多く見てきました。
華子
悩んでいる人たちの共通点はありますか?
ニーノさん
多くの人が、住宅ローンの組み方を失敗していました。約2億円の生涯賃金の中で、住宅ローン、車、教育資金の占める割合が大きすぎると、生活が苦しいだけでなく、老後資金も不足して、将来が不安になります。鬱病になっても働くことを休めないのも、住宅ローンがあるから。借金やお金について、無知な人が本当に多かったですね。

■ 自分次第で別の生き方を選ぶこともできるのに…と思っていた
華子
借金はピンを向いた手榴弾というニーノさんの考えでいうなら、住宅ローンは35年間、大きな手榴弾を抱えて走っているのと同じですね。
ニーノさん
そうなんです。他に、自分の趣味や楽しみを持っていない人が多いのも原因だと思います。書記長として会社と交渉して、連休制度完全取得を促した時、組合員から「 連休になってもやることがないし、お金もないし、前後の仕事が大変になるから困る 」と苦情が殺到したのは驚きました。
家族と過ごす時間や自分の趣味に使って欲しかったのですが、それよりも会社が大事なんですよ。楽しみがないから、ストレスがどんどん蓄積してしまう。自分次第で別の生き方を選ぶこともできるのに…と彼らを見ていてよく思いました。
華子
なるほど。住宅や車にお金をかけすぎて、趣味にお金が回らないという方もいるのかもしれませんね。
ニーノさん
投資家の目線からすると、お金を生まない自宅にお金をかけるのはリスクなのですが、普通の人はそうではないんですよね。これは笑い話ですが、サンデー毎日倶楽部の仲間のYさんが3,000万円以上する豪邸を建てたんです。
普通は「 よかったね 」「 すごいね 」と言われるシーンなのに、その場が「 どうしてそんな立派な家を建てたの? 」という空気になったんです( 笑 )。それくらい、投資家と一般の人とはお金に対する考え方が違いますよね。ちなみに僕もマイホームは中古派です。
■ セミリタイア後の喜びは時間資産が増えたこと
華子
セミリタイアされてから半年ですが、感想はいかがですか?
ニーノさん
辞めたら暇かなと思ったんですが、全国の投資家仲間を訪問したり、セミナーの講師をしたり、新築アパートに関する相談に乗ったりして、意外と多忙です。今年はセミリタイアの先輩たちと一緒に、バンコクや北海道でトレーニングしてハワイのホノルルマラソンにも参加してきました。
大会の2日前にハワイで同室だった10年以上お世話になっている僕のメンターが他界したので、彼のゼッケンも付けて2人でゴールしました。僕の人生で忘れられない初フルマラソンになりました。

ハワイでマラソンの前に仲間たちと撮影した記念の一枚(メンターも一緒に)
話を戻すと、会社員時代は、仕事のあとで悩み相談で帰宅が深夜になることも多かったので、今は時間資産が増えたのが、とても嬉しいです。時間資産を使って人間関係資産や健康資産を増やせるのも良いですね。
華子
メンターの件ではおつらい思いをされましたね。セミリタイアについて、ご家族は反対しませんでしたか?
ニーノさん
妻からの反対はありませんでした。子供たちは最初、「 お父さん、仕事辞めちゃうの? 」と不安そうでしたが、辞めた後は一緒に遊びに行く機会が増えたので、今は喜んでいます。不安だったのは生活が変わる後のイメージができなかったからなんでしょうね。
去年、赤井誠さんや極東船長も参加していた北海道の合宿に参加したとき、船長が、「 家庭内B/Sを上げる 」ことの大切さを説いていました。お金でいえば「 純資産 」ですが、家族間でいうと「 信頼 」がこれに当たると思います。
自分で言うのもなんですが、僕が会社を辞めたとき、家族が理解してくれたのは、これまで、家族への信頼残高を積み上げてきたからだと思います。幸い、息子たちも元気に育ってくれています。上の子はピアノを本格的に習っていて、ヨーロッパ留学を希望しているんですよ。

