今回の大家列伝は、30才で家賃年収900万円を稼ぐ富山の「 大日本☆ふんどし王子 」さんにお話をうかがいます。高卒・製造業という属性を最大限に生かし、24才の時からアパート、戸建て、区分マンションと様々な物件を買われているふんどし王子さんに、成功の秘訣などをうかがいました。
■ 15才で「 金持ち父さん・貧乏父さん 」と出会い24才で大家デビュー
華子
自己紹介をお願いします。
大日本☆ふんどし王子さん
富山在住のサラリーマン大家で、ふんどし王子といいます。1985年生まれの30才で、24才のときに不動産投資を始めました。所有物件は新築で建てた二世帯物件、中古アパート、ボロ戸建てなどで、家賃年収は約900万円。これまでに区分マンションやアパートの売却も経験しています。
華子
30才で不動産投資歴6年とは、ビックリです。不動産投資を始めたきっかけを教えてください。
大日本☆ふんどし王子さん
僕は5人兄弟の末っ子なんですが、中3のときに4才上の兄が持っていた『 金持ち父さん・貧乏父さん 』を読み、「 僕もお金持ちになろう 」と決めました。
この兄は高校時代にネットビジネスでサラリーマンの給料並の利益を得るなど、商売のセンスのある人。僕が借金して最初のアパートを買ったときも保証人になってくれました。
華子
中3ですか。早い目覚めですね。24才のときに最初の物件を買われていますが、お金はどうやって貯めたのですか?
大日本☆ふんどし王子さん
給料を貯めました。僕は勉強が好きではなかったので工業高校に進み、卒業後は地元にある大手自動車メーカーの系列会社に就職したんです。最初から手取りで22万〜23万円、ボーナスも2ヵ月以上出る恵まれた職場で、毎月10万円を天引きで貯金できました。
自宅から通っていたので、家賃や食費もかからず、3年で300万円が貯まりました。なぜこの会社の正社員になれたかというと、高校時代、誰もやる人がいない生徒会長の役をノリで引き受けたところ、校長がそれを評価して推薦してくれたから。
仕事は工場勤務のいわゆるブルーカラーで夜勤もありますが、金融機関からは優良企業と見てもらえます。残業や夜勤手当など働いた分、色々な手当てがつきますし、いい選択だったと思っています。
■ FXで300万円を失い不動産投資家を志す
華子
堅実ですね。小さな頃から貯金の好きな子どもでしたか?
大日本☆ふんどし王子さん
いえいえ。お年玉などお金が入ると釣り竿を買ったりして、すぐに使ってしまうタイプでした。ただ、祖父がものすごい働き者で、「 はたらけ、はたらけ 」と言いながら、朝は新聞配達、昼は土木作業、夕方からは畑仕事と、一日中身体を動かしている人でした。
僕たち兄弟も小学校の低学年の頃から新聞配達の手伝いをしていて、5年生くらいからは別に牛乳やヤクルトを一人で配ることもありました。そういう意味で、稼ぐことの大変さを知っている子どもだったと思いますし、今でも身体を動かして働くことが苦になりません。
ちなみに祖父は自分が新聞配達をして稼いだ250万円を全部、長男名義の口座に遺してくれました。祖父が亡くなったときに、兄弟5人で50万円ずつ分け合い、そのお金も不動産投資のために使わせてもらいました。
華子
いいお話ですね。ところで、『 金持ち父さん・貧乏父さん 』には不動産投資以外に株などもすすめていますが、そちらには挑戦しなかったのですか?
大日本☆ふんどし王子さん
実は、最初に挑戦したのは株なんです。最初は数十万儲けましたがトータルでは、お金を減らすばかりだったので、今は現物株を少しと、持ち株会、優待狙いの物しかやっていません。あと、FXでは2008年のサブプライムショックで300万円を溶かしました・・・。
FXでは、一度決めたルールを貫き通せないダメさだったり、損を取り戻すまで手を引けない欲深さだったり、自分の中の弱い部分をイヤというほど見せられました。仕事中も値動きが気になって携帯電話を見たりして、生活にも悪い影響が出てしまい、自分には向かないと思いました。
華子
300万円とは大金ですね。失った時はどんな気持ちでしたか?
大日本☆ふんどし王子さん
放心状態です。それでFXをやめて、次は不動産投資をやろうと決めました。
■ 最初の物件は住宅ローンで建てた二世帯住宅
華子
最初に買った物件について教えてください。
大日本☆ふんどし王子さん
住宅ローンで割安な土地を1,000万円で買い、そこに1,500万円で二世帯住宅を建てました。その頃入会した「 サンデー毎日倶楽部 」の主宰者の吉川英一さんから、「 2世帯住宅を建てて1つを貸せば? 」と言われたのがきっかけです。
この物件にはしばらく自分で住み、今は両方を貸し出しています。その際に、住宅ローンのままだと問題があると思い、別の金融機関に借り換えをしました。家賃は両方合わせて14万円です。利回りは低いのですがCFも6万程度出てますし、場所がその地域では一等地なので長期保有を考えています。

