こんにちは!防人レボリューションです。今回は築古再生物件の悩みの種の一つであるエレベーターの老朽化問題についてです。その前に、「 旧耐震のRC物件は買ってはいけない 」という話から始めます。
投資を始めた頃から「 旧耐震のRC物件は買ってはいけない 」という言葉をよく耳にしていました。
一応補足すると、旧耐震とは建築物の設計の際に適用される地震に耐えることのできる構造の基準を示す言葉で、1981( 昭和56 )年5月31日までの建築確認において適用されていた「 震度5強程度の揺れでも建物が倒壊しない強度 」を指します。
これに対して、その翌日以降に適用されている基準を「 新耐震 」といい、震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないような構造基準として設定されています。
偉大な先輩たちがいう「 旧耐震を買ってはいけない 」の主な理由は「 出口がない 」というものでした。私が不動産投資を始めたのは、平成20年で、旧耐震のRCはその当時で築27年以上のものでした。
RC物件の法定耐用年数は47年です。「 20年の融資で旧耐震( つまり築27年以上 )のRC物件を購入すると、次の購入希望者には融資がつかないから売れない 」。つまり出口がないから買うのはリスクが高いというのが理屈です。
もっともな意見だと思いましたが、当時の自分には、利回りが良くて、築浅で立地も良い物件情報なんてやってきません。お金も経験も知識もない、持たざる者があれこれ贅沢を言っていてはいつまでたっても買えないと思いました。
そこで、買えない理由を考えるのをやめて、旧耐震の物件でも買える理由を探しました。
・建物が法定耐用年数を超えたとしても、土地の価値はゼロにはならない
・外壁塗装と屋上防水などの適切なメンテナンスをすれば、100年くらい持つ気がする
・法定耐用年数を過ぎた建物は全て取り壊すということは現実的に起こっていないし、住んでいる人もいる
・安く高利回りで購入し、月々のキャッシュフローをしっかり貯金出来れば、デッドクロス( 黒字倒産の危険)も避けられるだろう
希望的観測すぎるような気もしますが(笑)、私は「 耐用年数越えでも福岡市内の駅徒歩10分以内を購入すれば、10~20年後に土地で売却できるはず! 」と考え、積極的に駅近の築古大型物件を購入することにしました。
■ 築35年でエレベーターのリニューアル工事をしていない物件
ここから本題のエレベーターの話です。エレベーター付きの物件は月々のメンテナンス費や不定期の修繕費がかかるため、「 買わない 」と決めている投資家の方も多いと思います。築古ならばなおさら買わない理由になります。
ところが、
第37話のコラムでも紹介した私が平成25年( 2013年 )に購入したRC物件には、エレベーターがついていました。この物件は昭和53年( 1978年 )築で、当時で築35年でした。購入価格は6,500万円です。
参照:
13棟目は極小1Kの築古RC。都合のいい情報しか表に出ない不動産業界の闇
なぜ買ったかというと、空室の多さ、外壁と屋上の大規模修繕工事が必要、エレベーターの老朽化問題などの理由で、指値が通って安く購入できたからです。
しかし、安い物件には理由があります。例えばこのエレベーターは前所有者が毎月の点検と年に一度の法定点検は実施していましたが、交換や改修などの大がかりなリニューアル工事は行われていませんでした。
買ったはいいものの、わからないことだらけです。本当なら買い付けを入れる前に調べた方がいいのですが、私は物件を買って、運用しながら情報を集めていきました。
1)月々の点検費用
月々の点検費用と年に一度の法定点検費用を含めて、毎月のエレベーター費用は2万円ほどでした。これを節約しようと思いました。自分で調べたり、人に聞いたりして、点検はエレベーター本体のメーカーに必ずしも任せなくて良いと知りました。
そこで、点検に特化した会社を見つけ、維持費を月13,000円に抑えました。その後、先輩に紹介された会社に切り替えて、今では月11,000円になりました。全物件のエレベーターをその会社に任せています。やはり、数の力と紹介の力は大きいです。
2)故障時の修繕費用
今のところ、ほとんど突発的な故障もないですし、あっても費用は数千円レベルです。安い会社は突発的な修繕費が割高というイメージですが、そんなことはありませんでした。
3)エレベーターの寿命は何年?
エレベーターの寿命ですが、適正な保守点検を行っている前提で20年から25年といわれています。建築物維持保全協会のLCC( ライフサイクルコスト )評価指針でも、適正な保守管理を前提とした計画耐用年数を25年と定めています。
仕様頻度などでも変わるので、寿命は〇〇年などとは一概にはいえないようですが、一般的には25~30年でリニューアル工事をする物件が多いそうです。
4)エレベーターのリニューアル工事っていくらかかるの?
私が買った物件は築35年でしたが、リニューアル工事は未実施でした。メンテナンス会社からは「 なるべく早くリニューアル工事をする必要がある 」と言われたのですが、当時はお金がありませんでした。
そこで、出来るだけ工事を先延ばししたいと思いました。その間にキャッシュフローを貯めて、お金ができたら工事に充てようと考えました。毎月の点検と年に一度の法定点検も実施しているので、まだしばらくは大丈夫だろうと考えました。
少しすると、メンテナンス会社から、「 築40年になると部品供給がなくなり、メンテナンスも出来なくなるので、早くリニューアル工事をしてください 」と強く言われました。
しかし、その会社はメンテナンスのみで、リニューアル工事はしていませんでした。そこで、エレベーターメーカーに見積もりをもらうと、約1,500万円でした!
相場がわからなかったので相見積もりを取ろうと、別の所有物件で前所有者がリニューアル工事をした時の会社に見積もりをお願いすると、690万円( 税込 )でした。結局、そちらにお願いしました。
■ 融資で工事費を借り入れ
リニューアル工事の工法はたくさんあります。古くなければ部分的な工事で済む場合もあります。今回は、人がのる本体の箱はフィルムを貼り継続利用することでコストを削減、それ以外は全て新品に交換するという方法を選びました。
金融機関に相談すると、工事費を融資してくれました。エレベーターの工事費を残債に乗せて、借り換えのように組み替えをして、金利も下げて融資期間も3年延ばしてくれました。購入時に融資期間を15年間と短期にしていたのが良かったです。
話を戻すと、今回はたまたま問題がなかったから良かったですが、エレベーターのリニューアル工事は本当は築30年を過ぎないうちに実施した方が良いと思います。
私自身も資金の目途が立った現在は、先手先手で修繕をして建物の安全性を保つように心掛けています。先延ばしをした分、危険が増しますし、何かトラブルが生じてしまえば余計にお金がかかってきます。
まとめると、私が言うのも申し訳ないのですが、資金力がない人は、エレベーター付きの大型築古再生物件には手を出さないのが賢明だと思います。資金繰りは計画的に!
それと、私は築古のRC物件を購入してプラスで終われた案件がいくつもあります。広く意見を取り入れながらも、自分自身で考えて「 勝算 」が見えたなら、致命傷を負わない範囲で進んでみるのがいいと思います。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました! 何かしらのお役に立てば幸いです。