自宅の庭の家庭菜園を育てるのも家族の楽しみのひとつ
■ 未来を明確に描く「 ゴールデンセッティングの法則 」
華子
それは楽しみですね。ニーノさんはとてもポジティブな印象ですが、何か日ごろから意識していることはありますか?
ニーノさん
不動産投資についてだけでなく、様々な面でメンターを持つようにしています。人の幸せにはお金以外に、健康、時間の使い方、人間関係等も深くかかわっています。僕は各分野のお手本になるような人から学びを乞い、自分の人生に生かすようにしています。
大きな声では言えませんが、不動産をやっている人の中には、お金はあっても人間的に偏っている人をよく見かけます。人として成熟するには、お金儲け以外の部分も学んでいくことが必要ではないでしょうか。ですから、私は人にも「 メンターは3人持つといいよ 」とすすめています。
華子
確かに、お金があっても時間の使い方や人間関係が苦手なら、幸せは感じにくいかもしれませんね。
ニーノさん
その他にも、目標を具体的に持つことも意識しています。「 ゴールデンセッティングの法則 」って知っていますか? エール大学の卒業生に、「 自分のゴール 」について調査したところ、明確にイメージして書き留めていた人はわずか3%だったんです。
20年後に追跡調査をしたところ、この年の卒業生の総資産額の9割は、この3%の学生に集中していました。また、彼らは結婚、仕事、健康状態でも高い満足度を感じていたそうです。
イチローや石川遼も子供の頃からとても具体的に成功像をイメージしていたのは有名な話です。特に初期の頃は目標設定がモチベーションを上げてくれます。
■ ふんどし王子さんや防人さんとジョイントセミナーを開催
華子
これからの目標を教えてください。
ニーノさん
家族で生活していくには、50室あれば十分です。ただ、同じ規模でも維持していくには組み換えが必要ですので、株でいうドルコスト平均法のように、年に1〜2棟は増やしていきたいと考えています。新築が好きなので、新築アパートを建てたい人のお手伝いをもできたらいいですね。

来年完成予定のアパート
他にも、興味があることにはどんどん挑戦していきたいです。そうそう、来年1月にふんどし王子と一緒に名古屋と大阪でセミナーをするんです。3月には福岡でのセミナーも予定しています。
1月13日大阪セミナーはまだお席があるので、健美家コラムの読者の皆さんも、よかったらいらしてください。詳細・申し込みはコチラからお願いします!( 笑 )⇒ふんどし王子&波乗りニーノのジョイントセミナー
華子
そういえば、ふんどし王子さんの著書に、「 ニーノさんのセミナーに行って人生が変わった 」という内容が書いてありましたね。この二人のセミナーとは相当、熱量が高そうです( 笑 )。これから不動産投資を始める人へメッセージをお願いします。
ニーノさん
先の見えない世の中で、人生の選択肢を一つしか持たないことはリスクだと思います。今の日本では、一定の年齢を超えると、転職や再就職は困難です。
いざというとき、自立できる道を持っていなければ、社畜になるしかありません。そんな時、会社を辞めても生きていけるカードを持っていることは、大きな武器になります。
僕は家賃収入はノアの箱舟のようなものだと思っています。新しい船でどこに進むかはその人の自由。セミリタイアをするかしないかは人それぞれですが、その船を準備しておくことは誰にとっても大切なことではないでしょうか。
写真撮影協力:横井賢一さん
場所協力:コワーキングスペースCAPSULE
華子の編集後記
どんな質問にも淀みなく答えてくれる西野さん。説得力があるのは、その言葉が数々の経験と膨大な思考時間から濾されて生まれたものだからなのでしょう。若い投資家たちに慕われるのも納得です。全国セミナーでも多くの人に影響を与えそうですね。西野さん、ありがとうございました。