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都内の土地値以下物件をデザインで蘇らせる「建築家大家」進藤強さん【後編】

不動産投資-大家列伝/進藤強さん_画像


昨日の前編に続き、建築家で大家の進藤強さんにお話をうかがいます。都内の土地値以下の物件をリノベーションで再生したり、難アリの安い土地に新築アパートを建てたりして、利回り10%前後を実現している進藤さん。デザイナーズ物件で成功するためのコツや、デザイナーズに批判的な意見に対して思うことなど、本音の部分をうかがいました。


■ 土地値以下の物件をフルローンで購入してリノベーション

華子
2棟目以降の物件について教えてください。


進藤強さん
中古物件は2室のミニビルや4室の併用住宅など小さいものが多く、合計で5棟13室あります。場所はたまたま板橋区が多いです。古い建物を買って、数百万円から、高いものは1,500万円以上かけてリノベーションしていますが、利回り10%前後で回っています。

なぜ板橋かというと、安いから。それと以前、「 何かいい物件ありませんか? 」と営業に行った不動産屋さんに、「 ボロボロの難物件でいいなら安いのがあるよ 」と言われ、紹介してもらいました。ほとんど同じ不動産屋さんの紹介で買っています。

板橋は決してオシャレな場所とはいえませんが、物件を見て気に入った入居者が、わざわざ世田谷区から引っ越してくる、というようなことも珍しくありません。立地が弱くても物件にお金をかけ物件力があれば、十分に戦えるんです( 安く買うのが全てですが )。まあ、いずれは都心部にも物件を持ちたいですが( 笑 )。

華子
進藤さんは会社代表で、自営業というくくりになると思いますが、物件購入の際に融資はつくのでしょうか?


進藤強さん
はい。ほとんどがフルローンやオーバーローンです。理由は簡単で、土地値以下で買っているものが多いから。「 そんな物件あるの? 」と言われますが、探せばありますよ。ただ、僕が買っているのは外観が原色のビルとか、崖とか、三角の土地とか、異常に古いとか、変わったものが多いので、他の人が見つけたとしても買わないかもしれません。

僕は、外観は微妙なのに、中はビシッとカッコいいというギャップがいいと思うんです。普通の人が見たら「 これを直すのは無理 」と思うような物件でも、建築家は、リノベーションでこう変わるというイメージを抱けるので、そこが強みになっていると思います。


地味な外観とモダンな内装のギャップが激しい板橋のビル「 TBN 」


■ 新築工事中に建築会社が倒産して大ピンチに

華子
進藤さんは新築物件も多く手がけられていますね。


進藤強さん
そうですね。自分で今、持っているのは板橋が3棟、練馬が1棟、足立が1棟、中野が1棟です。こちらも土地をかなり安く買えているので、融資が通っています。その代わり、段差があったり、細長かったり、クセのある土地が多いですね。

最近も、3m×30mの道路みたいな土地を売り出し価格の3分の1くらいの値段で買いました。ここに5部屋のアパートを建てます。こんなことするの、僕だけでしょう( 笑 )。みんながやらないことをするのが楽しいし、やりがいがあるんです。

華子
新築を建てる際に注意した方がいい点はありますか?


進藤強さん
あります。それはズバリ、建築会社の倒産です。実は、2013年にお願いしていた工事会社が2つ潰れて、建築中だった4棟の工事が止まってしまいました。この時は設計の仕事をストップして、スタッフみんなで工事現場に行き、出来る事は手伝ってなんとか完成まで持っていきました。

その期間設計ができないので収入が止まって給料も払えないかも、という状態だったので、その少し前に個人所有で建てた新築アパートを2棟売却して、なんとか倒産に巻き込まれずにすみました。あのアパートがなかったら、かなりヤバかったです。

この話をすると、「 進藤さんの物件って、売れば儲かるんですね 」と言われるんですが、僕が言いたいのはそういうことではないんです。僕はやむを得ず売りましたが、お客さんには長く大切にしてもらいたい。建物には愛着がありますからね。( でも、売ってもいいですよ。チョット利益分けてね( 笑 ))。


■ 「 ロフトなんて使いにくい 」と感じる人には住んでもらわなくていい

華子
デザイナーズ物件はルックスはいいけれど、住みにくいという声もあります。


進藤強さん
僕は、自分が住みたくなるような家を造っています。ロフトなんて使いにくいとか、ネガティブな意見ももちろんあります。でも、もともとそういう人たちに向けて造っていないので、気にしていません。有名大家さんが僕によく、「コンサバの方が長く住んでもらえる」と言うんですが、それはターゲットと戦略の違い。僕はコンサバをターゲットにしていません( 笑 )。

入居者さんと交流する機会も多いんですが、「 この家に住めて嬉しい 」と言ってくれる人はたくさんいます。ある青年は、たまに遊びに来る女の子に、「 キャー、かっこいい部屋! 」と言ってもらうために、住み続けていると言っていました。僕は一点豪華主義が大切だと思っていて、その一点に入居者がほれてくれれば、成功なんです。


入居者さんどうしの交流が盛んな「 リビングの家 」

華子
そう言われれば、これだけ色々な人がいるのに、家に関しては似たようなものばかり、というのも不思議です。

進藤強さん
何を求めて住まいを選ぶかは、人それぞれ。オープンカーは雨が降ったら面倒だけれど、天気のいい日に走ると最高。昔のミニクーパーは狭いけれど、ディテール、デザインは最高。つまり、最悪に見えることの裏側に、最高があるんです。

僕は数十万円で買った35年ものの三菱ジープに乗っていて、エアコンとかあまりきかないんですけど、見るだけでテンションが上がりますし、街でも「 かっこいい 」と声をかけられたり、TVドラマにも出演したり。コストとリターンという意味で考えたら、すごい価値だと思います。自己満足ですが( 笑 )。



家も同じです。ただし、かっこよさを追求するあまり、収支が合わなくなっては、収益物件としては失格です。お金をかければスゴイ物件ができるのは当たり前。限られたコストの中で、いかに価値を出していくかをいつも考えています。無難な国産のセダンカーが好きな人は、無理をして僕の物件に住んでくれなくてもけっこうです。


■ デザイナーズ物件を建てて成功するのは、物件への愛がある人

華子
デザイナーズ物件を建てて、成功する大家さんの特徴は何でしょうか?


