再建築可能になるまで待てるのはサラリーマンの特権
私が保有している投資物件は2019年3月現在で12件。千葉県に3件、東京都内に9件。そのうち区分所有が4件です。
なんと、12件の賃貸用不動産のうち、単独で建て替えができる物件は1件しかありません。それ以外の物件は私単独の判断では建て替えができない( 区分所有権も含む )物件です。
そのような物件でも買う理由は第3回のコラム( 再建築不可戸建やテラスハウスの出口をどうする? ー融資が出にくい物件ばかり買い進めた理由 )をご参照下さい。
私は、都内( 23区内 )のように土地が狭く、人口が増えているエリアでは、再建築不可物件であっても将来的な開発の可能性があり、いつまでも再建築不可が続くわけではない、と考えています。
その上で、「 再建築不可物件を買い、それが再建築可能な土地になるまで待ち続けるというリスクをテイクできるのは私たちのようなサラリーマン投資家だ 」という主張をしてきました。
そんな私でしたが、実際に再建築不可物件が再建築可能な土地になった事例は、連棟式テラスハウスが火災で全焼して、6名の共有土地になった時だけでした。( その焼け跡の土地は無事に地元の戸建分譲会社さんに売却できました )
そして今回、まさにこの原稿を執筆している現在進行形で、私の保有する再建築不可の土地が再建築可能になった理想的な事例が誕生しましたので、早速ご紹介させて頂きたいと思います。
12号物件とその隣地の公図と写真
まずは公図と現地の写真からご覧ください。
公図( 地番は消しています)
元々私が持っていたのが黄色( 公図 )の部分です。公道に全く接していません。オマケに土地の面積が35.63㎡しかなく、建物の築年数はなんと47年( 木造 )です。現地を見ると、写真の通り真ん中に私道があります。
奧の建物は比較的新しいです。理由はわかりませんが、奧の土地は再建築の許可が得られたのだと思います。
購入のきっかけは「 お手紙 」
私が12号物件を買ったのが2018年の3月。2018年11月頃に手紙( 封書 )で売却の打診を受けたのが上記の公図で赤色でマークした部分です。
ご覧いただけば分かりますが、この土地を買うと、私の12号物件の土地が正々堂々と公道に接することができます。
「 お手紙 」の差出人は売り主から売却の依頼を受けた不動産会社で、不動産謄本を確認した上で私( 法人 )へ連絡したと書いてありました。
不動産をお持ちの方であれば、「 スピード買取! 」「 即日査定 」などと書いてあるハガキや画像のようなチラシを貰うことがあると思いますが、その手のものとは別物です。
正式に隣地から買い取りの打診をしてくる場合には、ちゃんとしたお手紙が届くのです。そのお手紙は、適当なダイレクトメール( DM )とは明らかに違う、丁寧で自分だけに送っていると一目見てわかるものでした。
「 隣地の江戸川区〇〇▲丁目■番地〇の〇〇様から依頼を受けた株式会社〇〇不動産の〇〇と申します。謄本を調べ、まずは斉藤様へとお声がけさせて頂きました。〇〇様は相続に伴い売却を検討しております・・・・ 」
私はその手紙を受け取ると、早速、書かれていた連絡先に電話をしました。そこから、価格交渉がスタートしました。
売却理由は「 相続 」
私の12号物件は私の前の所有者も投資家でした。その前も投資家であり、2つ前の投資家が当初のオーナーから買ったものでした。
2014年から貸家として運用されていたものを私がオーナーチェンジで買いましたが、購入当時は隣の家は自宅として利用されておりました。
追加購入する土地建物の不動産登記簿謄本を確認すると、建物が建築された当初はご夫婦でお住まいだった模様。その後ご主人と娘さん二人の合計3人に相続登記がされていたので、先に奥様がお亡くなりになったのでしょう。
その後、ご主人もお亡くなりになっています。結果、娘さん2名が1/2ずつの共有になっていましたが、お二人とも住所は購入対象物件とは別の場所です。成人されて一人は姓も変わっています。
そして、その娘さん二人が両親の死をきっかけに生まれ育った実家の売却を決断したというのが、今回の売却の経緯であると考えられます( 不動産登記簿謄本から推定 )。
買取交渉のテクニック「 絶対にこちらから先に値段を言わない 」
売主側の仲介不動産業者に電話をして、買取の意思表示をすると、必ず「 いくらで買いますか? 」と、聞かれます( 当たり前ですが )。
ここで正直に自分の買いたい金額の上限を提示してはいけません。私としては再建築不可の土地が接道するわけですし、平成築の新しい戸建住宅も手に入るわけで、1,200万円までは出す気マンマンでした。
まずは私から「 素人なので相場がわかりません。逆においくらなら売る意向ですか? 」と逆に質問を返しました。
すると、正直な不動産会社さんで「 1,000万円 」とのことでした。予算以内なので即決OKしてもいいのですが、あえて800万円で反撃( 12号物件と同じ値段 )。そこから押し戻され、真ん中の900万円で合意に至りました。
もしも私が先に1,200万円といっていたら、その値段で買わないといけないところでしたが、交渉のキャッチボールを数回しただけで300万円も下がりました。
このように価格提示は原則相手から。自分から価格提示する場合には「 かなり低め 」から入るのが鉄則です。
土地の相場はどの程度か?
私は再建築不可の貸家である12号物件を買う時は、次のような判断で購入を決めました。
「 ざっと路線価が20万円/㎡で、土地が35㎡なので700万円。都内で表面利回り12%だから土地価格はさておきキャッシュフローが十分出るからOK。100万円くらい路線価より高くてもいいかなぁー 」
しかし、隣地も買うというのであれば、2つの土地が1つになる前提で一体として評価して、2つ合せていくらで売れるのか判断する必要があります。
12号物件の土地面積35㎡+隣地の面積40㎡=75㎡、路線価は20万円/㎡でした。路線価ではざっと1,500万円ということになります。ただ、このエリアの不動産価格は路線価より時価は高いのです。
実際には路線価の1.5倍程度が取引相場のようです。よって「 1㎡あたり30万円 」が時価だと思われますから、2つ合わせて2,250万円の土地になるというわけです。
12号物件の購入価格775万円+隣地買取価格900万円の合計1,650万円。ざっと600万円、価値がアップする計算となります。
隣地の建物は平成築で床面積は70㎡もある3LDKで、中も比較的キレイで水回りのリフォーム不要のようでしたから、お家賃も13万円はいける! と思っていました。
2つの貸家から家賃を貰いながらローンを返済し、返済が十分に進んだところで売却して一気に現金を増やそうと、そんな「 取らぬ狸の皮算用 」をしていました。
そして私のメインバンク( ノンバンク )に融資申し込み
その後、私がメインとして利用している金融機関( 不動産担保ローン会社 )へ意気揚々と融資を申し込みます。しかし、それからこの後3カ月にもわたる苦労が始まるとは、知るよしもありませんでした・・・。
( 長くなりました。その2へ続きます。)