昨日の前編に続き、投資総額8億5,000万円、家賃年収4,400万円というサラリーマン大家の平原圭さんに登場いただきます。優良な情報を手にするために大切ななこと、値上がりする新築マンションの見つけ方、セミリタイヤを目指さない理由などをうかがいました。
■ 好立地の借地権マンションで、1,600万円の売却益を得る
華子
アパートだけでなく、新築で買った区分マンションも売却して利益を確定されているそうですね。新築マンションは買ったあとにすぐ価格が下がるというイメージがありますが。
平原圭さん
確かに、普通のマンションを普通に買った場合は、購入後に値段が上がることはほぼありません。僕が買っているのは、「 え? この場所でこの広さなのに、この値段? 」と思うような値づけがされている物件です。だから、市場に出た後で値段が上がるんです。
例えば先日、麻布十番のマンションを売却したのですが、これは売りに出た時に、「 絶対に安い 」と確信を持って買ったものです。広さが70平米超で価格は5,600万円という物件で、賃貸だと30万円以上するのに、住宅ローンで買うとフルローンで管理費を払っても20万円に収まるんです。ここに「 歪み 」があると思いました。
華子
なぜそんなに安かったのでしょう?
平原圭さん
借地権だったからです。業者側が借地権の物件になれておらず、売れ残りを恐れて安くしたんでしょう。でも、実需の人は出口を考えませんから、融資がつけば安い方がいいですし、借りる人も同じです。それで、妻の住宅ローンを使ってすぐに購入しました。数年住んで売りに出したところ、1,600万のキャピタルゲインを得られました。

本八幡( 千葉 )の鉄骨造マンション
華子
普段から、マンションの相場を見ていると、「 これは安い 」とわかるものですか?
平原圭さん
はい。麻布十番の物件も、情報を見た人は皆、「 安いな 」と思っていたと思います。でも、それに気づいたからといって、その物件を買えるかどうかはまた別の問題ですよね。そういうシーンで素早く行動して買える人にチャンスが巡ってくるのだと思います。
華子
他にポイントがあれば教えてください。
平原圭さん
基本的に第一期募集で見つけます。特に大規模な分譲は、売る方も売り切れるか不安なため、驚くような安値で出てくることがあります。2004年に買った物件は、一気に4〜5棟が売りに出されたせいで一時的に需給がダブつき、値段が下がったものを購入ました。3年後に売却したところ、1,000万円程プラスになりました。
2014年に買って、今も所有している田町の新築マンションは、すでに含み益が1,000万〜2,000万円あります。田町は近くに新駅ができますし、駅前の再開発も予定されていたので、値上がりするだろうと予測して購入しました。
■ 情報収集とコネクションはとても大切
華子
新築マンションの情報はどこから得ているのですか? 毎日、ネットで検索しているのでしょうか。
平原圭さん
いいえ。平日は仕事が忙しいので、日経新聞の折り込みチラシを見るくらいで、不動産にはほとんど時間を割きません。土日にネットを見たり、時間ができると業者さん周りをして、「 面白い情報はありませんか? 」と訊いたりするくらいです。
僕は情報収集とコネクションは、とても大切だと考えています。相性のいい担当者さんには定期的に電話をかけて、「 新築用にいい土地はないですか? 」「築古で土地値で出ている物件はないですか?」と訊いています。何人かとつながっておくと、迷った時にセカンドオピニオンをとることもできます。

市川のデザインアパート
華子
物件に愛着は持たないのでしょうか。
平原圭さん
投資ですから、持たないというより、「 持ってはいけない 」と思っています。すでに述べたように、アパートも当初から売却を考えていたので、短期譲渡税がかからないよう、全ての物件を法人名義で買っています。早く売るのは、5年後は世の中の情勢がどうなっているかわからないと思うからです。
華子
中古には興味はないのですか?
平原圭さん
最初の頃、色々と経験しておいた方がいいと思い、中古アパートを買ったこともあります。でも、水漏れが発生したり、空室が長引いたり、管理会社からしょっちゅう連絡が来たりして、とにかく大変というイメージでした。一方、新築なら購入と売却だけ自分でやれば、あとはほとんど手間がかかりません。会社員の自分にはその方が向いていると思いました。
ちなみに、物件の構造は木造、軽量鉄骨、重量鉄骨、RC造のすべてを経験しています。初心者が始めるとき、地方のRCマンションや中古の木造アパートから始めるのが王道ですが、それ以外にも色々な可能性があることを自分自身で試してみたかったんです。
華子
これまでに大きな失敗やピンチはなかったのでしょうか?
平原圭さん
幸いなことに、ありません。常に関係者と連絡を取ってモニタリングをし、火種があればすぐに消しているからだと思います。僕は人が好きで、各所に連絡をとったり、調整したりするのは全く苦にならないんです。
■ 次の目標は、「 CFで3,000万円、金融資産3億円 」
華子
2012年に不動産投資の勉強を始めた時、「 CFで1000万円、金融資産で1億円を作る 」と決めたそうですが、すぐに到達してしまいましたね。
平原圭さん
そうなんです。いいものがあれば買うということを続けていたら、意外と早くクリアできました。次の目標は、「 CFで3,000万円、金融資産3億円 」です。先輩大家さんに、「 規模が大きくなるとスピードが加速する 」と聞いたので、この目標もかなったらいいなと思っています。
華子
かなり大きな金額ですね。早期のセミリタイアを目指しているのですか?
平原圭さん
いいえ。子どもが大きくなった時に、社会の中で働く姿を見せたいので、セミリタイアするつもりはありません。ただ、不動産を持つことでお金に縛られることはなくなりますし、転職はするかもしれません。今の仕事も好きですが、将来も自分の好きな会社で、好きな仕事をしていたいですね。

船橋( 千葉 )の重量鉄骨造マンション
華子
平原さんの手法は、中古物件が高い今だから成り立つようにも見えます。今後の市況については、どのようにお考えですか。
平原圭さん
今の市況を、過去のバブル期と比較して「 危ない 」という人がいますが、あの頃の買手は日本人だけでした。でも、今は海外から買いに来る人が多いので、需要そのものの規模が大きくなっています。この先、東京の不動産がグンと下がることは考えにくいと思います。
華子
これから不動産投資を始める人へのメッセージをお願いします。
平原圭さん
思い切って飛び込んでみたら、と言いたいです。特にサラリーマンが資産を築く方法として、不動産投資は最適だと思います。安くなったら買おうと思って待っていると、今度は融資が出なくなるかもしれません。僕は新築を選びましたが、全体を見渡せば、どこかに歪みがあり、チャンスは見つかるはずです。
少し話は変わりますが、転職と不動産投資は似ていると思うんです。先日、転職経験のある仲間4人と飲み会をしたところ、全員が「 転職してよかった 」という意見でした。不動産投資も同じで、やらなくても困らないけれど、やってみたらよかった、と感じている人が多いと思うんです。少なくとも僕は、やってよかったと思っています。
華子の編集後記
数字に強く、常にリスクをヘッジし、ここまで失敗なく資産を増やしてきた平原さん。実物は優しい目をしたクレバーなパパという雰囲気です。「 最初から売却が前提 」というお話から、最低限のスペックを満たした似たような物件ばかり造っているのかと思いきや( 平原さん、すみません )、それぞれに個性を出し、魅力ある物件を造っていたのが印象的でした。投資歴4年の平原さん。数年後にもお話をうかがってみたい気がします。ありがとうございました。