進藤強さん
たくさんの大家さんと仕事をしてきましたが、僕たちスタッフや入居者さんと積極的に関わりあえる人の方が、スムーズに賃貸経営ができています。建物作りと運営に関しては、エネルギーを注げば注ぐほど、うまくいきます。

中には「かっこいいのを適当に造ってよ。全部まかせるから」と言う方もいますが、そういう人はなぜかうまくいっていません。たぶん、自分が知恵を出したり、足を運んだりするほど、物件を好きになって、住みよい環境だったり、入居者との関係性だったりを築こうとするからだと思います。

近隣へのあいさつも重要です。僕は自分が大家の工事のとき、ご近所の方に「 本当にもう結構です 」と引かれるくらい、毎回、お菓子を持っていきます。まとめると、物件への「 愛 」があり、大家として近隣に愛情がある人が成功します( 笑 )。

華子
今後の目標を教えてください。


進藤強さん
若い人と一緒にチャンスを共有したいですね。今、神宮前にシェアオフィスを造っているんですが、そこには若くて、能力、夢はあるけど仕事がないという子を誘致したい。起業家の「 ときわ荘 」みたいになればいいな、と思っています。

あとは数十年後のスタンダードを作る。例えば何十年か前に初めてLDKという概念を作った人がいて、今、世の中に当たり前にLDKがあるように、今はない「 仕組み:スタンダード 」をいろいろ考えていきたいです。

僕はガソリンを満タンにできて、食べたいものを食べられる今が、とっても幸せなんです。それに、仕事が趣味なので、いくら稼いだら別のことをやろうという気持ちもあまりありません。

僕の会社の名前のビーフンというのは、「 Be Fun 」つまり、楽しめ!ということから来ています。その名前の通り、これからも楽しく色々なことにチャレンジしていきたいです。


華子の編集後記
「 自分の住みたい物件しか造らない 」「 物件に愛がある人が成功する 」「 今とっても幸せ 」など、進藤さんの言葉のひとつひとつから、自分自身の仕事や人生に対する肯定的な思いが溢れていて、「こういう思いで造られている物件に住む人は幸せだろうな」と感じました。風邪の中、取材に対応してくださった進藤さん、ありがとうございました。




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プロフィール

■ 進藤強(しんどうつよし)さん

sindousan

建築家(株式会社ビーフンデザイン代表)
不動産投資家
会社のHP:http://be-fun.com/
大家さんと住み手をつなぐ不動産サイト:smi-re

■ 経歴

□1973
兵庫県生まれ

□1996
京都精華大学美術学部デザイン学科建築専攻 卒業

□1998-2002
株式会社アーキテクトン 米田明に師事(住宅の設計担当)

□2001
ビーフンデザイン共同設立(進藤/長谷川/菅藤/上村)

□2004-2008
株式会社コムデザイン入社(2005年取締役に就任)(住宅の設計担当 住宅事業部長)
□2005
渋谷区代々木公園にミニビルを購入、リノベーションして自宅兼事務所にする
この頃から、賃貸物件の設計を手がけるようになる

□2007
一級建築士事務所ビーフンデザインとしてスタート

□2012
株式会社ビーフンデザイン法人化
代々木のミニビルの1階をコーヒースタンドに賃貸し始める

□2013
経営が軌道に乗り、自社で中古物件、新築物件を所有できるようになる

□2014
賃貸併用住宅の仕事が増え、本を出版する

□2015
気づけば過去の仕事の8割が賃貸物件(累計で約60棟)という状態に

■ 受賞歴

□1995
第3回 新知的生産環境最優秀賞

□1995
第12回ハンズ大賞 入選

□2006
2006年度グッドデザイン賞 グッドデザイン金賞(BEST15に選出)

□2010
「賃貸住宅のあり方」展

□2011
第37回 東京建築賞 奨励賞:ガリバ・ハウス

□2014
「賃貸併用住宅」出版記念展覧会

□2015
第41回 東京建築賞 優秀賞:りびんぐの家

■ 著書



月々のローン返済を軽くする 賃貸併用住宅(出版:STUDIO TAC CREATIVE)

■過去に乗った人生を刺激してくれた車ベスト3

1位:三菱ジープオープン J55


大学生の時に乗っていたオープンのジープ、京都の林道を走ったり、琵琶湖の湖岸をはしったり、オープンでしか味わえない感動を知る。便利、快適以外の感動を実体験しました。


2位:FIAT パンダ



独立して仕事を始めた時に借金して購入、デザイン、ダブルサンルーフがオープンする屋根が快適さを実現。レトロなディテールのデザインとイタリアのセンスが光る。
デザインの基礎知識と奥深さを実感。設計のお客様にも好評!

3位:シトロエンC1



コンパクトなボディーにトヨタのエンジン、シトロエン、プジョー、トヨタの合作作品、日本には数台しか輸入されていないシトロエン日本戦略第一歩となるC1、小回りもよく現場監理の良きパートナーとなっています。

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