華子
順調な滑り出しですね。次はどんな物件を買ったのですか?
大日本☆ふんどし王子さん
一棟目は利回りが低くて物足りなかったので、次は高利回りの中古物件を狙うことにしました。当時、セミナーに出まくっていて、そこで知り合った友人が、「 1,700万円の物件に1,200万円で指値をして通った物件があるんだけど、自分は別の物件を買うことになったから、買わない? 」とアシストパスをくれたんです。
話を聞くと築15年程なのに、1DK×6戸で利回り21%という好条件。そこで、公庫でリフォームローンと絡めてオーバーローンを引き、無事に購入することができました。売主さんは年配のお金持ちの方で、「 若い人にがんばってほしいから 」と一部を塗装して引き渡してくれました。ありがたかったです。

華子
ラッキーでしたね。すぐに満室になりましたか?
大日本☆ふんどし王子さん
購入時は6分の4でしたが、空室に住みながらDIYでキレイにしたところ、無事に埋まりました。それと、この物件は最初に公庫で借りましたが、10年しか引けなかったので、満室になった後でアパート近くの地銀で借り換えをして、CFを改善しています。
華子
どんなDIYをしたんですか?
大日本☆ふんどし王子さん
キッチン扉にカッティングシートを張ったり、便座をウオシュレットに交換したり、蛇口をシングル水栓レバーに変更したりしました。素人でも頑張ればなんとかなるちょっとしたことです。
■ 区分マンションの売買でキャピタルゲインを得る
華子
サラリーマン大家をしながら自主管理だったんですね。
大日本☆ふんどし王子さん
加藤ひろゆきさんや、黄金ガールさんが物件の自主管理をしているのに、若いやつがしなくてどうするという気持ちと、色々と経験してみようと思いから、気合いで始めてみたらなんとかなったという感じです。
それとこの頃、『 金持ち父さん・貧乏父さん 』をすすめてくれた兄と100万円ずつお金を出し合って法人を作り、実績を作るために現金買いの区分マンションの賃貸から始めました。結果的にすべて売却しましたが、100万円台の区分を3つ買って、それぞれ90万円、50万円、80万円の売却益を得られました。

これは、『 金持ち兄さんの王道-専門家をカモにする人・される人- 』という本の影響が大きかったです。この本からは車の売買を例に、「 底値で買っておけば損はしない 」「 人の気づかない価値を見つける 」ことなどを学びました。
ちなみに、最初に購入した区分マンションでは給湯設備が壊れて、「 お湯が出ない 」というトラブルが発生しました。銭湯のチケットを渡して事なきを得ましたが、焦りましたね。この頃、不摂生と夜勤のストレスも重なり、人生初の円形脱毛症になりました。
華子
大変でしたね。
大日本☆ふんどし王子さん
実は、自分的にはこの円形脱毛症を見たとき、「 おれ、がんばったな・・・ 」という妙な達成感があったんですよ。それまで、ノリで色々なことを進めてきたせいで、「 がんばれないコンプレックス 」があったんですが、この物件のおかげでそれを乗り越えることができました。
あと無理をすると身体に影響があるとわかったので、今では多少サボることに罪悪感は無くなりました( 笑 )
華子
区分マンションを高く売るために工夫したことを教えてください。
大日本☆ふんどし王子さん
まず、相場より安い区分マンションを現金で買います。これは、毎日のようにネットを見ていれば、見つけられます。
次に、「 ジモティー 」というサイトで安価な中古の家具家電を仕入れて部屋に備え付けた後、入居者を入れて、オーナーチェンジで売りに出します。家具家電つきはこのあたりでは珍しいので、家賃を高く設定できて、入居付けにも有利なんです。
100万円台で買って200万円台で売るという小さな取引なので、自分も相手も基本的に現金で、やりとりがスムーズ。また金額的に業者も積極的には参入してこないレベルです。
ただ、区分マンションは空室時にも修繕積み立て費などの持ち出しがあるのが面白くないと思い、今は探していません。もちろん、やったことは良かったと思っています。何事も経験ですから。
華子
とにかく実験してみるというタイプなのですね。やれば儲かるのがわかっていても、小さなお金には執着しないという点が、大物感を感じさせます。
華子の編集後記
区分、戸建て、一棟、そして新築、中古と好き嫌いせず一通り経験してみたというアクティブさには脱帽です。会話の端々に出てくる数字の多さからは「 理系 」のクレバーさが感じられ、やんちゃでお調子者という見た目とのギャップが印象的でした。明日の後編は現在手がけている新築アパートのお話などをお聞きします。お楽しみに。